算数カリキュラムと大学制度案


1.現行の算数カリキュラム

 これまで小学校の算数カリキュラムを確認してきました。

まとめると以下の通りです。

〇 小学1年生

(A.数と計算)
ものの個数や順序に数を対応させることができる。
数の大小関係を理解し、数直線で表したりできる。
1の位、10の位、100の位を理解し、数を表現できるようにする。
1桁の足し算、引き算、簡単な2桁の足し算、引き算もできるようになる。
(B.図形)
形の特徴を知る。(さんかく、しかく、まる)
形を分解したり、重ねたりできる。(四角形→三角形、三角形→四角形)
方向やものの位置を理解する(前後、左右、上下)
(C.測定)
長さ、広さ、かさ等の量を比べられるようにする。
適当な単位(コップ等)を使用して比べられるようにする。
時計を読めるようにする。
(D.データの活用)
動物の絵など分類して、並べ頭数を比較する等

〇 小学2年生

(A.数と計算)
1000までの数を理解し、大小関係や数を固まりで把握する。
1つの数を数の積とみる。
簡単な分数を知る。
百の位の加法、減法ができるようになる。
九九や簡単な2桁の計算(4×10,4×11等)もできるようになる。
(B.図形)
三角形や四角形の約束や特徴について学ぶ。
正方形、長方形と直角三角形(直角)について学ぶ。
正方形と長方形でできる箱について学ぶ。
(C.測定)
長さ、かさの単位と測定について知る。
およその見当と適切な単位について学ぶ。
時間の単位(日、時、分)と簡単な計算ができるようになる。
(D.データの活用)
簡単な表やグラフを読み取る、データを整理する

〇 小学3年生

(A.数と計算)
10000までの数を理解し、大小関係や数を固まりで把握する。
加法と減法(4桁や5桁)
乗法(3桁、4桁×1桁、2桁)
除法、小数(1/10)、分数(2/3)
そろばん
(B.図形)
二等辺三角形、正三角形の性質と作図
角度とは何か学ぶ
円について中心、半径、直径を知り、球についても学ぶ
(C.測定)
長さの単位(cm,m,km)、重さの単位(g,kg,t)について学ぶ。
適切な単位を選んだり、おおよその見当を立てる。
時間の単位(秒、分、時)を知り、計算できるようにする
(D.データの活用)
データを整理する観点に注目し、データを表やグラフにして考察する。

〇 小学4年生

(A.数と計算)
億や兆といった数を理解し、大小関係や数を固まりで把握する。
概数と四捨五入
整数の除法(3桁÷2桁、被除数=除数×商+余り)
小数の計算(加法、減法、小数×整数、小数÷整数)
同分母の分数の加法、減法、帯分数
計算の順番
そろばん
(B.図形)
・直線の平行や垂直、対角線
・平行四辺形、ひし形、台形
・立方体や直方体について辺や面の垂直と平行、見取り図と展開図
・平面図形の面積(cm ,m ,km ,a ,ha)
・角度を測る
(C.変化と関係)
・変化の様子を表、式、折れ線グラフで表したり、読み取ったりする
・簡単な割合
(D.データの活用)
・2つの観点(日時と場所等)から表データを作成する。

〇 小学5年生

(A.数と計算)
整数の性質(偶数,奇数,約数,倍数,最大公約数,最小公倍数)
整数、小数の記法(分数倍等)
小数の乗法・除法
分数の意味と表し方(通分して大小比較、約分)
分数の加法と減法(同分母でない場合)
(B.図形)
・図形の合同(合同な三角形2つで平行四辺形)
・三角形の内角の和と多角形の内角の和
・正多角形と円(円周率:直径と円周)
・角柱と円柱(底面が多角形のもの、面の数、垂直等)
・平面図形の面積(三角形、平行四辺形、ひし形、台形)
・立体図形の体積(単位、立方体や直方体)
(C.変化と関係)
・比例
・異種の2つの量の割合(単位量当たりの距離=速さ等)
・割合
(D.データの活用)
・円グラフや帯グラフ
・測定値の平均

