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同性カップルが子を授かる事への本当の気持ちと整理ができるまで

同性カップルが子供を産むということについて。

このことから、まず自分の正直な気持ちを語らなければならないと思う。

実は、僕はこの1年で考え方が大きく変わった気がする。
それは、前回書いた子供を授かった知人女性カップルとの出会いが非常に大きい。
身近に当事者がいると、いい意味でこんなにも「安心」するのだと思った。

1年前に思っていたこと。
それは、「愛していない人の精子(卵子)で、子を授かる」ということ。
自然の摂理に反する気がしてうーんと本気で思っていた。
親のエゴかもと。
し、実は、昨日までぼんやりと頭に残っていた。

この感情はなんなんだ。

自分を問い詰めたくなった。

「自然の摂理に反する」

この言葉、この言葉の奥にあるものは「不安」なのではないかと思い至った。
「愛していない人の精子(卵子)で、子を授かる」が蔓延すると、世の中が混沌とするのではないか、子供が事件に巻き込まれる世の中になってしまうのではないかという漠然とした「不安」。

その「不安」を払拭するために、当事者を悪と定義し、正義の名のもとに「自然の摂理に反する」と主張してしまう自分に気づいた。

正義。

試しに、”もしも”の日本を想像してみた。

例えば、日本という国が、”もしも”精子(卵子)提供を正式に認めていて、"もしも"同性婚を認めていたら、「愛していない人の精子(卵子)で、子を授かる」が、「自然の摂理に反する」とは「思えなくなった」。

驚いた。

この気持ちはなんだろうと思うと、「安心」なのだ。

子供が、国の正式な手続きで生まれれば安心だな、とか。
事件性になりずらいだろうな、とか。
周りの理解があって、子供が家族みんなで暮らしやすいだろうな、とか。

つまり、「自然の摂理に反する」という気持ちは、本当の自分の気持ちじゃない。「格好いい理由」なだけで、ただ不安なだけなんだと、思い立ったのだ。

不安に押しつぶされる弱さから生まれた、ハリボテの正義感。

子供を授かった、知人の女性カップルを思った。
なんの後ろ盾もなく、リスクをおかして子供を授かる選択を「せざるを得ない」状況なだけで、彼女らは本当はもっと認められた方法でお子さんを形にしたかったはずで。

「その選択をするしかない人」の人生を、考えなくちゃと思った。

僕はもう「愛していない人の精子(卵子)で、子を授かる」が、変だとは思えなくなっていた。むしろ、国、なにしてんだと。

感情を整理すると、心がすーっと落ち着いた。

――ここまでが冒頭部分。
ここまで読んでくれて、ありがとう。


さて。

東京レンボープライド2023(去年の)でたった一言二言交わしただけなのをきっかけに、数回だけどカップル同士で会うなど、お付合いの続いているのが、その女性カップルさん。

彼女らは実子を望んでいて、僕らは里子派なのだけれど、波長もあって、ゆる~く仲良くさせてもらっていた。

彼女らから、重大発表が来たのは、半年前だった。
「実はパートナーが妊娠していまして、安定期に入りました!友人に協力してもらい、形になりました。」

数カ月後――

無事出産。
そして、ボコさん(僕のパートナー)とで、会いにいく流れとなった。

彼女らの新居に入り、横たわっていたのは、お2人の愛の結晶。
oh、ベイビー!!

まだ生まれて数か月とのことで、目も見えていない状態。
いそいそと出産祝いをお渡しすると、2人とも喜んでくれた。

親戚のおじちゃん感を、まさか、ここで経験するとは。

2人は大変幸せそうで、そのパワーは僕らにも伝わった。

ほら~
おじちゃんが2人で来まちたよ~
(自然と口調はこうなる)


お2人とお子さんは、ずっとつながっていられるよう、養子縁組を使って家族になったとのこと。

実子を産んだのはAちゃん(実母)。
パートナーのBちゃんは、Aちゃんの実子と養子縁組を組んで親子となった。
そして、AちゃんとBちゃんも養子縁組をした。
Aちゃんが年上なのでBちゃんの親がAちゃんとなる。

Aちゃんの子はBちゃんになり、Bちゃんの子は「Aちゃんの実子」となった。それでも、Aちゃんが実母であることに変わりはない。これで、2人が子供の親となれる。複雑ではあるが法律上は問題はなく、みんな直系家族となり(相続問題なども安心な状態)、法律上つながれるようになった。

すごい、考えたんだろうな。

ちなみに、大人同士の養子縁組は紙切れ一枚で即完了するらしい。
しかし、未成年との養子縁組(Bちゃんと実子ちゃん)は手続きや審査がとても多いとのこと。

「養母」のていを成すBちゃんは、本当に育てられるかを数々審査されたり、2人の新居をチェックされたらしいのだが、家庭裁判所のとんちんかんな質問に少々疲れた&笑ったらしい。家庭裁判所は完全な男社会で、子育てしたことないおっさんが担当したとのこと。
おっさんの質問は「テレワークしながらでも、赤ちゃんは育てられないんですか」とか。
できるわけねーだろ。

と言いつつも、自分も目の前で彼女らが、分刻みで赤ちゃんの世話をするのを見るまで、半分できるんじゃ、とか思っちゃっていた側の人間である。

至極、反省!!

にしても、家庭裁判所が「女性同士で子育てなど許されぬ!」みたいな偏見があるかと思いきや、そこはふつうに子育て環境みるだけなんだ、とか思った。そりゃ、そうだよね。これはいい意味でおっさんナイス。
(家庭裁判所のおっさんじゃなくて、児童相談所のおっさんかもしれんけど、とにかくナイス)


数日後、ひょんなことから「加湿器」が懸賞で当たって、沸騰させて雑菌が絶対繁殖しないやつ、めっちゃ電気代がかかるやつで、彼女らにプレゼントした。極貧生活の僕らには使いずらいものなので。

沸騰させて雑菌が絶対に繁殖しないやつは、赤ちゃんにとても有効らしい。
調べるとチャイルドロック機能がある加湿器だった。

と、これをプレゼントする口実に、また1カ月後に会いに行った。

完全に親戚のおじさんである。

「あ!目が見えるようになってる!?」
「わかる?そうなの~!」

大量の写真や動画を撮るおじさん。
無理言ってまた抱っこさせてもらうおじさん。
長居してすいませんでした。(笑)

元気に育てよ!お子ッ!!


後日、ボコさん(僕のパートナー)に冒頭の自分の気持ちの整理を正直に話すと、彼が一言。

「そんな考えもあるんだ、自然の摂理とか考えたこともなかった」

ボコさん強えええええー!
一生、ついて行きます!




長文失礼しました。
では。


お2人に貰ったプレゼント
(ボコさんと愛用してます)





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