魔女が営むクリーニング屋の話
引っ越してから行くようになったクリーニング屋さん、どうもおばちゃんがひとりでやっているらしい。
おばちゃんはやたら割引券をくれる。その時々で、〇〇クーポンとか〇〇キャンペーンとか会員限定〇〇!とかいろいろな値引があってまあまあ複雑なのだが、おばちゃんはいつも気前よく、何と何を組み合わせるといちばん安いのか教えてくれる。
「あなた、会員登録ってしてるかしら。今は会員になって抽選すると、それが一番安いわよ😆」
本当に「安いわよ😆」というかんじでニコニコ仰るので、「あ、じゃあ☺️」と思わず登録してしまう。
抽選をしたらまあまあいいのが当選して褒められた。照れてニコニコした。おばちゃんが一番ニコニコしていた。そのようすを見ていた夫もニコニコしていた。なぜかいいことをした気持ちになる。日常、あまり褒められていないからだろう……。
(遠い目)
おばちゃんは、はるか昔限定で買ったムーミン柄のTカードも「あら!こんな可愛いのがあるのねぇ☺️初めて見たわ😊」と褒めてくれた。
毎回そんな調子なので、いつもクリーニング屋さんを出るとほっこりした気持ちになる。なんなら受け取りにいくのもちょっと楽しみにしている自分がいるし、クリーニングという死ぬほど億劫だった所業もあまり億劫じゃなくなった。またあのおばちゃんに会えるかな。今度はどんなキャンペーンやってるんだろう。ふと思い出してはこんなnoteを書いているわけだけど、あれ、もしかしてこれって……
恋?
いや、もしあのおばちゃんが可憐な女子中学生でわたしがうじうじした男子高校生だったら確実に恋している。おばちゃん目当てに通い詰めそう。家中の服という服をクリーニングにかけているに違いない。あのおばちゃん、なんかそういう魔力があるんだよなあ。実は魔法使いなのかもしれない。もしくは前世で団子屋の看板娘だったのかもしれない。若い頃はブイブイいわしてたに違いない。あれは絶対モテる女。なんかまた会いたくなっちゃう魔力。
いつかおばちゃんに壺を薦められた暁には買いそうでやばい。
先日クリーニングを受け取りに行ったら「働き方改革でねぇ🙇🏻♀️ 今年からお昼休みを取ることにしたから、お昼にちょっとだけ閉めるからね。その時間に間違えて来たら可哀想よ☺️💦 気をつけてね🥺」と告げられた。
ぜんぜんいいので休んでください(てか、今まで休憩なしだったんだ……)。今後も愛用してゆく所存。もう他のクリーニング屋は考えられない。
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