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日進月歩 ~Road to MBA~#132

2021/6/19:ビジネス・オーガニゼーション4③
 土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、10回目の講義(春学期2の3回目の講義)となります。前講義(#127)では「命令権」や「指示命令」という観点で、部門編成した時の組織デザインの種類と特徴について学ばせていただきましたが、本講義では「分権化によっておきる調整メカニズム」と「組織コンフィギュレーションの基本構成」について講義いただきました。

■調整メカニズムの選択:標準化とプログラム化

 分権化による組織デザイン(意思決定の権限をどう配分するか)をすることによって、その活動をコントロール(調整)するメカニズムが必要となってくる。どのようなメカニズムが存在し、活動のコントロール(ルーティンの形成)が必要なのか。以下のコントロール要素に分かれており、それぞれの説明について簡単にまとめてみた。

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 特に「③プログラム化/標準化」における「c.アウトプット」は、インセンティブやマネジメントコントロールの仕組みとして注目されている(ジョブ型と呼ばれる職務内容によって雇用する仕組みの流行りも勘案)。アウトプット成果を定量的・定性的に示すことで、適切な評価を実施するための調整方法とする(評価方法:MBO)という考え方となる。しかしながら、個人のスキルが相違していることによって、個人の行動や努力と成果が必ずしも結びつかないことが多く存在しているため、そこの因果関係が曖昧である点が課題となると示唆されていた。

 さらに『営業』という職種の調整を例にとって考えてみると、営業の訪問件数・面談件数・集客数といった評価が主流であるが、量的変数だけでの評価と実際の成果は違った結果になることも有り得る。そのギャップを解消するためにも、「質」の面でもしっかりと数値化できるよう調整することが重要となってくる。あくまでも「③プログラム化/標準化」はそれをすることによって、調整コストを削減できる部分がポイントとなり、費用対効果を考えて仕組化すべきかを判断することとなる(不確実で持続性が無い場合は効率化できない場合もある)。実際に学んだ種類や特徴内容を基に、事例(マクドナルド)とグループディスカッションを通じて、以下のように落とし込んでいきました。

【事例】マクドナルド
 店長が店舗を運営していくためにするべき管理は、とてつもなく多い。その中で直接的に管理すること、間接的に管理可能(プログラムや仕組みなどの標準化によって管理)な要素に分かれてくる。直接的に管理すること以外の例では「オペレーション管理」があげられる。マクドナルド全体としてマニュアルやプログラム化によって間接的に管理・調整しているように紐解くことができるのではないか。そうすることによって、調整コストを削減することが可能となり、安定した店舗運営ができるものと感じている。
▶店長がやるべき直接的な管理:シフト管理、人材採用、予算管理など
▶プログラム化して間接的に管理:オペレーション管理など

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■コンフィギュレーションと組織デザイン

 組織のコンフィギュレーションとは、『組織の構造のみでなく、組織がどのように機能するかを理解する上で有効な「基本的属性」が「さまざまな方法でコンフィギュア」された類型』を前提としており、『組織の成功はさまざまな属性をコンフィギュアさせる組織の能力に基づくとしている』と示している(Mintzberg,1991)。
 ここで重要となってくる視点は、個別の属性を変数として考える組織研究が「内的一貫性やコヒーレンスの重要性を見落としている」ということである。組織のコンフィギュレーションという視点に立って考えると、

組織は個々の属性の単なる集合や組み合わせではなく、それぞれが相互に作用し合い、連携したシステムとして理解することが必要となる(内的な個々の構成変数と、外的な環境要因やコンテクスト要因との相関関係や線形分析によって論じることはあまり適切ではない)

 ということが重要となり、総合的な視点に立ったシステム論的な分析が必要となることがあげられる。先生からは「組織変革施策とその相互補完性~創造的なパフォーマンスに対する組織変革のシステム効果~」という視点から学ばせていただいた。項目は(A)主観的創造的活動に対して、(B)主観的創造的成果に対して、組織化形態の補完性効果の論点から、論文を基に講義いただいた。

【検証結果】
(A)主観的創造的活動に対する組織化形態の補完性効果
-戦略的分権化、業務的分権化、IT投資は積極的な影響を及ぼす
-「補完的組織化」が有する補完性効果を確認することができる
-「費用削減型フラット化」は否定的影響を及ぼす(負の補完性効果)
(B)主観的創造的成果に対する組織化形態の補完性効果
-IT投資が主観的創造的成果に対して積極的な影響を及ぼしている
-「戦略的分権化」は10%有意水準で積極的な影響を及ぼしている
-「補完的組織化」が有する補完性効果を確認することができる
-「費用削減型フラット化」は否定的影響を及ぼす(負の補完性効果)

 これは、組織化形態の2つのパターン「補完的組織化」と「費用削減型フラット化」が、主観的創造的活動や成果にどういった影響や効果をもたらすのかを検証した論文となる。
※独立変数:各組織化形態および2つのパターンの主成分得点を投入
※統制変数:業種・従業員規模・所属部門・管理職か否か・性別を投入
※従属変数:「主観的創造的活動」および「主観的創造的成果」を投入

■組織コンフィギュレーションの基本構成部分(Basic Parts)

 基本構成として6種類に分かれており、それぞれが相互的に補完し合って組織デザインはなされている。講義内では、Mintzbergが唱える基本要素を基に、大学における事例やグループディスカッションを通じた自社の構成から考えてみました。

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 次回の講義では、「組織のコンティンジェンシー要因」について考え、不確実な環境によって変化する、または依存される構成などの要素について考えていこうと思う。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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