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小論考宿輪ゼミ4/デフレ脱却と「冷たいバブル」

テレビ番組『サンデーモーニング』で解説した「冷たいバブル」についても本稿で説明したい。


筆者は以前より気になっていたことがある。それは「デフレ」という意味の使い方である。もちろん、「デフレ」とは、デフレーション(Deflation)の略語であり、もともとはDeflateとは風船のようなものを萎む、という意味である。物価が下落することをいう。逆のインフレ:インフレーション:Inflateは膨らます、という意味である。逆に物価が上昇することをいう。弊書 『はじめまして経済学』の表紙のイラストもその辺を意味しているのである。しかも、風船が膨らんでバブルのようになって、地に足がつかなくなっているようなことを描いている。
 
日本では、長らく「デフレ脱却」というキャッチフレーズが使われていた。これには筆者は違和感・疑問も持っていた。デフレ脱却=デフレではなくなる=インフレになる。物価高になることが良いことなのか、といつも疑問に思っていた。
 
よくよく考えると、日本のデフレ脱却の「デフレ」は、物価下落だけではなく、「不景気」のことも含んでいたのである。本来は不景気で、モノが売れなくなり、物価が下落するというのが景気と物価の関係である。その前半部分を省略してしまったような気がする。すなわち、不景気でも、物価下落も対処するということが正確な、その頃の日本で使われた「デフレ脱却」の意味であったのではないか。
 
しかも、その頃、金融当局が音頭をとって、「デフレ脱却」に立ち向かっていた。その仕組み(メカニズム)はなかなかに一般の方には分かりにくいのではないか。
 
その仕組み(メカニズム)とは


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