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中国人が30代半ばにして、日本でシードVCにチャレンジする理由

みなさん、初めまして!祝(シュク)と申します。シードVCのジェネシア・ベンチャーズに転職して、2カ月近く経ちました。先日、強面の弊社社長に高級お寿司奢ってもらいながら、"ご指導"を受け、初のNote投稿に至りました!よろしくお願いします。
生い立ちや、今までのキャリアも簡単に書き出してますが、思った以上に長くなってしましたので、目次入れて飛べるようにしました~

<生い立ち>

まず社会人になる前ですが、中国で生まれ、3歳で大阪へ移住、中学はまた中国に帰国し、大学からカナダのバンクーバーに留学、といった感じで3ヵ国を転々としておりました。日本、中国、カナダでそれぞれ生活をし、色んな価値観に触れながら自分の「常識」の範囲が大きく広がったように感じております。
それぞれの国でどう違うの?と良く聞かれます。私自身その国のごく一部にしか触れてないので一概にコメントしにくいですが、移住したタイミングで印象に残ったことを書き出すと以下の様な感じです:
・3歳)上海→大阪:テレビの画質いい;幼稚園みんな薄着;足速い;電車?
・12歳)大阪→上海:人多すぎ;街が汚い;給湯器の熱が不安定;物安い;暑いし寒い;周りの視線気にしない;学校がほぼ軍隊;国歌覚えないと……
・18歳)上海→バンクーバー:空気の質が異次元、先進国なのに農村、本場より美味しい中華、サービス普通だけどチップ、大学は勉強する場所、車って便利、お金持ちのレベルが段違い

色んな環境で様々な人に触れ合いながら生活をしてみて感じたのは、人は環境が変わると価値観も変わるし、周りに自然と順応していく。中国戦国時代の軍事論文集『呉子』の"料敵編"では、敵の属性を住む地域で判断して戦略を立てるという内容が記載されており、物凄く納得感があります。

<キャリア>

中国で戦略コンサル

バンクバーで留学してた頃は信じられないくらいお金持ちの中国人が周りに沢山いました。その殆どが高度成長期の波に乗り、大儲けした移民系の人たちです。山西省で炭鉱ビジネス、広東省の4級都市で住宅不動産開発、浙江省で洋服の染色業、農村向けに即席お粥販売、等々。
ニッチな領域でも凄く稼げる、マーケットの大きさやビジネスチャンスに惹かれ卒業後は上海に戻り、事業を幅広く見れる日系の戦略コンサルファーム(コーポレイト・ディレクション、以下「CDI」)に新卒入社しました。
CDIでは、一つの事業を3ヵ月くらい掛けてガッツリ深堀し、仮説検証を繰り返しながら事業戦略固めて依頼主(クライアント)に提言します。従業員を多く抱える会社の未来を左右する重要な意思決定に深く関わる仕事なので、「仮説」を「確信」に変えるまで、ファクトを肉付けしていくことが求められます。例えばTo Cのビジネスであれば、1 on 1のデプスインタビューに加えて、大量のサンプルを取るWeb アンケート、更にセグメント毎で小規模グループを集めたグループインタビューを経て顧客の解像度上げて行きます。
一つの事業に深く入り込むことで、ニッチな領域でどこで生きるか全く分からない知識*が身に着いたと同時に、ビジネスマンとしての「基礎体力」が鍛えられ、とてもいい経験になりました。
*中国のキノコ、産業園区とは、国営病院の稟議プロセス、エコキュート×官需、免疫細胞療法×中国軍系病院 、縫合糸、腕時計、紹興市で介護、など

日本に移住、M&Aやファイナンスに触れる

2016年、中国でちょっとした日本ブームが起こり、プライベートの節目とも重なったので、東京へ移住しました。CDIでは主に事業と向き合う仕事でしたが、財務面でも会社を見れるようになりたいという思いで会計系FAS(EY)に移住のタイミングで転職。主にトランザクション(M&A)周りのサービスを提供する部署に入り、その中で一番長くキャリアを積んだのがバリュエーション、財務モデリングです。
バリュエーションと聞くとDCFを思い浮かべると思いますが、ほぼその通りでDCFを年間20件ほどやっておりました 笑。ただ、アートと言われがちがなバリュエーションをアートと捉えず、資本市場のルールにおいて会社がどの様に評価されるのかを、ファイナンスの理論に基づいてしっかり理解することが求められ、PL脳だった戦コン時代から、ファイナンスの思考をしっかり植え付けることができました。

直近の2年間はEYに所属しながら、メガバンクに出向し主に東南アジアのプリンシパル投資に従事。領域は銀行業、ノンバンク、フィンテックが対象でした。銀行での経験はあまりに濃すぎて、それだけで一つNoteが書けそうなので詳細は割愛しますが、ここで初めてアドバイザーの立場ではなく、当事者として投資業務に携わる経験し、投資を通じてもう一度事業に向き合いたい思いが強まります。

<なぜシードVCにチャレンジしようと思ったか>

長らくコンサル・アドバイザー業務を生業としてきましたが、仕事≒案件という捉え方になって行き、当事者意識が自分の中で薄れていくのを感じました。アドバイザーという仕事は、利害関係がない第三者だからこそ客観的に見た正しい/時には厳しい提言が出来るという点に付加価値があるという考えも分かります。当事者意識と第三者目線のバランスをうまくとり、顧客本位の提案がしっかりできる優秀なコンサルタントは沢山いました。ただ、私の場合は当事者意識が薄れると同時に熱量も減ってしまったのが本音です。(前職の方もし見てたら、すみません!)

話は飛びますが、中国で生活してた頃に見ていた「景色」を思い出しました。イノベーションの大波が所々で起こり、国レベルで膨大なDX化が進み、凄いスピードで生活が便利になったんです。勿論中国特有の情勢はありますが、「この地で新しいビジネスをやってやろう」という情熱、大きな勇気を持ってするチャレンジ、そこからイノベーションが生まれ社会がより豊かになる、これはどの国でも共通して起こりうることだと思っています。
日本で暮らしてみて感じたことですが、生活は中国と比べると豊かです。基礎インフラは充分に整備されており、社会保障、環境保護もしっかりしている、物価は安定しており、失業率も低い。もっと自信を持つべきなのに、マクロな問題(人口減、高齢化、デフレマインド、政府の巨額債務 等)が超低音量で念仏の様に唱えられてる感触が、国全体のデモチになっているんじゃないかと、何となくそう感じます。一方シード期のスタートアップは、ミクロな視点で色んな「負」を解消するところを切り口とし、大きな社会課題を解決することに勇気を持ってチャレンジしています!
中国で見た大きなイノベーションの波が、時間軸や形は違えど日本でも起こりつつあるという実感、そういった人たちを身近で伴走し、新しい産業を創って行きたいという気持ちが高まり、それが自身の欲求とつながりました!

ジェネシアに入社して2ヵ月弱しか経ってませんが、尊敬するチームメンバーや、熱量を持った起業家に密度高く触れされてもらい、シードVCという仕事が単なる「転職」から自分にとっては、今後の人生における「チャレンジ」へと変わって行ったのです。

<おわりに>

今後は中国に関連する事業ネタや、上場したユニコーン企業の分析など、時間をかけて少しつづ投稿を増やしていきますので、是非フォローください。

事業の壁打ち、起業相談、中国の話やコーポレートファイナンスに関するマニアックな議論もウェルカムですので、お気軽にDM下さい!
まとまりなく、徒然と書いてしまいましたが、ご清覧ありがとうございました。

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