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森の芸術祭オフィシャルバスツアーリポート③ヒストリーコース(後半)

森の芸術祭オフィシャルバスツアー体験リポートvol.3です。


ヒストリーコース体験リポート!(後半)

当記事は前回の続きとして、「ヒストリーコース」(津山・奈義エリア)体験リポートの後半をお届けします。こちらと合わせてお読みください👇

旧出雲街道の古い町並みを堪能

津山城を出て次に向かったのは、城の東側の城東地区。津山の観光スポットとして一番有名なので、知っている方も多いのでは?

城東町並み保存地区

旧出雲街道に面して、城下町の面影が残る町並みが保存されています。なまこ壁や袖壁(そでかべ)、虫籠窓(むしこまど)などが特徴で、2013年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。宿泊施設や飲食店、お土産店などが連なる通りは観光客に大人気です。

作品鑑賞:城東むかし町家(タレク・アトゥイ片桐功敦八木夕菜

芸術祭のアートが展示されているのは、城東むかし町家(旧梶村邸)。梶村家は、津山藩から「札元」(今の銀行)を命じられた茂渡籐右衛門がルーツだそうで、江戸期の主屋から、戦前の土蔵まで各時代の建物が残されていて、町家建築の変遷を体験できる必見スポットです。

わっと驚くインスタレーションは、華道家の片桐功敦さんによるもの。7アール分の乾燥させた津山産小麦を使っているそうです。津山と小麦の関係や歴史に思いを馳せます。街中では地産の小麦を使った食品やスイーツがたくさんありますので、探してみてくださいね!

片桐功敦さんの津山産小麦を使ったインスタレーション

タレク・アトゥイさんは音や楽器を使ったインスタレーション、そして、奥の茶室では八木夕菜さんが美作番茶をフィーチャーした展示がありました。

美作番茶とは、昔から変わらない天日乾燥という伝統的な手法でつくられている伝統茶(地方番茶)。 「晴れの国 岡山」だからこそ天日干しでの製法が続けていけるのでしょうね。衆楽園での昼食でも、このすっきりとした味わいの美作番茶をいただきました。衆楽舎が東京・日比谷で開催した「ノーザンオカヤマ POP UP STORE」でも小林芳香園さんの美作番茶はリピーターの多い人気アイテム。滞在中に必ずGetしていただきたい逸品です。

八木夕菜さんは美作番茶をフィーチャー

作品鑑賞:PORT ART&DESIGN TSUYAMA(志村信裕パオラ・べザーナ

城東むかし町家を出て、徒歩で向かったのはPORT ART&DESIGN TSUYAMA。こちらは大正ロマン期の華やかなレンガの建物がとても素敵(岡山県指定重要文化財)!元は、大正9年に竣工した「旧妹尾銀行林田支店」で、現在は芸術文化の創造・発信拠点として活用されています。

ここでは、2人のアーティストの作品が鑑賞できます。元銀行だったんだなぁと感じるカウンターが印象的な最初の部屋では、志村信裕さんの映像作品が天井を彩っています。天井に使われている吉野杉に色とりどりのビーズがキラキラ映し出されていました。動画で撮影したくなります。

吉野杉が使われている贅沢な天井に志村信裕さんの映像作品

パオラ・べザーナさんは「織り」をテーマとした大きなテキスタイル作品のインスターション。作品ごとに趣が異なり、伝統や民族性についても考えさせれます。

建物の外にはおしゃれなコーヒースタンド(土日営業)があるので、ここで一息も良いですね。コーヒーは新庄村の水路珈琲さんによるオリジナルブレンドだそう。

作品鑑賞:津山まなびの鉄道館(キムスージャ

次はバスに乗り込んで、津山まなびの鉄道館へ。旧津山扇形機関車庫として車両、転車台、蒸気機関車の動輪などを有し、現存するものでは国内2番目の規模を誇る施設です。

何度も津山に通っている私も初めて入った鉄道館。あぁ、これは、全国の鉄男鉄子が集まるのも納得!いやいや、鉄男でなくても十分楽しい!鉄道の歴史とか、ミニチュアとか、昔の改札とか、D51とか、気になるものがいっぱいなんです。

