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体験価値を『食べる』

【おことわり】
・このnoteにはサムネイルの他にも飯テロを含む内容がありますので、ご注意ください。
・また、味の違いも分からないひよっこが、料理の味に生意気な表現をしていますが、「何か言ってるよ」くらいで見逃してください。
・ここから先は食べログのコメント欄のようなものですので、そんな気持ちで読んでください

先日、人に連れて行ってもらった寿司のお店に感心しました。
お店の名前は『SUSHI TOKYO 天、』です。新宿店に行きました。

http://sushitokyo-ten.com/

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人に連れられて行ったので、事前情報ナシでした。

入店前。予約時間より8分くらい前に店に着いたところで、入店したい旨を伝えると店外で待つように言われました。
店内は人はいなかったのに、店外で立って待つんだ、、、と内心ちょっと思いました。

いざ入店。
黒を基調としたシンプルなデザインの店内は、あまり装飾品はありません。
カウンターは14席、テーブルは12席ほどでしょうか。

まず飲み物を聞かれます。店内にメニューの張り紙がありません。
「紙のメニューはありますか?」と聞くと「ないんですよね」とだけ返ってきました。
「これがウチのやり方ですから」と言っているようで少し面白かった。

さらに、メニューもありません。
あるのは7,000円のコースのみです。

そこから目の前の石のプレートに、1品ずつ寿司と料理が置かれていきます。

メニューは日替わりのようです。
一品ずつ、こちらの食事のペースに合わせながらコースを進めてくれます。料理を出すときは丁寧に説明をしながら出してくれます。

私が行ったときは以下のものが出てきました。

・しじみ出汁
・金目鯛握り
・めかぶ(三陸産)
・帆立の刺身
・太刀魚炙りの刺身(千葉産)
・カツオの刺身玉ねぎしょう油漬け
・ズワイガニの茶碗蒸し
・スズキの昆布締握り
・枝豆
・煮鮑
・牛蒡の浅漬
・あゆの稚魚の焼き
・漬けマグロ握り
・漬けイクラご飯
・ゴーヤの浅漬
・アジ握り
・車エビ握り
・トロ握り
・しじみの味噌汁
・ウニ2種類食べ比べ
・アナゴ握り
・ネギトロ手巻き
・玉子焼き
・パイナップル

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寿司は赤シャリでほどよい温度とほどけ方でした。
枝豆や牛蒡の浅漬けなど、寿司店ではあまり見かけない料理も出てきましたが、目先が変わって良かったです。

最初に、食べられない食材を聞かれたり、途中でお腹の様子を聞かれたりと、客への配慮もありました。

全体の「ストーリー」のようなものを感じられて良かったです。
一回海から離れて陸のものを混ぜてくるゾーンがあったり、後半にシャリ付きのメニューが多かったりと、コースではないにもかかわらず、グラデーションがかかっていたような気がします。

褒めてばかりなのもなんなので、微妙なところも挙げておくと、
素材の力を感じるメニューとそうでないメニューがあったのがちょっと気になりました。これだけのメニューを並べると、食材の種類も多くなるのでクオリティを揃えるのに苦労すると思いますが。

体験価値を『食べる』

このお店で食事をしたことで、改めて「体験価値」というものを感じました。「体験価値」は物的に満たされた人がお金を払うものの正体です。

この空間で、これをした、という体験を得たことで、感動や満足感を得ることが「体験価値」です。

今回であれば、
・メニューのないシステム
・黒を基調とした高級感を出した店内
・職人の人が目の前で料理を仕込んでいること
・一品ずつ説明しながら料理を出すこと
・コースの配置

のようなものが体験価値に相当します。
今回のお店はこの「体験価値」が高くなるように計算高く設計されていて、
お腹と舌を満たされた感覚以上に、脳と心が満たされるようになっていると思いました。

最近溢れている「インスタ映えするけど大して美味しくないもの」はこの体験価値のみを限界まで追求しているものの例です。これでも人はお金を落とすことはここ数年の現代人が証明しています。

このお店の巧妙なところは、ちゃんとした「食事」をとりに行った客に対して、食事の面でもある程度満足させたうえで、体験価値を「食べ」させてくることです。良いものを作っただけでは売れないという時代の潮流をしっかりと読んで、的確に売りを作って、強みとして売り出していました。

これからのそこそこの値段の食事シーンは、こういった、体験価値を食べさせてくるお店が一層支配的になってくるのかなと思いました。

サポートがnoteを書く頻度の向上+モチベーションアップになりますので是非お願いします。