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世界の王者テスラを追い越せたBYDはなにもの?ー中国EV市場のクローズアップ(3)

2021.11
前回(テスラ中国の躍進)

今世の中に最大の電気自動車メーカーはどの会社?と聞かれたら、ほとんどの人は確信を持って”テスラ”と答えられるでしょう。では2番目は?と聞かれたら、即答できない人が多いでしょう。VW?NIO?それとも宏光Mini evを作ったSAIC?確かにBEVの生産台数でランキングすると、2位の争いが激しくなり、どちらもチャンスがありそうだが、PHVも含めるプラグイン車のメーカーと言えば、BYDは現在の世界で2番目販売台数が多いメーカーとなります。

2019年テスラは驚異的な成長を果たして世界最大の電気自動車メーカーになる前にBYDは先行して既に4年間を続けて世界最大のプラグイン車のメーカーとなってました。2019年~2020年前半まで中国のNEVへの支援策の緩和とコロナのダブル打撃でBYDは苦しい一年を過ごしたが、2020年の半ばから長い間に努力し続けた研究開発は次々と実を結んでました。ブレード電池、統合型電動ユニット、DM-iシステム(燃費効率世界最高のPHVシステム)、様々な電動化技術の集大成の最新のEVプラットフォームなど相次ぎで披露しました。そしてこれらの技術を基づいて完成度の高い車種を目まぐるしいほど市場に送り出し、販売台数が月々2桁の増加率で続けて来ました。2021年7月にBYDは5万台の販売実績でテスラを超えて、単月だけですがグローバルでプラグイン車の最大のメーカーとなりました。

これを機に知名度はテスラに全然及ばないBYDについて、色んな角度からテスラと比較しながら、BYDのこれまでの歩みを振り返て、特徴や最新の動向、将来性について紹介したいと思います。

電気自動車のパイオニアの誕生

電池メーカーとして事業を立ち上げたBYDは2003年に携帯電話のODM事業をスタートすると同時に、創業者の王傳福は電池技術の進歩で携帯電話の進化に大きい影響を齎したことで、電気自動車の未来に目をつけました。ほぼ同じタイミングで、アメリカで同じ志を持つ人たちがテスラを設立しました。

当時のBYDもテスラも自動車の製造に経験やノーハウを持っていなかったし、電気自動車のあるべき姿や本当に実現可能なのかすらわかっていなかったが、電気自動車に未来をかけることにしました。資金の調達方法や事業の起こし方、そして国柄や創業者自身の技術背景など様々なところに異なった両社が全く違うアプローチを取って別々の道で進んできましたが、10数年後の今両者の進む方向は段々近寄ってきて、もうすぐ同じ本線に合流しそうになります。

テスラと全く違うスタートアップ

2003年自動車製造の門外漢だったBYDは中国の小さい完成車メーカーを買収して、自動車製造のノーハウとライセンス(資格)を手に入れました。従来のエンジン車の製造と販売をしながら電気自動車の開発を模索しはじめました。

電気自動車の合理性について今でも疑っている人がたくさんいます。その理由はほとんど動力源であるバッテリーに集中しています。充電に時間をかかり、エネルギ密度が低いため、航続距離の実用性を保つため大量な電池を積み込まないといけなく、コストが非常に高くなります。

当時の技術上の制限は今より遥かに大きかった。テスラは最初取った戦略はコストの問題を割り切って、ハイパフォーマンスの高級EVスポーツカーRoadsterを発表しました。その後続きまして最初の量産車としてModelXとModelS、ハイパフォーマンスの高級車を発売しまし。OTA、ソフトウェアをベースで車を設計、ドメイン集中型E/Eアーキテクチャー、自動運転など様々な革新的な技術要素を策定し、電気自動車の"正しい"姿を率先して定義しました。

その一方BYDはテスラのようなシリコンバレーの技術背景を持っていなく、新しい電気自動車の標準を作り出すスキールや能力を持ってなかったが、中国政府の強力な支援策を受けられるという有利な条件の元で、従来のエンジン車をベースで動力の部分だけを電気化にして、量産にこぎつきました。

