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【囲碁】世界のアソビ大全51に囲碁が収録されていない本当の理由【3つの理由で説明】

ニンテンドーSwitchのソフトとして2020年6月5日に発売される「世界のアソビ大全51」というソフトに収録されている51種目の選定をめぐって、囲碁プレイヤーの間で話題を呼んでいます。

収録されている51の競技に囲碁が入っていません

これを受け、囲碁の人気低下や、囲碁の存在価値の危機という主張が散見されました。

しかし、この考え方は全くの見当違いだと思います。
このnoteでは、「世界のアソビ大全51」に囲碁が収録されていない理由を説明しようと思います。

理由①:囲碁人気が足りない


いきなりリード文と矛盾しそうな理由ですが、これには理由があります。
囲碁が収録されるためには囲碁がチェスを上回るほどの競技人口が必要だと思います。
世界中でリリースされるゲームなので、競技人口または、初見プレイができるか、という2つが採用するかどうかの大きな指標となります。

囲碁は、初見プレイはまずできないと言っていいほどルールが複雑なゲームです。だから、競技人口の多さがあればよい、ということになりますが、世界的に見れば、囲碁の競技人口はチェスの競技人口の1/10程度と言われています。これは囲碁を収録するに足りる理由にはならないでしょう。

また、囲碁とよく対比されている将棋が収録されている理由については②の問題もありますが、漫画や藤井聡太七段による将棋ブームの影響もありそうです。しかし、任天堂が日本の企業で、「囲碁も将棋も収録されていない」という状態だと格好がつかないから収録しているようなものだと思います。

理由②:実装コストがかかりすぎる


これこそが、囲碁が収録されていない最大の理由です。
ソフトなので当然、開発コストがかかります。今回の「世界のアソビ大全51」を製品化するにあたって、当然ですが51のゲームのプログラミングが必要です。すると、一つのゲームあたりにかけられる開発費用は自然と限られた金額になります。
開発費用の面から考えれば、囲碁のゲームを実装するにはチェスや将棋の10倍近い開発費がかかると推定できます。
(ルールを細部まで再現し、妥協せずオンライン対戦と対AIモードを実装した場合を想定)

囲碁の開発で難しいのは圧倒的に終局の判定(ゲームの終わり方)です。
チェスと将棋はそれぞれ「キングや王将が取られた」という判定だけで済みます。
(千日手やスティールメイトや持将棋といった一部特殊な終わり方はありますが、それは囲碁にも3コウや長生のルールがあるので大差ありません)
囲碁の終局時にはどこが互いの陣地かを、正しく判定する必要があります。
(対AIモードもあるので避けては通れません)
一方で囲碁は、終局時に、互いの陣地がどこか、互いの死んでいる石がどれかを判定する必要があります。この判定が、開発を難しくしています。

ここで、囲碁の終局の判定が難しいということを分かるために、思い出していただきたいのは「囲碁クエスト」です。囲碁クエストは、囲碁専用の対戦アプリケーションです。囲碁クエストの終局判定は、たまに石の生き死にを間違えることがあります。
Twitterで「囲碁クエスト 判定」とでも検索すれば、例はたくさん出てきます。
囲碁だけのアプリで、リリースから5年は裕に経っていますが、終局判定が正しくできないのは、開発の難しさを物語っています。

理由③:Switchと囲碁の親和性の低さ


最後に、目立たないですが、大事な理由を書きます。囲碁の大会で主に用いられている盤の大きさは19×19のサイズです。オセロや将棋よりも、4倍以上の盤面の広さがあります。

考えてみてください。ニンテンドーSwitchの画面の大きさで、囲碁の盤を表示させて快適にプレイできますか?
答えは限りなくNoに近いでしょう。
個人的な意見を言えば、スマートフォンでもあまり19×19の盤をプレイしたくありません。20代の私でも目がショボショボします。

また、現在はパソコンで、無料で利用できる対局ソフトやAIによる検討などが充実しています。尚更、Switchで囲碁をプレイする意味はないと思います。
このように、囲碁とSwitchの親和性は低く、明らかに需要は低いでしょう。

まとめ

理由①:囲碁人気が足りない
理由②:実装コストがかかりすぎる
理由③:Switchと囲碁の親和性の低さ

上の3点から囲碁は「世界のアソビ大全51」に残念ながら収録されていません。また上記理由を乗り越えるような、簡易的囲碁もまだ存在しません。
(石取りゲームくらいなら簡単に実装できると思いますが、、、)

ただ囲碁が人気がないから弾かれたのような印象を持たれがちですが、
実はそうではなく、様々な要因が重なって、収録見送りになっていることを理解していただけたらと思います。

(※このnoteに書かれていることは事実をもとにした考察なので、本当に囲碁が実装されていない理由は別にもある可能性があることは、忘れないでください。)

サポートがnoteを書く頻度の向上+モチベーションアップになりますので是非お願いします。