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生きてる人間推してるオタクの方が、本気出せば美容室選びって得意かもしれないという話

前回の投稿↓で書いてて、そういえば……と思ったことがあります。

なんちゅうこたない、宝塚の原作になってる小説や人物の伝記を読んでただけ。(略)
あとは、歌劇の座談会ページとか、生徒(出演者)や座付き作家のインタビューで紹介されてた書籍は読みます。映画も見る。それで『モロッコ』にハマったからなぁ~(recommended by 荻田さんだった気がする。確かマラケシュのとき)
最近は観劇すらそうで、信用している俳優さんや劇団代表の方がイイというものから広げていく感じで。そうするとほとんど「カネ返セ~」に当たらないんですよ。

https://note.com/shuko_740/n/n65f8c19e8308

要は、自分の感覚とか「話題だから」みたいな理由で演目やカンパニーを選ぶより、推しや信頼できる人を中心に広げていくと失敗しづらいよ、という話なんですが。

これって、美容室選びに似てるんですね。

突然何を言い出すんだという話なんですが、私は本業は美容専門誌の編集です。美容と言っても、ちまたで売ってる美容雑誌ではなくて、美容師さん向けの技術とか経営のお勉強用の本をつくる人。こんな記事とか書いてる↓

私は中学1年生から20年以上、美容室選びで失敗したことが1回しかないわけですが、それは「ギョーカイ人だから」ではなくて、上記の推しを中心としたコンテンツ選びと同じ考え方で広げていけば、一般の方でも十分に良いところにたどり着けるということを思いついたのです。

今日はちょっとだけ本職もからめたお話。


なぜ美容室選びを失敗するのか

まず大前提として、美容室選びって難しいですよね。
失敗しないとドヤったものの、それは超わかる。それなのに1回行ったら少なくとも伸びるまで2~3カ月、あるいは半年近く、その頭でいなければならないし。1回あたりのコストは諸外国に比べたらかかりませんが、時間のリスクがでかすぎます。
舞台やライブは、仮に駄作にあたってもブチギレたり泣いたりする気持ちのピークはせいぜいその日の晩がMAXで、あとは折に触れて思い出し怒りをする程度でしょうか。(まあ私は時間の概念がとち狂った宝塚ファンなので断続的に20年怒ったりするわけだけど)実質無駄になる時間は2~3時間といったところ。
それに対して、美容室は滞在の2~3時間が、合わなかったり居心地が悪かったりするかもしれないうえに、そっから数カ月鏡見るたびに腹が立つわけじゃないですか。リスクでかいって。

問題は、そんなに時間&精神的リスクが高い買い物、どうやって選んでます?ということなんです。

今は予約検索サイトかSNS、Instagramで探すのが主流だと思います。10~20代だけでなく、クセ毛対応や白髪トラブルに関する発信をする美容師が増えていることからも、大人世代もInstagramで美容室探してるんだなというのがよくわかります。

結論から言いますと、ハッキリ言って予約サイトやSNSの情報で自分のニーズに100%合う美容師さん見つけられるの、天文学的な確率だと思います。理由は2つ。

まず、これって舞台観劇にたとえると、チラシの情報だけでチケット買ってるようなもんなんですよ。キャスト、スタッフ、だいたいのあらすじ、価格。所要時間は書かれてないし(最近燃えてたな)、そのカンパニーの特長とかもビジュアルだけでしかわかんない。
これ、私自身が紅さん(宝塚の推し)が退団して以降、3年くらい自分でやってみた‟現場”の選び方なんです。読書家の人が片っ端から本を読まれるように、観劇が趣味の方には普通の選び方なのかもしれません。
それが、やってみた結果、アタリハズレがものすごいと思いました。まったくもって「チラシのみ」で行って出会った良作、打率でいうと1割くらいかなぁ。しかも、作家さんが名の知れた人だった気がする。

アテカンで片っ端から適当に行ったわけでもなくて、選んでる題材がおもしろそうとか、フライヤーデザインがしゃれてるとか、一応根拠をもっていくわけですが、こんな打率。これってなぜなのでしょうか。

次に、2つ目の理由を先に。
これは本職の専門家目線で、写真を見て技量を判断するのは、私にも無理だからです。
投稿されたスタイルがうまいように見えて、会って目の前で施術を拝見したらどうにもこうにも……というケースもあるし、その逆もあります。「いや~、投稿もかわいいけど思った以上だな、というか投稿ではこのうまさ2割くらいしか伝わってないな」というケース。

ヘアスタイルの写真は1つの材料にはなりますが、「ヘアスタイルをつくる技術」の外側に「撮る」というプロセスがいっちょかみしますので、その結果は複合的なものです。
撮る技術(カメラ技術じゃなくてセンスも含む)って表面的なことでなくて、被写体に対する姿勢とかが顕れるものだとは思うから、それはとても大事なことなんですが……
その二次元の世界に限定されたセンスがフィルターになって、未熟なものが底上げされたり、良いものが埋もれたりする可能性がすごくあるということ。これは前提として頭においてほしいです。

