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【ビジネス会話】急増する「かと」「たく」構文がモヤモヤする話

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サムネイル協力:まいるさん(Twitter:@mile003)
許可を得てサムネイルにさせてもらっています。
かわいい猫。撮影地は石垣島らしいです。
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テレワークの機会も増えて、社内のコミュニケーションの主流が対面の会話から、チャットに置き換わった人も多いと思われる。
そのチャットでのコミュニケーションで特にこの2年ほどで目立つようになってきた文章がある。

タイトルにもある「かと」「たく」構文である。他社に送る文面の締めを「~かと。」「~たく。」とする文章のことだ。

使用例①
A「〇〇について、教えていただけますでしょうか。」
B「〇〇については、××を確認していただければ分かるかと。

使用例②
A「クライアント会議の前に、予め情報を連携させていただきたく。

会社員の皆さんならきっと、このようなチャットを見たことがあるはずだ。
しかしこの文章、とてもモヤモヤする。
「~かと」も「~たく」も「思います」という言葉が後ろにつくことを想定している言葉と思である。「思います」以外の言葉が来ることはまずないのに、その部分を省略しているのである。
そんなに「思います」と言いたくないのだろうか。それともこの構文を使うと都合のいい点が多々あるのだろうか。
なぜこんなにも「かと」「たく」構文が流行しているのだろうか。

【「かと」」「たく」構文のメリット】


まずこの「かと」「たく」構文は、目上から目下、目下から目上、のどちらに対しても使用可能である点において便利であることは確かだ。
既存の構文や表現であれば、ビジネスマナー講師が糾弾する対象となりえる。しかし新語については、ルールが未開であるため、受け取り手が不愉快にならなければ、やってよいという判断になるのだろう。

また、語尾を省略することで、日本語の難しい部分をスキップすることができるメリットもある。
小学生の読書感想文でありがちな、「~と思いました。」ばかりで結ばれている文章を思い出してみて欲しい。小学生であれば可愛げがあるかもしれないが、ビジネスマンにとってはいささか幼稚な印象を与えるだろう。
かといって、ビジネスで使える文の結びはあまり多くない。せいぜい数パターンである。
「かと」「たく」構文は、同じような文章を繰り返して稚拙な印象を与えるのを防ぐと共に、文章を考える手間すら省略可能にしている。この点も「かと」「たく」構文の出現頻度を上げる要因のひとつであると考えられる。

【「かと」」「たく」構文の起源】

ではこの語尾たちは、どこから輸入されたのか。はたまたビジネスシーンの中で自然発生した言葉なのか。調べてみた。Googleに「かと」と入力してみると、サジェストに「かと 語尾 うざい」と出て来る。そうやら嫌いな人もいるみたいだ。Yahoo知恵袋には、2011年に既に「かと」という語尾についての質問が投稿されている。

一方で「たく」についても2000年代には既に限定的な業界で散見されているようである。もとは、「社内メールで使用する際に、スピード感あるコミュニケーションのために語尾をぶつ切りにした」という説が唱えられている。
ここから時代を経て、社内、社外問わず使う表現へと変貌していったものと思われる。

流行の原因はコメント文化の定着?


ここからは私見となるが、かとたく構文が広く使われるようになったのは、コメント欄文化が影響している気がする。
そこはかとなく「安全なところから石を投げている感じ」が滲み出てくる。
それは動画やSNSに投稿をした有名人に対して、好き勝手コメントをしているあの感じだ。
一歩引いたところから「かと」「たく」を用いてそれっぽい言葉を投げつけておけば、失礼なことはないし、”それっぽく”見えるそうなものだ。

チャットでも気を遣うことが求められるようになってしまった昨今、
一見、よさそうに見えるチャットミームは便利に扱われやすい。
そういう背景もあって、この「かと」「たく」は一気に広まったのかと思われる。


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