2008年にBYDは世界初量産のPHVのF3DMを発表し、その後BEVのe6も発表しまして、世界中に注目を呼んでました。

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2009年BYDのCEO王传福とウォーレン・バフェット初対面し
交換したのはF6DMの模型とお財布

コストも性能も抑えてギリギリの実用性があるPHVやEVを市場に提供して、反応を伺いながら、バッテリーや電動化技術について研究開発をして継続的に製品を改良していく路線で進みました。

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BYDの最初のEV量産車e6、航続距離300km

同時に自動車製造の経験やノーハウの蓄積、そして研究開発に必要な資金を確保するため、エンジン車の開発販売も続けてきました。2018年に年間販売台数52万台を達成し、中国国内メーカーの中Geelyや長城を続き4番目まで伸し上げました。販売台数の内大半(27万台)はエンジン車だったため、中国国内でBYDはレガシィ自動車メーカーと思う人も多いです。

テスラと共通している垂直型統合モデル

テスラはプレミアム大衆車市場に向けModel3/ Yを発売して、販売台数を一気に拡大するとともに、垂直統合モデルもより一段成熟して来ました。電気・電子制御のアキテクチャを根本から設計し直し、ドメインコントロールの概念を取り入れて、そのおかげて多くの部品を従来のTier1から調達することをやめて、自分達でシステムを設計して構築し、パーツをTier2や更に末端なサプライヤーから調達するようにしました。そして自動運転に関わるソフトウェア、チップ、電池など製品の競争力に直結する重要な部品や技術を内製化しました。更に生産プロセスや工場自体にも革新を行い、高度な自動生産ラインを構築し、様々な部品の製造や作業プロセスに改良を加えました。その結果Model3/Yは今世の中最も完成度が高い電気自動車だと専門家に評価されていると同時に、コストも大幅抑えられました。

動機も技術路線もテスラと異なりますが、BYDにおける自動車部品の内製化はテスラより更に進んでいます。トップの王傅福はエンジニア出身だったためか、あらゆる部品を自分で作りた方がもっとうまく、もっと安くできるるという自信も意欲も高いです。また携帯電話のODM事業も同時に携わって、今Foxconnの続き世界2番目の大手まで成長して、Apple、ファーウェイ、Xiaomiなどの最新スマートデバイスの製造を行って、その自信と意欲の背後に世界トップレベルの先端製造能力を持っているからです。

今BYDは今お家伝の宝刀のバッテリーや充電器はもちろん、車載半導体、モーター、インバータ、変速器など駆動システムのコアな部品からエアコンやメーター、LEDなど細かな部品まで自社で製造して、”タイヤとガラス以外は全部自家製”と業界で評判されています。

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BYDのブレード電池(LFP) 
安全性、エネルギ密度、コストどちらも世界最高峰と言える動力電池


高度な垂直統合型モデルはBYDとテスラに大きいなアドバンテージをもたらしました。設計に沿い最適化されたされた部品を使用できて、車の完成度がアップされます。部品調達のコストも削減ができて、安定供給も保証されます。競合他社にとってこの差を短期間で埋めるのはとても困難だと思います。

エネルギー貯蓄産業への参入

BYDとテスラは気質的に全く違う会社に見えますが、根っこのビジネスロジックはとても似ています。両者とも垂直統合型のモデルを取った以外に、再エネの関連産業に対して包括的な考え方と全面的に参入する姿勢も似た者同士です。

脱炭素、環境保護、再エネの利用について日々需要が高めて来た今、BYDとテスラはいち早くこの時代の動きを先読みして、再エネに関連する様々な製品を開発して展開しました。主力商品のEVを始め、家庭用分散型発電・蓄電システムから事業者向けの大規模集中型再エネシステムまで、ハードウェアからソフトウェアまで、ソリューションを含め様々な商品やサービスを提供しています。