繰り返しますが、私たちも写真だけで見抜くの超無理です。
もちろんSNSや予約サイトで支持を集めてる方を否定しているのではなくて、必ず一回会いに行って取材したり、お仕事ぶりを拝見したりして判断します。

唯一の王道は「紹介」。しかし「紹介される」のを待っていてはいけない

何それ、プロが判断できないなんてどうすりゃいいんだ!って話ですよね。

もう少しツッコんで考えてみると、美容室選びが難しい…と悩むお客さまには、単に写真だけで「キミにきめた!」ってなる人はほとんどいないはずです。消費者の購買行動はAISASとか、今はDECAXとか分析・定義づけられてますが、インスタで見つけて、予約サイト探して、口コミ見て、慎重な人は名前で検索したりして……と複合的に情報を探していることと思います。

フライヤーで舞台選ぶの超ムズイ話に戻ると、フライヤーでランダムに選ぶとはいえ行く前にカンパニーの公式サイト見たり、主宰の方や出演者のTwitter見たり、前の興行の評判ググったり、事前に情報集めるじゃないですか。それでも打率が上がらなかった。それと同じなんだと思うんです。

集めてる情報が信用に足るものか、はたまた自分のニーズにフィットしているのか。その取捨選択って超難しくないですか?
口コミは判断材料の1つにはなりますが、その人と自分が同じニーズ、あるいは志向が近い保障ってどこにあるんでしょう。舞台が好きな人とひとくくりにしても、華やかなミュージカルが好きな人もいれば、ストプレが好きな人もいます。コメディが好きな人もいればアングラ演劇が好きな人もいる。私は元エイター(関ジャニ∞ファン)時代に経験したんですが、当時の友達を見渡すとバンド曲が好きな人とダンス曲が好きな人、二手にハッキリ分かれるんですよ。同じアイドルファンで同じグループを推していてもこんなに違うわけです。

美容室はの一般的な目的は「髪をきれいにしてもらうこと」ですが、お客さまの思われる‟技術がうまい”という観点1つとっても、カットの話なのかカラーの話なのか、それともヘッドスパやトリートメントの技術を求めているのか、まったく違うことに気づきます。
その口コミが「カットがうまい」と言っていても、言ったとおりに切ってくれるという話なのか迷っていたら提案してくれるという話なのか、切りあがりが気に入ったのか長持ちするのか、そのどれかを細かく書いてくれている人はさほど多くないと思います。

回りくどくなりましたが、どうすればいいか。
答えは、周りの素敵な髪形の人に紹介してもらう
「どこの美容室に行ってるんですか?」と聞く。マジでこれしかありません。王道というか、正道、一本道だと思う。

この方法がいいのは、まず、お客さまの髪形って写真よりもリアルな美容師さんの‟作品”だからです。髪って立体なので、生で見るに限ります。しかも、美容室帰りにでも会わない限り時間も経っているだろうし、本人がスタイリングしてかわいいのはかなりの腕前です。

さらに、写真に対する「かわいいな」よりも、身近な人に対する「かわいいな」は単なる造形だけの話ではなくて、その人のパーソナリティにも合っていて、あなた自身が好感を持っているから感じるのだと思うんです。これは、意外と天と地ほど違います。より心の深いところに刺さっているはず。

フライヤーだけで演目を選ぶと打率は低いと言いましたが、推しとか信頼できる人を中心に演目を選ぶと打率は9割になります。それで気づいたんです、あ~これって美容師選びと同じだわ!と。
昨年ちょうど、ネスくんの演出してくれてる先生が主宰する舞台を拝見したり、ナルステで出会った広大くんが感銘を受けていた舞台を急遽見に行ったり、RABの縁で誤算にハマったり、そうやって新しいご贔屓のカンパニーがたくさん見つかった1年だったので……
私のそういった観劇行動に限らず、推しが出てる映画やドラマの原作を読むとか、贔屓が退団後に出演する舞台を見て新しい作品を知ったり俳優さんを見つけたりするとか、それと同じなんですよ。

ぜひ一度、スマホから身のまわりに目線を変えて。
探せば絶対いるはずです。取引先の人とか、なじみの店員さんとかでもいいと思うんですよね…… 現場で見かけた同界隈の知らないオタクとかでもいいと思う。
私、この仕事始めてからではありますが、1回エイトの現場でかわいい髪の子見つけて追いかけて「そこの素敵なボブのお姉さん!!!どこの美容室行ってますか!!!!」って聞いたことある(SHIMAだった)。変な奴だと思われたとは思うんですが、オタの恥はかき捨てというか、同界隈のオタクに髪を褒められてイヤな気はしないと笑っておられました。渋谷担のお姉さんだった。鼻息の荒い村上担が話しかけてすみませんでした。

