槙島驟

「まきしましゅう」と読みます。物書きをしています。 言の葉のあめ玉を、人生のちょっとし…

槙島驟

「まきしましゅう」と読みます。物書きをしています。 言の葉のあめ玉を、人生のちょっとした雨宿りにいかがですか。

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記事一覧

皆様お久しぶりです。春ですね。もう4月ですがいかがお過ごしですか。そろそろ新作を書きましょうかね。

槙島驟
1か月前
8

文フリ初出展レポ

 こんにちは、あるいはこんばんは。  槙島驟です。  急に寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしですか。もうすぐみかんに炬燵の時期ですね。  はてさて、タイトルにあ…

槙島驟
5か月前
32

文学フリマ東京37出展

 お久しぶりです。槙島驟です。  ここ最近、ずっとお話があがらず申し訳ありませんでした。  その理由は何を隠そう、タイトルにもある通り槙島驟はこの度「文学フリマ東…

槙島驟
6か月前
18

一生会えなくなることよりも、どこかで会えてしまうことのなんという苦しさ。

槙島驟
10か月前
11

心のヒビは、涙が溢れそうな時に揺らぐ視界。心が割れる音はとても静かで、その涙がぽた、と落ちる音。

槙島驟
1年前
14

好きを多用すればするほど気持ちは募るのに、どうして言葉は掠れていくの。

槙島驟
1年前
13

世界で一番綺麗な嘘

 失恋をした。  遠山タイチ、容姿も成績も至って平均的で凡庸だ。事は四月十日の昼下がり。校舎同士を繋ぐ渡り廊下から、春らしい花風がほんの少し髪を揺らす。  廊下か…

槙島驟
1年前
17

あなたの副流煙で死にたい。

槙島驟
1年前
8

生きづらいって、きっと”息しづらい“の書き損じ。

槙島驟
1年前
6

愛だけが、あなたからもらった傷でした。

槙島驟
1年前
8

「夏に喰われる」Chapter2

大した遠出でもないが、 大きなリュックにやれ懐中電灯だの、水筒だの、 ついには頑張って貯めた小遣いなんかをつめる。 それはまるで、ちょっとした冒険のつもりでいて 詰…

槙島驟
1年前
8

あなたの香りに酔いしれるほど、深くあなたに潜っていたい。

槙島驟
1年前
9

夏祭り。花火の音でかき消して、告白予行練習。

槙島驟
1年前
7

隠り世

「おやいや、何だか肌寒いですね」 「なんだい。みない顔だ……ここにくるのは初めてかい」 「ええ、まあ」 「そうか。そうか。あ、女将。熱燗くれ」  そこは古くからあ…

槙島驟
1年前
13

「夏に喰われる」Chapter1

何故か夜が特別になって 温い気温が恋しくて 用もないのに出歩いて 人ではないものと出会う事に少し夢を見る カンより綺麗なビン クーラーじゃなくて廃れた扇風機 都会じ…

槙島驟
1年前
12

「また、世界が交わるときに」【短編】

 タイムスリップを話す時に、よく持ち出されるのが、「パラレルワールド」だ。この世の全てが直線上にある一つの過去、現在、未来があるという訳ではなく、平行世界上にい…

槙島驟
1年前
20

皆様お久しぶりです。春ですね。もう4月ですがいかがお過ごしですか。そろそろ新作を書きましょうかね。

文フリ初出展レポ

文フリ初出展レポ

 こんにちは、あるいはこんばんは。
 槙島驟です。
 急に寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしですか。もうすぐみかんに炬燵の時期ですね。

 はてさて、タイトルにある通りですが。
 先日の文学フリマ東京37にて、個人での初出展を迎え、無事終えることができましたことを書き留めておこうと思います。
 よろしければ、雨宿りして行ってくださいね。