再エネの関連産業の中、役割的にも産業規模の大きさ的にもEVと再エネの生成・貯蓄産業は目玉の産業だと思われています。しかしEV産業は近年驚異的な成長を果たした一方、EV産業に相当するもしくはそれ以上の規模に成長する可能性があると見られる再エネの生成・貯蓄産業につきまして、蓄電池の価格は高かったことが主な原因として、電力調整の市場ニーズも関連技術も足りなかったり、様々な要因で先行で参入している企業はほとんど赤字を出し続けて来まして、市場が期待されたほど活性化できてなかったです。

しかしバッテリー技術の進歩によって状況が一変しました。動力電池の安全性、寿命、充放電性能が大幅で向上して、コストも劇的に低下することとなり、そのおかげで定置型蓄電池システムの原価が大幅低下し始めてきました。また再エネの発電容量が増えて来て、天候の影響を受けやすい不安定さも顕在化となり、蓄電システムやスマートグリッド技術に対する需要が急激的に高くなってきました。

テスラの定置型蓄電システムで使用されるバッテリーがCATLなど外部から調達していますが、バッテリーの平均単価は全体的に下がり続けているため、いよいよエネルギー事業の黒字化の転換点を迎えてきました。

またテスラは設備メーカーとしてエネルギー関連製品の販売にとどまらず、スーパーチャージャーの充電インフラを自身で運営し、自社のEVの販売促進に効果を与えるだけではなく、エネルギー小売のサービスとして今後一つ大きい産業になると見込まれています。

Goldmanによりテスラのスーパーチャージが他ブランドに公開し、50万個に増えたら、年間25億ドルの利益がでるとの試算(現在25,000)

また電力会社のライセンスも申請しています。将来的にVPPなどの技術を生かして、無数のテスラ車(V2Gを通して)、PowerWall、MegaPackなどの設備やシステムを繋ぎこんで、仮想発電所を中心に再エネによる電力の生成、貯蓄、調達、リテールをAIにより自動で行われ、効率的、安定的に再エネの利用を実現することを目指しているだろうと思います。

一方BYDは中国のコンプライアンスの関係でテスラのように電力を直接家庭に販売するなどのサービスの提供が難しく、集中型のエネルギー貯蓄システムの運営に関わりが多いため、設備メーカーとして商品の提供に専念することになります。動力電池の大量生産と技術革新の成果を定置型蓄電システムに反映して、2020年8月BYDはブレード電池搭載の新しい蓄電システムBYD Cubeをリリースして、エネルギー密度は90%を向上を実現しました。2020年11月、中国青海の170MWhの太陽光発電プロジェクトにBYDの蓄電システムが受注しまして、システムの提供価格は1.06元(日本円約17円)/whという業界平均の約半分ぐらい価格で提供しました。また中国国内だけではなく、海外への販売も好調でグローバル市場で最大級のメーカーとなっています。

最近世界各国で電力の不足が起きてしまい、再エネの安定利用が喫緊の課題として注目が高めになって、エネルギー貯蓄システムの大規模の導入が本格的に加速していくと思われます。BYDとテスラの関連事業もこれから大きいな成長を果たして、会社の収益構造も大きく変わる可能性があると思います。

中国NEV市場の現状

BYDのNEV(プラグイン車)の直近3ヶ月の販売台数は驚異的な成長を果たしました。6月に4万台、7月に5万台、8月に6.1万台、3ヶ月連続で月々20%以上の成長スピードを維持してきました。直接な原因は上述したようにBYD長年掛けた電動化技術の研究成果が実を結んで、完成度の高い車がどんどん発表されたて人気が爆発しました。

もう一つ大きい背景としては、中国の電気自動車市場が長期間渡って発展して市場を育成して来ました。また近年EVは飛躍的に性能の向上と価格の低下を実現し、EVのメリットに惹かれて購入する人が急増しています。特に去年の後半からEVへのシフトは一気に加速しました。乗用車のNEVのシェアは2020-12の9%から、2021-08の16%に前例のないスピードで急伸しました。

バッテリー技術の進歩によりEVの使い勝手が大分改善されました。集計データによるとEVの一回の充電で平均の走行距離は200km余りから300km以上に伸びました。また充電インフラの整備や急速充電の普及により一般的な使い方ではほとんどストレスを感じず安心で使えるようになりました。

