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日進月歩 ~Road to MBA~#72

2020/12/22:テクノトレンド2⑤
 火曜日はテクノトレンド2となり、引き続き経営組織論・ソフトウェア開発プロセス・生産管理(ソフトウェア)・テクノロジー( IT ビジネス関連)を専門分野にしている平井先生の講義の5回目です。早いもので、年内の最後の講義となります。

 本日は、ブロックチェーンとMaaSの連携とHuman Augmentation(人間拡張)について講義いただきました。私自身にはあまり馴染みがない技術でありましたが、講義を聞いている中で実際の仕事にも共通する部分などが多く存在しているのでは、と感じる内容も多くあった。

■ブロックチェーンについて
 私がこの言葉を聞いて思い浮かぶものは「仮想通貨」であったが、講義内でも仮想通貨の基礎技術という話から講話が始まった。そもそもブロックチェーンとは何か・・・国内において推進している一般社団法人 日本ブロックチェーン協会という組織の定義は、以下のようになっている。

定義1:ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。
定義2:電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。

 上記を見てみると、何を言っているのか、私は正直に言って理解できていない。講義内では、こういった難しい話ではなく「全ての取引履歴を全員で共有する」「取引を第三者機関不在で信頼性を担保している」「P2Pネットワークを利用してデータを分散して保持し、共有する」「改ざんが困難であり、高い故障耐性を持つ」などの、活用における利点からご説明いただいた。また、仮想通貨や金融以外の分野にも活用が広がっており、流通・資金調達・不動産・チケット・物流などの事例をご紹介いただいた上で、課題となるものは何かを講義いただいた。
 過去の経済産業省の資料より意味や事例、課題を抜粋しながら考えた上で、どういったものに利用できるのかをディスカッションしていった。この領域に詳しい人があまりいなかったが、不動産や株主総会などへの利用が出来る(改ざんされない仕組みのために活用が可能?)のではないかといった意見があがり、理解を深めていくことができた。

【課題】
  ✔  ビジネスに適用するには、技術検証・ビジネス実証が不十分
  ✔  親和性の高い既存技術を持つ企業・大学・研究機関と連携できてない
  ✔  レガシーシステムの管理・運用コストの低減や効率化が必要
  ✔  技術進歩・社会実装に伴う法規制の見直しなどの検討が必要
  ✔  ブロックチェーンを使わなくても既存技術でどうにかできてしまう

 また、さらなる活用事例として「ISOU PROJECT(MaaS +ブロックチェーン)」をご紹介いただいた。北海道で行われたエネルギー分野を活用しながら、EV車を利用し、住民移送を試みるの実証実験(PoC)というものだ。

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 町に既存施設として「太陽光パネル」が存在しており、地産地消を利用した取組みとして注目されている。実際に取組みをしたときに感じた課題は、①利用者への認知と浸透、②設備投資の資金と運用におけるコスト負担が挙げられ、民間企業の支援や国からの支援を考えた事業計画(コスト面も含む)を考えていく必要があるだろう。他の講義で千葉県のとある町をコンサルしているが、地産地消とマネタイズ、その中で持続的に取組みを継続させるためにはどうしたら良いか・・・もう少し悩んでみよう。

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■Human Augmentation(人間拡張)について
 この分野で有名なのが、IoA (Internet of Abilities:能力のインターネット)という概念であり、人間やロボットが持つ能力をネットワークで共有し、人間とテクノロジー・AIが一体化して時間や空間の制約を超えて相互に強化しあうものとなる(ソニーと東京大学が2017年から2020年に実施して発展)

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 事例としては、「全自動手書きレポートマシン」などの手書き風の文字を書く機械や、「アシストスーツ」などの重いものを持ち上げる際の作業負担を軽減させるといった内容が紹介された。仕事上で身体障がい者の方と接することや高齢者の方々と接することが多いため、実用においてこのような技術が応用されれば、大きなニーズに応えられるものになると考える。機能や利便性などのバランスに加え、昔の自分自身の動きを再現できることにこそ”感動”や”意義”が見いだせるのではないかとも考える。そこにはコストやマネタイズではない、人間の本質の動きを追求した感動が生まれてくるのではないかと考えている。その他、介護や医療などの分野にも応用が可能なのではという受講生とのディスカッションもあった中で、年内の最後の講義は幕を閉じることになった。


         立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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