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『融けるデザイン / 渡邊恵太』(本めぐり①)

面白かったーーーー!!!
本当にめちゃくちゃ面白かった。

コンピュータサイエンスとか、テクノロジーの歴史とか、そっちの文脈にほぼ触れてこなかったので、歴史・哲学を絡めてコンピュータを掘り下げた前半部分でまず興奮しっぱなし。

・0/1でなんでも表現でき、何にでもなれる万能性がコンピュータの本質
・まずは実世界にあるものを表現することから始め、メタファでパソコンやスマホが進化した
・しかし、メタファには限界があり、実世界のありようがコンピュータのポテンシャルを閉ざしてしまう
・そこで、人間の体験をベースとした設計にパラダイムが変わってきている
・デザイナーの役割は、何にでもなれるコンピュータのありようを決め、世の中の体験を拡張することにある

みたいな話、めちゃくちゃ面白くないですか笑。

UXUIをデザインする上では、モノにも人間にも詳しくならないといけないので、まさにテクノロジーとリベラルアーツの交差点に立たなければいけない。その文脈で見返したときに、心理学者とマッキントッシュを開発したAppleはやっぱりバケモンだなーとか。

テレビじゃなくても映像プログラムは楽しめるし、固定電話じゃなくても遠くの人と会話ができるし、ラジカセがなくても音楽が聴けるし。
ワンデバイス・ワンエクスペリエンスという前提がひっくり返った世の中になったんだから、そりゃあらゆる領域が変化せざるをえないよなぁ。
デバイスの機能を磨くか、コンテンツのクオリティを磨くかだけやってればよかったところから、文脈とニーズに合わせた理想の体験を描いて、その次の工程としてデバイスとコンテンツを研ぎ澄ませるという順番になる

「プレユーザー」という考え方も非常に興味深くて、「カメラを手に取って撮影している時間」よりも「カメラを家に置いている時間」な方が圧倒的に長いんだから、そのタイミングの体験も設計しなきゃだよね、という。

HR領域のSaaSをこれからやっていく上でも参考になることが多くて、「理想とする体験は何なのか」を考えるのはもちろん、

・いつ、どんな文脈で、どんな気持ちで使ってもらうのか
・どのデバイス(ハードウェア)を想定し、その特徴を活かすならどんなインターフェースが必要なのか
・使われてない時間、ユーザーはどんな環境でどんな会話や行動をしていて、プロダクトはどうなっていれば日常生活に溶け込めるのか

とか、もっともっとスコープ広げて考えないとなー。
時間軸で言えば、導入前とか、使ってない時間もデザインしなきゃだし、空間軸で言えばハードウェアや他のツールとの共存方法も、よりリアルに考えないといけない。

右脳と左脳を総動員する、本当に総合格闘技な職種だなぁと日々思う。
まず直近3ヶ月は、細かな修正や小さな機能の設計・実装をできるように、足元を固めるのが至上命題なのですが、大局観やビジョンは常に大切にしなきゃいけないとつくづく感じる今日この頃です。