BYDの一番人気が高いEVー漢を例にすると、夏でエアコンをつけて満充電で450km~480kmを走れる、途中で充電をしなくても遠いところまで移動できる。急速充電を使えば1時間で20%から満充電できます。冬でも0度前後の場合、エアコンをつけて航続距離は400kmまで落ちって、マイナス10度の場合さらに350kmぐらいまで落ちますが、市内やそんなに遠くないところへの移動するのもそれほどストレスを感じないです。

BYDのフラグシップセダンー漢のPV
赤はBEV、銀色はPHV

そしてEVのメリットとして、一番評価されるのは利用コストが低いことです。ほとんど家で充電するを前提で計算すると、百キロを走るほどの充電コストは約7~8元(日本円で112円~128円)、メンテナンス費用もエンジン車に比べ大幅低下となります。またEVの加速性能や運転の快適さ(静粛性や排気ガスの臭いのないこと)、エンジン車より比較的社内空間の広さやスマート化が進んでいることなど、様々な点をユーザーから評価されています。更に外部への放電機能もいろいろな場面で活用できて重宝にする人も多いです。

国の補助金や一部の都市で実施されているナンバーブレードの取得や交通制限にNEVに対して優遇するの支援策はまだ継続されていますが、補助金はピーク時比べて大分削減されているため、決定的な検討要素でなくなって来ました。EVの使用の不便さや価格の高さ等のデメリットは徐々に拭き取られて、メリットの方をますます高く評価されまして、EV市場は政策に依存することから脱却してユーザーニーズ主導の新しいフェースに突入しました。

こんなプログレッシブな変化はBYDを含め全EVメーカーにとって追い風となりますが、数多いメーカーの中BYDの成長スピードは驚異的でした。その理由について下記4つを上げられると思います。

1.新興メーカーにない高い生産開発能力を生かして数の多い車種を開発
2.バッテリー、半導体の内製化により安定供給
3.競合のいないPHVの技術
4.大衆車価格帯で頑張って来た先行者アドバンテージ

3と4について下記詳しく説明したいと思います。

PHV市場を支配するBYD

2021年1月にBYDは自社の第3世代のPHVシステムーDM-iを正式に発表しまして、その後次々とDM-iを搭載する車種を披露しました。8月中国のNEVの販売台数は32.1万台、その内BEVは26.5万台、PHVは5.6万台となります。少数派だったPHVですが、5.6万台の中BYDのDM-iの販売台数は3万台で市場全体の過半数を占めしています。

トヨタなどのレガシィ自動車メーカーは新興EVメーカーと違って、PHVの市場規模に非常に期待していました。BEVより容量が少ないバッテリーを搭載してコストが抑えられ、ガソリンで走行可能で電池切れの心配もいらない、BEVの実用性や価格は今よりもっと理想な形態に進化を遂げる前に、PHVは一番”合理”的な選択肢ではないかと思っている人が多くいます。しかし現実はほとんどのメーカーが出したPHVは思ったほど売られていないです。

直接な原因はやはりPHVの価格は割高だと思います。同モデルのエンジン車より大体80万円~100万円ぐらい高くなってしまいます。価格は高騰になる原因はPHVを開発するとき手法に問題があると思います。基本的PHVは従来のエンジン車をベースにして、モーター、バッテリー、ハイブリッドシステムと充電システムを付き加えるやり方で開発しました。ベースのエンジン車に比べてただの足し算となり、当然出来上がったPHVのコストも高騰となり、製品完成度もイマイチでPHVの立ち位置の通りに中途半端な製品になってしまいます。

BYDのDM-iは自社のEVの製造で蓄積した技術を生かして、ベースはエンジン車ではなく、バッテリーの容量の少ない低価格なEVにしまして、PHVに特化した燃費のいいエンジンを搭載する形でシステムを構成しました。コストを抑えられてEVの”美味しさ”も最大限に持ちまして、完成度の高い製品を実現しました。特化して作られたエンジンは常に高い効率で動作するため、エンジンで駆動する場合も百キロ3~4Lという驚異的な燃費を実現しました。

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熱効率43%のエンジン、EHSハイブリッドシステム、
ブレード電池、高速充電システムで構成されたDM-i