〇 小学6年生

(A.数と計算)
・文字と式
・分数のかけ算(分数×整数、分数×分数)
・分数の割り算(分数÷整数、分数÷分数)
・小数と分数の混ざった計算
(B.図形)
・対称な図形(線対称、点対称、対象の軸、対象の中心、多角形と対称)
・拡大図と縮図
・円の面積
・角柱と円柱の体積
・おおよその面積と体積(身の回りの形)
(C.変化と関係)
・比(a:b)
・比例と反比例
(D.データの活用)
・データの調べ方(代表値<ドットプロット、平均値、中央値、最頻値>、度数分布表、柱状グラフ)
・ならべ方と組み合わせ方(順列、組み合わせ)

2.算数カリキュラム案

変更してはどうかと考える箇所は、以下の通りです。

〇 小学2年生

・ 「簡単な分数を知る」を3年生に移行
 割り算をやる前に簡単な分数をやるほうが、分かりやすい気はそこまでしないなと感じました。分数は難しい考え方なので、3年生位まで遅らせて割り算やってからの方がいいのではと思っています。

〇 小学3年生

・ 移行された「簡単な分数を知る」を追加、「小数」を移動
 そろばんは何回か触ってみる程度でいいと思います。本気でやる人は別で学ばないと学校だけで学習してもそこまで意味がないからです。

・ 「面積」を3年生に前倒し
 かけ算の説明を図面的にするためにも面積を早めに教えるというのが有効だと思います。

〇 小学4年生

・ 移行された「小数」の追加、「そろばん」の削除
 確かに暗算が得意なほうが日本のテストで有利なのですが、そういったテストの作り方から考える必要があるかと思います。

・ 「平行四辺形、長方形、正方形、ひし形の対角線」については平行四辺形のみに限定
 一気に学ぶとかなり難しい範囲で、かつ次に出会うのが中学なので大分時間が空いてしまいます。ひし形の面積については、対角線で直交することを問題文に書いてフォローするように問題を出せばよいと思います。

・ 「2つの分類項目で整理した表」は中学以降に移動
 この複雑な表については中学以降にし、ベン図と一緒に扱ったほうが良い概念だと思います。

〇 小学5年生

・ 「小数のかけ算・わり算」の小学6年生への移動、「整数×分数、整数×小数」の前倒し
 分数のかけ算・わり算を教えてから、小数のかけ算・わり算を教えたほうが順番的には良いのではないかと考えているためです。

・ 「三角形の内角の和と多角形の内角の和」、「正多角形と円」、「円柱」は中学以降に学習
 この辺りは中学の平面幾何で触れる範囲で、相似の考え方があったほうが円の面積も考えやすいです。そこで円関係を中学範囲にするのがよいのではないかと思います。

〇 小学6年生

・ 「対称な図形」、「円の面積」、「円柱の体積」、「反比例」、「データの代表値」については中学以降に移動
 個人的には線対称、点対称な図形を学ぶより、合同変換 (ごうどうへんかん)について学んだ方がいいと思います。また正直反比例の導入は早いのではないかと思います。扱う場合、x-y平面で図示する際にx=0の扱いについて触れないいけないので、もう少し後で学んでもよいのではないかと思います。

3.大学制度案

 発想の基本としては「天才」に対しては邪魔をしない、「普通の人」はなるべく多くの人が最先端の分野でサイコロを転がすことが国家の発展につながると考えています。
また自分がこういう制度ならよかったのではないかと思えるようなものを考えてみました。

1)大学の形

 子供たちが減っていく状況でこのままの大学の形を維持しようとしないほうがよいのではないかと考えています。
基本的には建物や設備は残るが、〇〇大学ということはどうでもよく、大学レベルの教育と研究を実施するということに主眼をおけばよいと思います。
大学は「講義、実験、研究、議論が行える地域の図書館」のような存在にしたいと思います。