韓国出身キムスージャさんのインスタレーションがあるとのこと。え?どこに?と探していると、窓という窓をすべて回折格子フィルムで覆ったというものでした。太陽の光によって空間が七色の光に包まれる仕掛けになっているのです。

実はこの時間が美しいから!とツアー会社と会場が連携を取って、向かう時間を決めてくれたようです。どの時間帯に行くかは、その日の天気などによって良いタイミングを狙ってくれるそうでありがたい。この日は少し曇っていたので、キラキラとまではいかなかったけど、建物の外側からはそのプリズム感を十分堪能できました。晴れていれば、夕陽が差し込む時間帯がベストだと思います。

ここまででようやく津山は終わり。主要8箇所を巡り、盛りだくさんでした!


「奇跡の町」奈義とは?

津山を後にして最後に向かったのは奈義町。中国山地の秀峰「那岐山」の南麓に位置し、雄大な自然に囲まれた小さな町です。移住や子育てへの支援を充実させたことで出生率が全国トップクラスとなり、少子化が問題の昨今で「奇跡の町」とも言われています。

奈義町では、9/28(土)に森の芸術祭のオープニングイベントが開催され、ダンサー・俳優の森山未來さんによるパフォーマンスや森山さんを囲んでの盆踊りなど、小さな町が熱気に包まれました。

作品鑑賞:すぱーく奈義(レアンドロ・エルリッヒ

奈義では向かい合った2つの建物を巡ります。まず一つ目は、すぱーく奈義。この施設、屋内ゲートボール場なんですって。子育ての町というだけでなく、高齢者も大切にされている町なんですね。

この施設いっぱいの大型インスタレーションは、アルゼンチン生まれのコンセプチュアル・アーティスト、レアンドロ・エルリッヒさんの《まっさかさまの自然》。エルリッヒさんは、石川・金沢の21世紀美術館の《スイミング・プール》という作品でご存じの方も多いのでは?

レアンドロ・エルリッヒさん《まっさかさまの自然》

体験して何を感じるかは人それぞれ。感じたことを語り合いたくなる作品です。

エルリッヒさん、衆楽舎の前夜祭アフターパーティでは、アーティストの中では一番乗りで来てくださり、最後まで会場を盛り上げてくれました!こんな大物アーティストと直接語らえるなんて、芸術祭の魅力の一つですよね!

田町文化ストアにエルリッヒさんが訪れる日が来るとは!

作品鑑賞:奈義町現代美術館(AKI INOMATA坂本龍一+高谷史郎磯崎新サンドラ・シント、森山未來)

世界的な建築家磯崎新が設計した奈義町現代美術館は全国から多くの来場客を集める人気のミュージアム。作品と建物が半永久的に一体化した公共建築としては、世界で初めての体感型美術館なんだそう。1994年に建てられた当時、地元の方々はびっくりしたそうですが、今では間違いなく町の宝です。

那岐山を背景にした磯崎建築

体験型美術館というだけあって、実験的な作品や音と一体化した作品があり、それらがゆるやかに繋がっているような展示方法がとても素敵。AKI INOMATAさんの 《昨日の空を思い出す》は、特殊なプリンターで水の中に雲を描くドリンクが作り出される作品。いろんな雲との写真や、次に続く坂本龍一+高谷史郎のビデオ&サウンド・インスタレーション《TIME-déluge》ともリンクしているような佇まいが印象的でした。

水の中に雲ができてきました!
AKI INOMATAさんの作品に、坂本龍一+高谷史郎作品が映り込んでいました
既存作品と坂本龍一+高谷史郎作品が融合していた。これはもう現地で音と映像を堪能すべし!

南棟ギャラリーは磯崎新の軌跡を辿る特別展。改めて、先駆者的な建築家だったと実感します。

磯崎新のモンローチェア。公共スペースではこの名作椅子に実際に座れます!
2F図書館にサンドラ・シントさんの展示。奈義は図書館もすごい!必見です!

