小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

 こんにちは。社労士の関田です。
 新型コロナウィルス(COVID19)の感染拡大により全国の小中高等学校が休校となっています。該当する学年のお子さんをお持ちの親御さんはやむを得ず休業されている方もいらっしゃるかと思いますが、これに関連し、一定の所得を補償するような助成金を支給するということが発表されています。

助成金の概要

 2020年3月10日現在、経済産業省のウェブサイトにパンフレットが公開されています。「新型コロナウィルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」というパンフレットの13ページに概要が掲載されています。
 支給要件としては、小学校等に通う子の世話をする必要により休業した労働者に、労働基準法の年次有給休暇とは別に、有給の休暇(賃金の全額が支給される休暇)を与えた事業主に対し、8,330円を上限にその支給した賃金額全額を支給することとなっています。支給対象が事業主ですので、休業した労働者が直接支給を受けるものではありません。
整理すると以下のような流れになります。
 1.小学校等の休校により2/27~3/31の期間に労働者が休業する。
 2.その休業に対して事業主が、本来得られるはずであった賃金の全額を支給する。
 3.事業主に対し、休業に対して支給した賃金額に相当する金額の助成金を支給する。ただし1日の賃金額の上限は8,330円とする。

助成金の支給を受けるのは事業主

 上記に示したとおり、賃金の補償をするのは事業主であり、その補償を行った事業主に対して助成金を支給することとなっています。休業中の賃金を受けられるかどうかは事業主の判断ということです。1日の賃金額が8,330円を上回るような労働者ばかりの事業主にとっては助成金を受給したとしても収支はマイナスになりますので休業した場合に給与を支払ってもらえるのかどうかは事業主とよく相談し、給与の支払いを受けられない場合は年次有給休暇を利用する等、別の対策を考える必要があるでしょう。
 また、日によって労働時間が異なるパートタイムの方で、労働時間の長い日は1万円、短い日は5千円の賃金を受けるような場合に、合計の1万5千円が2日分の上限16,660円に収まっているので満額支給となるのか、長い日は上限に引っかかるので8,330円の支給、短い日は満額5,000円の支給で合計では13,330円の支給となるのかについての言及は現時点ではありません。その点についても注意が必要です。

家庭生活と仕事のバランスの考慮を

 以上のように、助成金が直接労働者に支給されるわけではありませんので、事業主の意向を確認せず休業することは好ましくありません。事業主も雇用を守るため、大切な従業員を守るため生活の補償をしてあげたい気持ちはあるはずです。しかし無い袖は振れないのも事実です。小学校等に通うお子さんがいらっしゃる家庭では、それらの点も考慮しつつ、子供を守ることと働くことのバランスをとっていく必要が有ると思います。
 今後の動向について、新たな情報が出た場合にはなるべくお伝えするようにはしますが、一次情報は政府(や省庁)のウェブサイト等であることにご留意いただき、常に正確な情報を入手することでこの非常事態を乗り切っていただきたいと思います。



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