〇 研究室・ゼミ・企業や国とのかかわり方

 企業に就職する際に、「〇〇講義」の単位を取っていること等を要件とすることで卒業した後も近くの大学に社会人が通うことになります。
そうすることで転職したい人や別のことに興味を持った社会人が都度通い、講義の費用を落としていくことになります。
また企業側も「〇〇講義」の評価でやる気があるかどうか測ることも可能となります。
研究室やゼミも必要な講義を設定し、単位を取っていることや成績によって判断することになります。
また国はすべての大学(地域)に広くお金をまけばよいと思います。「選択と集中」は過去のデータや経験から判断されるので大きく間違える可能性
があります。そのため広くまいておいたほうがリスクを減らし、思いもしないものが上手くいくという可能性を拾うことができると考えます。

〇 海外の学位との差

 現行の必修単位を取得し、ゼミや研究室で論文を書いたら、学位をとれる
という制度は温存します。ですが、ある程度カスタマイズ可能とします。
(例. 理系数学講義+機械関連講義を取得し、研究室で論文を書くことで、機械工学に関する学位を取得したあとに、すでに取得している理系数学講義と無機化学関連講義を新たに取得し化学メーカーの開発に行くなどのキャリア変更を可能とします。)

〇 研究などのリソース配分

 学校に通う人が少なくなるので大学の設備は余る可能性が高いと思います。人的リソースとしてはドクターでお金がない人などが食べていけるより少しよい位の給料を支払えばよいかなと思います。
またリソースがどうしても足りない場合は、年齢が若い人や成績で配分すればよいと思います。

2)大学入試の形

 大学の講義を理解できる基礎的学力があるかを絶対評価にて判断し、その基準を超えていれば大学レベルの教育が受けれるものとして、通いたい研究室やゼミがある、もしくは近場の大学にアクセスするという流れでよいと思います。
講義ごとにクリアしなければならない大学入試科目があるようにすることで、文系の講義を学習したいのに無理に微分積分までやったりしなくてもよいように設定できます。
正直、本当に優秀な人を大学入試で時間を使わせるのは勿体ないと思います。同じ時間を使う場合でもより最先端に近い分野で時間を使ってもらったほうがよいと思います。

3)中学・高校の形

 学生が少ないので、全て中高一貫にしてリソースを集中したほうがいいと思います。授業はネット授業をメインにして、それぞれがそれぞれの科目を自分に合わせて進めればよいと思います。
(カーンアカデミーは参考になると思いますし、VR技術が進むとより授業を受けている感覚が増すと思います。)
この場合、従来の先生はチューターとなって遅れている子のサポートやわからないことがあればフォローするという形になります。
年中行事などはこれまでどおり行い、実験の授業などは何人かそのテーマまでたどり着いたら一気に実施など工夫で乗り切れるかと思います。

大学入試は受講すべき内容が全て終わり、15歳を超えた子から受験可能とすればよいと思います。あまりにも若いと周りと年齢差がありすぎてよくないこともあるのではないかと考えています。
また受かったとしても、大学レベルに通いながらダラダラと高校に通うのもありだと思います。複数のコミュニティに属していると、視野が狭くなることを防げます。

15歳を過ぎるとアカデミックなコース以外の進路に進むことも可能となり、料理人やイラストレーター等を目指して修行していくということも可能となります。(従来の義務教育期間のようなものは担保したいと思います。)
ただカリキュラムの履歴は残っているので、30歳からアカデミックな道を再度目指すということも比較的容易にしたいと思います。

4)小学校の形

 1~3年生までは旧来のみんなで学習スタイルでいいと思います。
幼い子にはネット学習のようなスタイルは難しいと思うからです。
それ以降は中学・高校のような学びのスタイルでいいと思います。実際に自分の経験でも小4くらいからは、一部授業中にテレビで学習を進めていたこともあったように記憶しています。
たとえば12歳のときに中学レベルが終わっていたとしても、同じ年齢の子たちと一緒に年中行事を行ったり、クラスのようなものを作って話し合ったりという経験はあったほうがいいと考えています。
そのため授業の進捗だけで中学にあげる必要はないと考えています。

こういった制度にすることで、書店では学習参考書ばかりが存在するのではなくもう少し専門的な本が増える等の影響が出るかもしれません。
今回提案した制度が実現したパラレルワールドにて、どのような中学・高校数学を学習するか考えた記事をこれから作っていきたいと思います。

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