この日はまだありませんでしたが、森山未來さんのパフォーマンスも映像化されて展示されるとのことですので、そちらも楽しみですね。

先ほどまでいた津山の喧騒から離れ、雄大な那岐山を前に奈義町ではゆったりした時間が流れていました🌳🌳


オフィシャルバスツアーまとめ

初日に「ネイチャーコース」、2日目に「ヒストリーコース」と2日間のバスツアーを終えて、森の芸術祭のメイン展示をほぼ全て鑑賞することができました。

「ネイチャーコース」体験リポート👇

「ヒストリーコース」体験リポート(前半)👇

全体を通して感じたのは、この芸術祭には、世界中のアーティストが参加してくれているという嬉しさ。そして、それぞれが「森」というこの土地の地域資源をテーマに作品を発表しているという面白さです。屋外、屋内、体験型、音、光、食などなど本当にバラエティ豊かなラインナップ。総合的にも作品のクオリティは非常に高く、初めての芸術祭としては本当に素晴らしいものだと思います。

中でも、この芸術祭のために、アーティストが現地に何度も足を運び、緻密なリサーチや滞在をしながら生まれた作品たちには、アーティストの視線を通して改めて自分のいる土地を知るという発見がありました。各施設や町並みからも、歴史や土地の空気が伝わってきて、アートと融合することで、滲み出てくる「風土」を鑑賞者が受け取るという循環を感じました。

車窓の風景も堪能してください♪

この機会に、全国から(もちろん外国からも)ノーザンオカヤマに来ていただきたいのはもちろんですが、岡山に住んでいる皆さんにこそ、たくさん来て欲しいと思いました。いつも見慣れるからこそ気づけない魅力があるはずです。ぜひそれを再発見しに何度も足を運んでくださいね!

ノーザンオカヤマの最大の地域資源は森と川

今回リポートしたバスツアーは、車の無い方には効率的に回れて、ガイドさんやランチも付いて一人旅でも楽チン、快適でした!

ただ、アートというものは、解説なくとも自分のペースで楽しむのも乙なもの。開催エリアが広いので、何泊かかけてゆっくり回ったり、紅葉見物かねて何度も訪れてみるなど、ご自分スタイルを見つけてみてください。

どこがおすすめ?どう行ったらいいの?何食べたらいいの?遊べるところはある?などの疑問があれば、どうぞ衆楽舎へお尋ねくださいね!衆楽舎ならではの素敵なコースをご案内します♪


オフィシャルバスツアー「森の誘惑」

この芸術祭、開催エリアが広域に渡るため、効率良く鑑賞するには、このツアーがおすすめ。「ヒストリーコース」(津山・奈義エリア)と「ネイチャーコース」(新見・真庭・鏡野エリア)があり、この2コースを組み合わせると、ほぼ全ての作品展示エリアを訪れることができます。作品鑑賞にはパスポートが必要ですので、事前に各自で入手しておいてくださいね。

■運行期間

■発着場所

・岡山駅発着(JR岡山駅西口バスターミナル)
・津山駅発着(JR津山駅北口広場)

■コース

ヒストリーコース(津山・奈義エリア)
津山城周辺エリア(作品鑑賞・昼食)=グリーンヒルズ津山エリア(作品鑑賞)=奈義町現代美術館エリア(作品鑑賞)

ネイチャーコース(新見・真庭・鏡野エリア)
満奇洞・井倉洞エリア(作品鑑賞)=新庄村(昼食)=蒜山エリア(作品鑑賞)=奥津エリア(作品鑑賞)

予約はこちらから


津山では衆楽舎プレゼンツの「森の文化祭」開催!

私たち衆楽舎では、森の芸術祭期間中に、ノーザンオカヤマを訪れる皆さま、地元の皆さまと、一緒に芸術祭を盛り上げよう!ということで、おもてなしの気持ちを込めて自主企画「森の文化祭」を週末を中心に勝手に開催しています。メイン会場は、ごんご通りの「文化ストア大手町」。ジャコモさんの津山ピンポン広場とお近いですので、合わせてお楽しみいただけます🏓

まもなくメインイベントの発表があるのでお楽しみに!こちら👇で、衆楽舎関連のイベントのお知らせを更新していますので、アート巡りや旅の土地にぜひお立ち寄りください♪

衆楽舎おすすめ情報は衆楽舎インスタにアップしていますので、ぜひフォローをお願いします。一緒にノーザンオカヤマを盛り上げたい!という皆さま、どしどし繋がりましょう♫記事を気に入っていただけたら、フォローやスキをお願いします💛

衆楽舎のPR担当、Haruでした。









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