PHVの分野に関しまして新興メーカーの中Li-Autoの理想OneもPHVに分類されますが、エンジンは外部から購入したもので、システムの効率化や小型化などのオプティマイズもBYD及ばなかったため、大型SUVをしか出せなかったです。テスラもPHVに全く興味がない。中国に進出する従来の自動車メーカーは上記の理由で価格面と性能面でBYDと対抗できるPHVシステムを出すには様々な工夫が必要です。長城など現地のメーカーはBYDと類似のPHVシステムを発表しましたが、実車の販売はまだ先だったので、現時点でPHVの分野では、市場の占有率で示したようにBYDはほぼ敵がいない状態となっています。エンジン車からEVへのシフトが加速している今、PHVというもう一つ”合理”的な選択肢を用意できたBYDはもうしばらくPHV市場で独走する状態が続くと思います。

大衆車価格帯で頑張ってきた先行者アドバンテージ

2019年中国がそれまでに実施してきた手厚い助成金が大幅カットされまして、その直後10万~20万元の価格帯のNEVはすぐに苦戦に陥り、市場は2極化に進んで来ました。販売台数の一番多い車種は6万元以下の小型EV、またはテスラを代表とする20万元以上のプレミアムカーとなり、30万元以上の高級車も一定の需要があります。

小型EVは航続距離など一部の性能を割り切って限定的な利用シーンに対して必要な性能とEVのメリットを保た上で、エンジン車の価格差を無視していいレベルまで安くなっています。またプレミアムEVは普通のエンジン車でなかなか味わえない加速性能や最先端の自動運転技術を搭載されています。どちらも従来の同価格のエンジン車が提供できない価値を実現したため差別化ができました。

一方10万~20万元のEVではコストを抑えるため先進性とパフォーマンスの特徴が出しにくくなり、助成金のサポートもなくなって、価格はエンジン車に比べて割高感が出て競争力を失ってしまいました。しかし一時的にダメージを受けたNEV業界、特に大衆車価格帯で頑張ってきたメーカー達の立ち直りは思ったより早かったです。2019年から約1年~1年半ぐらい短い間に、BYD、WM-Motor、Leap-Motor、Hozon-auto、長城などが相次ぎ完成度が高い車種をリリースして、大衆車価格帯のNEV市場が盛り上がって来まして、エンジン車が絶対的に支配している牙城が少しずつ崩し始めています。

移り変わりが早い中国NEV市場、こうして2極化から脱却して全価格帯で展開してエンジン車との競争する局面に入りました。また支援策は緩和されても競争力が失われないNEV市場は政策主導から製品力の主導へのシフトができたとも言えます。

話が戻って、BYDは20万元以上価格帯にEVのフラグシップセダンの漢とSUVの唐も出していまして、テスラやXpengの競合車種とよく比較されされていますが、10万元~20万元の価格帯となったら、テスラ、NIO、Li-Autoの不在で、コスパが優れた車種多数提供しているBYDの存在感が圧倒的です。

例えば今10万元~20万元の価格帯で最も売れているBEVー秦PLUS ev、直近の9月の販売台数は7180台、長さ4.7メートルのセダン、価格は12.9万元~17.4万元でリーズナブル、航続距離は400km~600kmで実用的、デザインは上位の漢(BYDのフラグシップEV)を継承して好評されています。また同じ車種のPHV版の秦PLUS DM-iはEV版より約2万元も安くて10.58万元で、バッテリーでの航続距離は120km、NEV部門のこの価格帯で最も売れている車種となります。

もう一つ注目されている車種は9月から発売したばっかりDolphinでした。BYD最新のEVプラットフォームe-platform3.0の第1号の車種として、サイズ感や価格帯はFitととても近いので、EV版のFitとの評価が広がっています。航続距離400kmのバージョンは10万元(160万円はちょうど日本のFitの販売価格と相当する)としての価格設定、小さい車体サイズの割に広い社内空間、若者を意識したデザイン、急速充電やヒートポンプエアコンを標準搭載しています。格安のEVには物が足りなく予算も限られたユーザーにとって理想的車となります。初月だけで販売台数は3000台を超えまして、近いうちに単月で1万超える人気車種になるのは間違いないと思います。

