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家事をする男は下男なのか?

家事に対する考え方は、人によって多種多様。年代や性別によって、びっくりする位に大きく違うことがあります。それをはっきりと教えてくれたのは義父でした。

◾️義父が発した驚きの言葉

妻と結婚して間もない頃、週末に一緒にご飯を食べることになって妻の実家を訪れた。そして食後、僕が洗い物を始めた時にかけられたのが、次の言葉である。

義父 「下男(げなん)の様なことをさせて悪いね」

僕    (下男 ⁉︎   △@&%#… )

全く想定外の言葉をかけられた驚きと、「下男」という言葉の響きが新鮮だったことを覚えている。

普段、「下男」とか「下女」という言葉を見聞きすることはまずない。僕自身について言えば、子供の頃に夏目漱石とかを読んでいた時以来の出会いである。

僕にとって「下男」とは、昔の文学作品に登場する死語。それが義父にとっては現役の言葉だったのだ。それと同時に、家事に対する考え方の違いを実感した。

因みに下男という言葉を辞書で引くと次の通りである。

げなん【下男】
雑用などをするために雇われている男。下働きの男。めしつかいの男。下僕。しもべ。

精選版  日本国語大辞典

◾️義父の時代と価値観

義父は戦前生まれの80代。現役の頃はとにかく仕事漬けで、毎晩帰宅も遅かった。当然のことながら、家事や子供のことは全て義母に任せっきりだったらしい。

そんな義父の現在は、リタイアして時間を持て余している状態だ。

それでも、家事は男がするものではなく女(義母)がするものだと心の底から思っている。

だから義母が体調を崩して自分に家事がまわって来ると、「俺は下男に成り下がった」と、ぼやき続ける。

この価値観が、義父の生まれ育った環境に起因するのか、その後の長い結婚生活で培われたのかは分からない。

しかし良い悪いは別として、かつての日本では「男は外で働き、女は家を守る」という風潮が強かったのは事実。そして義父は、そんな時代を生き抜き、今日に至っている。

なお義父の名誉の為に書き添えておくと、義父は決して性格が悪いわけでもなく、義母や僕達夫婦との関係も良好である。

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