Apple vs Google
AppleとGoogleは、ともに「GAFA」の一角として圧倒的な知名度と実績を誇り、
世界中を見渡しても知らない人がいないであろう、エクセレントカンパニーです。
ただ、デザインのテイストや雰囲気、ブランドイメージは、かなりかけ離れているように思います。
Appleは洗練されておりスマートな印象、Googleはポップで楽しい印象。
Apple Storeの店頭にもそのコンセプトは反映されており、
AndroidやGoogleブランドのカラーリングは、相容れない感覚を覚えます。
Appleの『Human Interface Guidelines』に続けて、
Googleの『Material Design』を一旦読み終えました。
(それぞれ、両社が無料公開している、デザインする上での基本的な考え方や、前提をまとめたドキュメントです。)
読み終えての感想をまとめてみたいと思います。
両ガイドラインの特徴
【Apple】
・MacOS、iOS、watchOS、tvOSと、デバイスごとに章立てされている
・ハードウェアそれぞれの特徴や機能、インタラクションについて、多くのページが割かれている
【Google】
・レイアウトや色使い、バーの活用法やボタン・カードなどについての言及が多い
・音については周波数の動き方、モーションについては動く速度や距離感などについて、かなりの分量が割かれている
(デバイスごとの対応や詳細説明はなく、PC/スマホでどう最適化するか、という最低限の内容)
両社が目指すところ
よく知られているように、AppleはGAFAの中では唯一有形のプロダクトがビジネスの根幹をなす、「ものづくり(ハードウェア)」の企業です。
ハードウェアとソフトウェアの掛け算で、誰もが感動するような新たな体験を生み出すことを目指していると思われます。
なので、ソフトウェア(アプリやWebサービス)の開発における基本思想となるガイドラインも、
「いかにハードウェアと溶け合い、一体となった体験を生み出すか」がベースにあると考えられます。
人間とハードウェアの媒介となり、体験を生み出すのがソフトウェアなので、
ガイドラインの名称も、「Human Interface」という名前になっています。
(人間の体験を生み出すインターフェースに関する、ガイドライン。)
一方Googleは、検索エンジンを皮切りに、ありとあらゆる情報を編集し、アクセスできるようにすることを目指しています。
(Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。)
なので、アプリもWebサービスも、言うなれば「情報を整理し、わかりやすくアクセスしてもらう」ことが目的です。
そうなると、配色や配置に加えて、視覚・聴覚にどう働きかけると情報が伝わりやすいのかというテーマが中心となり、
「グラフの作り方」や「見やすいチャートのお作法」などもガイドラインに入ってきます。(Appleにはない)
つまり、あらゆる情報を編集し、編纂し、可視化するというミッションを掲げているからこそ、
ソフトウェアも「情報」が中心に設計されており、「どのように情報を届けるか」が主題となります。
Material Designという名前にもその考え方が反映されており、
インターネット上で”紙”に印刷し、その紙をレイヤー化(重ねて)して、画面が構成されているという考え方になっています。
情報が詰まった要素を組み合わせたMaterialによって、人々に利便性や豊かさを届ける、ということがベースにあります。
コンセプトの違い
一言で言えば、
「Appleの目指すゴールは”創造力の解放者”であり、Googleは”森羅万象の編集者”を目指している」
というコンセプトの違いが、ガイドラインにも表れているように感じました。
ハードウェアとソフトウェアの境目をなくし、人間のポテンシャルの解放を目指すApple。
あらゆる情報を分かりやすく、見やすく、楽しく人々に届けることを目指すGoogle。
Appleにとってソフトウェアは、ハードウェアと人間をつなげて体験を生み出す「Interface」であり、
Googleにとってソフトウェアは、情報を魅力的に編集して人々に届ける「Material」である。
そんな思想哲学レイヤーでの違いも頭の片隅に置きながら、
純正アプリを触って、使って、トレースして、もっと深いインプットを目指していきます。