 前回記事にある通り、今回は短編集「未完成」と中長編の「

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文学フリマ東京37出展

文学フリマ東京37出展

 お久しぶりです。槙島驟です。
 ここ最近、ずっとお話があがらず申し訳ありませんでした。
 その理由は何を隠そう、タイトルにもある通り槙島驟はこの度「文学フリマ東京37」への単独出展が決定いたしました!
 (その原稿で手一杯でした……)

【イベント詳細】
文学フリマ東京37
🗓️11/11(土)
🕒12:00〜17:00
📍東京流通センター第一、二展示場
🎫入場無料

槙島のブース「槙島

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一生会えなくなることよりも、どこかで会えてしまうことのなんという苦しさ。

心のヒビは、涙が溢れそうな時に揺らぐ視界。心が割れる音はとても静かで、その涙がぽた、と落ちる音。

好きを多用すればするほど気持ちは募るのに、どうして言葉は掠れていくの。

世界で一番綺麗な嘘

世界で一番綺麗な嘘

 失恋をした。
 遠山タイチ、容姿も成績も至って平均的で凡庸だ。事は四月十日の昼下がり。校舎同士を繋ぐ渡り廊下から、春らしい花風がほんの少し髪を揺らす。
 廊下から死角になっている階段の踊り場に僕と僕の好きな人の二人きり。その一角は渡り廊下と比べて日陰になっていて、ほんの少しひんやりとしている。

「す、好きです……僕と付き合ってくれませんか?」
「ごめんね、遠山くん。私好きな人がいるの」

 色

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「夏に喰われる」Chapter2

「夏に喰われる」Chapter2

大した遠出でもないが、
大きなリュックにやれ懐中電灯だの、水筒だの、
ついには頑張って貯めた小遣いなんかをつめる。
それはまるで、ちょっとした冒険のつもりでいて
詰め込んだガラクタは、何かの期待や、
夢だったんだと今では思う。

昔懐かしい、なんてことないビー玉や
おもちゃの双眼鏡、お菓子のおまけなんかは、
部屋の隅で埃をかぶりながらも
まるで宝物のように部屋の隅で埃を被っている。
いつのまにか埃

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あなたの香りに酔いしれるほど、深くあなたに潜っていたい。

隠り世

隠り世

「おやいや、何だか肌寒いですね」
「なんだい。みない顔だ……ここにくるのは初めてかい」
「ええ、まあ」
「そうか。そうか。あ、女将。熱燗くれ」

 そこは古くからある旅館でしたが、あまり名の知れたところではなかったと思います。
 私がここへ辿り着いたのは、越後までの旅路、脚を休めるための休憩にすぎませんでした。
 表は小さな古民家のようでしたが、内へ入ってみるとそれはそれは、中庭を囲む見事な回廊と

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「夏に喰われる」Chapter1

「夏に喰われる」Chapter1

何故か夜が特別になって
温い気温が恋しくて
用もないのに出歩いて
人ではないものと出会う事に少し夢を見る

カンより綺麗なビン
クーラーじゃなくて廃れた扇風機
都会じゃなくてしょっぱい田舎
賑わいを遠くに聞く静寂の駅
花火もいいけど朧げな月明かり
海外? いやいや、古い古い日本

いつもはなんとも思わないはずの黄昏時の電車に
どこか遠くに連れて行かそうな雰囲気を感じる

ちょっと冒険をして
無敵な

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「また、世界が交わるときに」【短編】

「また、世界が交わるときに」【短編】

 タイムスリップを話す時に、よく持ち出されるのが、「パラレルワールド」だ。この世の全てが直線上にある一つの過去、現在、未来があるという訳ではなく、平行世界上にいくつもの過去、現在、未来があるというもの。
 例えば今、俺が目の前にあるハーゲンダッツの抹茶味を食べるのか、それともビスケットサンドアイスを食べるかの選択で、世界線が二分する、という訳だ。そしてその世界はどんどん枝分かれし、未来にかけて細分

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