日進月歩 ~Road to MBA~#92
2021/4/12:コーポレート・ストラテジー1➀
M2における春学期の月曜日は、組織学習理論やネットワーク理論を専門とされており、最近では組織学習の失敗要因、戦略的転換の促進要因を研究されている安田先生の講義となります。
初回はイントロダクションから始まり、「経営戦略の歴史」と「全体像を理解する」ことを目的とし、様々なバッググラウンドをもったメンバー17名で議論を重ねました。戦略を歴史から紐解き、現象と理論について相互に学べる内容となっておりました。
■講義の目的
経営戦略における『現象と理論』の両端から経営戦略を理解することを目的とし、経営戦略において「反映しているもの」と「乖離しているもの」を理解していく。これを理解することで、目指すゴールを設定できる。
・戦略や組織における重要な原理原則を理解する
・理論やフレームワークによる考え方を習得する
・最新の世の中の動向等によって、実務に使える知識を得る
■経営戦略とは
広範囲の意味があるのでどのように定義をしていくか。経営戦略は、「異なるモデル(社会学・経営学・心理学・経済学など)や「戦略が多面的(全社戦略・事業戦略など)」の側面があり、なかなか定義することは難しい。
ディスカッションの中でも、あらゆる角度から考えることが必要であったり、多様な考え方が聞ける内容(企業のビジョンや目的に向かった戦略、現状からゴールに向かうときの道筋など)となっていた。私がとても興味深かったのは、「やらないことを決める」といった観点であった。
戦略=やらないことを決める(メリハリをつける)
※現状から目的までの道のりに対して、外部資源・内部資源を確認する
※顧客を絞って、自社の強みと他社への優位性を確認する
また、戦略を実行するためには、”ヒト”の側面が重要であり、どうやって実行していくのかを個人レベルの視点でも考えていくことが必要となってくる。そのため、まずは「経営学」における歴史で、科学的管理法から近代理論(マネジメント)への変化についても講義いただいた。
■経営学の変化(近代理論:マネジメント)の発生
テイラー(1911)の「科学的管理法」で、人間の行動をコントロールしていく方法(課業管理、作業研究)に分けることで、人間行動をある種の機械として見る見方となる。しかしながら、ホーソン実験によって従業員は賃金のために働いているわけではなく、以下の要素によって左右されることが大きいという結果が分かってきた。
-人間は経済的成果より社会的成果を求める
-合理的理由よりも感情的理由に左右される
-公式組織より非公式組織の影響を受けやすい
バーナード(1886-1961)がこのような背景から定義した3つの観点(➀組織とは、②組織の3要素、③内部統制から外部適応へ)の内容を講義いただき、別講義の#91での内容を復習させていただく形となった。個人はなぜ組織のために働くのか、自分自身の承認欲求をどう考えるかを紐解いていくことで、経営戦略の登場に向けて理解を深めていった。
➀組織とは?
=意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸要素から成るシステム
②組織の3要素とは?
=3要素とは➊共通目標、➋貢献意欲、➌コミュニケーションから成る
③内部統制から外部適応へ
=組織は「社会的構成要素の複合体」であり、クローズド・システムからオープン・システムとしての組織へ
このような経営学における組織に変遷があった中で、経営戦略の考え方が登場した。ここでは代表的な例(チャンドラーとアンゾフ等)から、理論を学ばせていただいた。
■経営戦略(理論から学ぶ)
⇒1960年代
チャンドラー(1962)において、多角化と事業部制組織に関する研究がなされ、アンゾフ(1965)で起業の戦略的意思決定を多角化の観点から議論をした。当時の米国企業における多角化の必要性が後押ししていたが、多角化の失敗によってコンサルティング会社が台頭し、ビジネススクールが台頭することになった(「BCGマトリクス」の普及)。
⇒1970年代
業界の構造が企業行動を規定し、パフォーマンスを決定し、業界環境がパフォーマンスの主要な決定要因となってきた。
(例)企業数が少ない方が”利益”を上げやすい
(例)差別化が明確な方が”利益”を上げやすい
こういった中で考えられた「SCPモデル」は参入障壁と移動障壁に着目されており、それぞれ高い方が”利益”を上げやすいこととなる。参入障壁が高いのは鉄道事業、移動障壁が高いのは高級ブランド事業などが挙げられる。また、この内容を示したフレームワークが「5Force」であり、業界における各プレイヤーの力関係を把握することができる。
⇒1980年代以降
ウェルナーフェルト(1984)における「Resource-based view」が展開されるようになり、企業内部の経営資源に競争優位を求め、戦略を立案する手法も出てくるようになり、バーニー(1991)によって発展した。
■経営戦略(現象から学ぶ)
先ほど学んだ理論を基に、「RIZAPの中期経営計画(COMMIT 2020)」から紐解いていこうと思います。グループでディスカッションを実施し、以下観点で理解を深めていきました(あくまでも個人的な解釈です)。
1.経営戦略の構造とは?
2.どのような視点をさらに考察する必要がありそうか?
先生からの解説などについては次週であるが、我々のグループでは、冒頭にあった「やらないことを決める」といった要素での議論が多かったように感じている。経営戦略の全体像(現象)は、➀理念(ミッション)、②企業目標、③外部・内部環境分析、④企業戦略、⑤事業戦略、⑥機能・市場戦略などでまとめられる。
平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科
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