オタ友増やすついでにぜひやってみてほしい。
直接話しかけるのが苦手だったら、いっそリプとかでもいいと思うんですよ。いるでしょ周りに、かわいいな~と思うオタ友。
髪形は立体だから生で見た方がイイとは言いましたが、感性が合うかどうかの方が大事だとすれば、SNSつながりの友達でも全然いいと思います。顔スタンプで隠しててもデジタルネイティブならムードでわかるやろ、この子のセンス好きやな〜みたいなの。

共感だったり憧れだったり、前提に好意的な思いさえあれば、同じ美容師さんが「合う」かもしれないと思うので。
技術も大事なんですが、技術以上にフィロソフィーが共鳴するかどうかが大事な商売なので……
失敗した→リセットして一からインスタとにらめっこではなくて、マジで人に聞いてほしいです。

推しと違うのは「降りにくい」とこだよな

「紹介」って王道で正道なんですけど、1点だけ最大のデメリットがありますよね。
見出しの通り、人に紹介してもらった美容室って「行かなきゃ」って思いやすいことです。紹介してくれた人に好意があるほどそうだよね。

これはもう、業界人として声を大にして背中を押したいんですが
ちょっとでも合わないかもと思ったら、行くな! 合わせる必要ないぞ!
超長文だけど、今日ここが一番重要です。理解してもらうのここだけでいい。

さっき何回も言ったけど、美容師さんとの「合う/合わない」ってマジで十人十色だからです。自分にとって近い感性の人に紹介してもらったら打率は上がりやすいですが、100%ではありません。同担の中でも仲良くなれる人となれない人がいるのと一緒。

なので、接客などでちょっとでも「イヤかも」と思うことがあったら、一度思い切って他の人を紹介しなおしてもらうのが良いと思います。他の人にあたるのもいいし、同じ子に前に行ってたところを聞くのもいいかも。その子には合わないだけでいいかもしれないし、教えてもらうついでに「何がイヤで変えたか」も聞けるから、より深まりますよね。
逆に、紹介してあげる人は、紹介した人がそこの美容室行かなくなることもご理解いただき、受け入れてあげてほしいです。

お客さまが「イヤかも」を飲み込んで我慢しやすい理由もよくわかってます。せっかく良いところを見つけたのにまた探すのがイヤだ……というのと、一度離れてしまって「やっぱりココがよかった」と思っても行きづらいからですよね。

これも業界人として声を大にして言わせてくれ。
一回離れたお客さんがまだ来てくれて喜ばない美容師はいません!!!!!!!!
万が一、皮肉を言ったり来なかったことで邪険に扱ったりするような人がいたら、その人自体が美容師に向いていないので、安心して行くのやめてください

とはいえ、来なかった理由(他のお店に行った理由)を聞かれる可能性はあります。これはなぜかを最後に説明しますね。

美容師さん側とすれば、一度来なくなった理由を聞けるのは、またとないサービス改善のチャンスだからです。ちょっと値段が高いとか、施術時間が長いとか、話しかけられるのが疲れるとか、正直に言ってもらった方が圧倒的にありがたいものなんですよ。
美容室って、来店周期が他のサービス業に比べて極端に長い商売です。お客さまを送り出して、その人が満足したかどうかは3カ月後また来てもらったときでないとわからないもの。いらっしゃらなくなったな……と気づくのって短くて半年先で、半年前に私何やらかしたっけ……?と思い出さざるを得ない、業務のフィードバックがしづらい業種でもあるんです。
先輩や先生(オーナーさんなど。お師匠さん)も張り付いて見てるわけじゃないから、お客さまを担当できるようになった美容師さん(スタイリスト)にとっての一番の先生ってお客さまなんですよ。みなさん1人ひとりがサンチェさんなんです。

美容師さんの全員が全員、そんなふうに勉強熱心で前向きな人だとは私も思いません。
私は仕事柄、そういう熱意をまだお持ちでない方まで含めて美容師さんが大好きですが、それを読者の皆さんに押し付ける気は毛頭ありません。

ただ、1人でも多く、感性が共鳴できて熱心な美容師さんと美容室に出会ってほしいんですよね。全員がそうじゃないとは言ったけど、たくさんいるんですよ。余すことなく出会ってくれ。
そういう人に出会えることはお客さま自身の生活が豊かになるし、美容師さん自身の成長にもつながるからです。

生きてる人間を推してる人って、根本は人に興味があって優しい人だと思うので、そういう人が良い美容師さんに出会ってくれたらうれしいなと。
その反面、優しい人であるがあまり不満があっても抱え込んで通い続けられ、熱心でない方のカモにされる恐れもあるなと思ったのも、コレ書こう~と思った背景です。
美容師って50万人以上いると言われてるんです。合わない人、すこしばかりいる熱意のない人に消耗するなら、熱意のある人と運命の出会いを果たしてくれ。

またもや長くなった。これ読んでる人いるけ?
毎度のことですが、いたら本当にありがとうございます。その心映えだけで大吉です(氷占いの論理)
すこしでも毎日がラクになりますように。

★★★2023年3月末・書籍を上梓します★★★

宝塚の座付き作家を推す!   スターを支える立役者たち 七島 周子(著)
四六判  280ページ 並製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074

https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787274533/

ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
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