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サイエンスナビゲーター® 桜井進の 「世界は数学でできている!」

第1回 「0のひみつ ゼロとレイ」

はじめまして。サイエンスナビゲーター®の桜井進です。

突然ですが、「世界は数学でできている」って言われてもはじめて聞く人にとっては??ではないでしょうか。
このことは学校の算数・数学の授業では習いません。
私のWeb連載では文系、理系問わず小学生から大人まで魅惑の数学の世界へ誘います。
それでは、始めていきましょう!

今では当たり前に使っている0。かつて0は恐れられていて人々は0を使おうとはしませんでした。0が発見され、普及するまでには長い時間が必要でした。

西洋思想のもとでは「何もない(無)」ことを表すという発想は生まれなかったようです。では、0を発見したのは誰なのでしょうか? じつはインド人なのです。彼らはインドで0が発見されたことをとても誇りにしています。

日本でも一、二、三(ひ、ふ、み)…と数えていくことから、昔は「0」という概念はなかったようです。現代でも0に対する考え方は、国によって違います。例えば日本ではビルの1階は地上と同じ高さ。ところがヨーロッパでは日本の1階は「グランドフロア」などと呼ばれ、「0階」という考え方なのです。つまり日本でいう2階がヨーロッパでの「1階」になるわけです。こんなことからも、日本とヨーロッパでは0の考え方が違うことがわかります。

さて、0は「ゼロ」、「レイ」という呼び名がありますね。「ゼロ」は
英語、「レイ」は日本語ですが、普段私たちは英語だから、日本語だからと考えてこの2つの呼び名を使い分けているわけではありません。

実はこの「ゼロ」「レイ」を私たちは知らず知らずのうちに微妙に使い分けをしているのです。
例えば
テストの点数→0点(レイ点)
死者数→0人(ゼロ人)
気温→0℃(レイ度)
野球・サッカーのスコア→1-0(イチゼロ)
では、使い方を逆にして声に出してみてください。
テストゼロ点、気温ゼロ度と聞くと、
ちょっと違うと感じるはずです。

ここに微妙なニュアンスの違いがあるのです。“ゼロ”というのは本当に
「ジャスト0」というとき、疑い余地がない“無”という場合に使われます。一方“レイ”というのは「ほんの少し揺らいでいる」のです。温度は揺らぎます。揺らいでいるからゼロと言い切ってしまうと言いすぎになるのです。
テストだって同じ。0点でも、すべて間違ったわけではなく、答えは違っていても、その解き方はあるところまでは合っていたかもしれません。つまりテストが「レイ点」というのはまだ慈悲がある言い方といえるでしょう。
0という数を一つとってみても無意識のうちに含みを持たせた表現をする国は日本だけです。そう考えると、日本人は数に対する独特の感性を持っているといえるのではないでしょうか。

それでは、次回もお楽しみに!


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