見出し画像

日進月歩 ~Road to MBA~#28

2020/10/19:シードマネジメント特講1A⑤
 前回に引き続き月曜日のシードマネジメント特講1Aという実務家であり、学問と融合をさせている笠原先生の講義の5回目です。前回でB2Bにおけるマーケティングの基礎を復習し、今回からはいよいよDX(デジタルトランスフォーメーション)について学んでいきます。

 デジタル化が進むと当初のB2Bで利用されていた媒体に大きな変化が見られている。例えば、「テレビ・ラジオ」⇒「ネット・ブログ」といったように顧客の購買行動ファネルが変化しており、顧客同士がネットワークで繋がっていることもネットワークを活用できる媒体が生まれてきたからである。このような変化に対応する(新しい機会を認識してアイデアを創造する)ために用いられるフレームワークに「カスタマー・ジャーニーマップ」がある。基本的な考え方は以下図の通りだが、+αのポイントとしては実際のユーザーに情報を聞いた方がよりリアルになる、セグメントごとに作成する必要がある、常に変化するために作成のサイクルを短く更新するなどが必要であると講義いただいた。

画像1

 ※出所:日経BPコンサルティング「コンテンツマーケティングの教科書」

 また、顧客が購買プロセスの中でネットワークを利用して得られる経験を、5つのカテゴリに分けて評価することができる(①接続性、②価値性、③適応性、④繋がり性、⑤協働性)。顧客との関係性も一方的な価値提供から双方向の価値共創になっていたり、コミュニケーションがデジタルになることで双方向、顧客が主たる影響者になり得る時代になっている。講義内では、「無印良品のHP」と「くらしの良品研究所」の例で考えてみた。今ではWebでもなくアプリの中で、ライフスタイルやどんな商品が欲しいのかということを顧客からコメントをもらい、さらに顧客同士で価値を共創していくといったプラットフォームができあがっている。
 最近では、プラットフォーマー企業(代表的なのがGAFMA)が世間を牽引しているともいわれており、2種類以上の顧客間で直接的な相互作用を促進することにより価値を創出する事業を提供している。例としてApple社とNokia社における大きな違いは、「顧客との関係性」と「アプリ開発者の囲い込み」にあった。Apple社は誰にも真似できない数のプレイヤ―数を双方で持つことができ、基本機能として➊オーディエンス構築機能(顧客数)、❷マッチメーキング機能(リコメンドなど)、❸マッチング促進ツール(インフラ)、❹信頼醸成機能(いいね!などの評価)を持ち合わせていることで、顧客価値をさらに高めている。プラットフォーマー企業として、他にはラクスル社、Uber社、Google Career Certificatesなどが存在している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ここからは少し話題が変わるが、デジタライゼーションとデジタルフォーメーションの違いは「ビジネスモデル」を変革させるかがポイントとなる。それを見極めるために、有効な2つのフレームワークを使って整理してみよう。それは、「ビジネス・モデル・キャンバス(以下上図)」と「アンゾフの成長マトリクス(製品・市場マトリクス:以下下図)」のフレームワークである。

画像2

画像3

 互いに「既存」と「新しいビジネス」に沿って整理していくと、差分によって何をしなければいけないのか、リスクがどれほどあるのか、売上と費用のバランスがどれほどのものなのかなどを確認することができる。
 また、新しい事業領域を設定するためには、”市場の魅力度(成長性・規模・競合の情報)”と”自社の資源適合度(バリューチェーン)”を評価する必要がある。事業の実施方法として、デジタルを活用したビジネスモデルの変革(ビジネス・モデル・キャンバスの変更)が起きた場合に、デジタルトランスフォーメーションを実施したと定義されると認識した。


        立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?