テスラは今現行の主力車種のModel3、ModelYの注文は常に生産キャッパをオーバーしてしまう状態が続けていまして、絶大的に待望がされているサイバートラックがさえ生産できてない状況の中、低価格のModel Qの発売が2023年の予定となっています。他の新興メーカーのNIOやLi-autoも似たような状況です。中国の大衆車価格帯のNEV市場が盛り上がったことが後押しとして、全価格帯でラインナップを用意できたBYDはより一歩リードできました。

動き出す商用EV市場への備え

2010年BYDは電気バスK9を発表しまして商用EVの市場へ踏み入れました。今は日本を含め世界の50カ国に合計7万台の電気バスを納入しまして、世界最大級のEVバスメーカーとなっています。

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ロンドンで走るBYDのEVバス

バスやタクシーなどの商用車は毎日の平均走行距離は乗用車より長いため、電気化により脱炭素の効果が高く、排出削減の有効の手段として各国の政府から重視されまして、軒並びに商用車ヘの支援策を充実させるようにして来ました。バスやタクシーの運営会社も環境保全の活動として企業イメージがアップできて、利用者の満足度が向上するし、運営コストも削減できてメリット多いですが、初期導入コストはほぼ唯一のボトルネックとなります。政府からの支援政策により導入コストの低減が実現できれば、導入は加速していくことが確実です。BNEFの予測より、バスの電気化は乗用車よりも早く、2030年に63%に到達するとの結果もあります。

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引用元:BNEFーelectric-vehicle-outlook

最先端な車両、豊富な導入実績、しっかりした現地のサポート、低価格、様々な強みを持っているBYDはこの急成長の市場にさらなる大きいな成果が上がると思います。

もう一つこれから注目すべき分野は物流車のEV化の動きです。中国で乗用車市場のEVの占有率は単月でもう既に16%を超えましたが、トラックなどの配送用車両のEVの占有率は約現在3%に留まっています。導入するネックはやはりコストと航続距離はまだ実用段階に達してないと思われています。しかしBYDは物流車のEVの開発に怠ることがなく、政府主導のプロジェクトに積極的応募し、積載量や用途が違う様々な車両を納入しまして実績を積み上げました。また乗用車の研究開発の最新成果を商用車に反映し継続的に改良を続けました。車種のラインナップも拡充して、今はバン、小型~大型トラック、特殊車両(冷蔵冷凍車、清掃車、ミキサー車)様々の車種を開発してカタログに追加しました。中国や世界中で物流車のEV化の波が押し寄せてくると思われます。この分野でもBYDの活躍をものすごく期待しています。

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BYD  V3 ブレード電池搭載 航続距離330km 1.2時間で満充電

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5トントラック T5

終わり

BYDは電気自動車へのチャレンジをし始めてから10数年間、ローエンドの製品から着手し、地道に改良や研究開発を行い、技術力と製品力を向上して来ました。特に近年自社のNEVの完成度が一段上に登り来てから、従来の弱み(ブランドイメージは高くない、デザインやディーテールを重視しない、AIや自動運転などソフトウェアの面が弱い)の改善に躍起しました。その成果として初めて20万元以上のEVー漢、唐を出して大成功を収めました。ブランドイメージを大幅向上すると同時に、見事にレガシー自動車メーカーからNEVメーカーへの転身し、自社のエンジン車のシェアは去年の50%から一気に10%くらいまで減りました。

2年前までBYDとテスラは並行線それぞれの道で進み続けましたが、テスラの中国の進出とBYDのプレミアム、高級車のライナップの拡張により、両者がようやく中国市場でぶつかりはじめました。これからテスラも大衆車のModel Qも発表し、Model S、Model X、Roadstarの更新も行われる予定となり、BYDもe-platform3をベースでSUVや高級セダンを出す予定となって、両者の競い合うはこれからますます白熱になり、しばらく勝負が決まらないと思います。ただ一つだけ言い切れるのは両者競い合うのはどちらも敗者にならないです。



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