日進月歩　～Road to MBA～＃109

2021/5/15：ビジネス・オーガニゼーション3⑤
　土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、5回目の講義となります。本講義からは、組織デザインの理論を学ぶとともに、組織変革に必要な経営者の役割についても論文からご紹介いただいた。

■論文から学ぶ（組織デザインの補完性効果の検証）

　現代企業において、組織変革がうまくいかない企業も数少なくない。本論文では、組織変革が難しい理由として「不確実性がある」ということを前提に、組織デザインをしていく上での必要な要因について講話いただいた。不確実性があることで、変革しても成功するとは限らない、変革しない方が少なくとも”結果”は分かるといった心理的な要因が大きく、組織を動かすためには、リーダーにおける一定以上の「信頼」が必要となることも示唆される内容であった。
【論文】現代企業の組織デザインと経営者の役割　—組織変革と信頼, 創造的能力の関係—（山中伸彦，2017）

＜内容（抜粋）＞
　統計的に主成分分析をしている内容についてご説明いただき、ここからは2つのことが導き出されている（補完的組織化と費用削減型フラット化）。

　この結果より、①は経営者に対する信頼を強めるが、②は経営者の信頼を低下させることが分かる。それぞれの要素は、経営者に対する信頼によって媒介され、創造的パフォーマンスへの影響を及ぼしている。ようは組織変革の在り方や方針（①なのか➁なのか）によって、経営者に対する信頼が損なれる場合、信頼を強化する場合が起き得るということであった。組織デザインにおける「リーダーシップの重要性」が問われる結果である。

■組織デザイン（3つの分析：ドラッカー）

　組織デザインについて、ドラッカー『現代の経営』の内容では、事業目標を達成させるためにどういった組織を構成したらよいか、3つの観点で分析手法が紹介されている。

ⅰ）活動分析 activity analysis：必要な活動を分析＝分業の編成
ⅱ）決定分析 decision analysis：決定の種類や問題となる事項の分析＝意思決定システム
ⅲ）関係分析 relations analysis：経営担当者間の関係＝部門編成

ⅰ）活動分析 activity analysis
　活動分析とは、どんな仕事がなされなければならないか、どの仕事とどの仕事をまとめることができるのか、どの活動が強調されるべきかを明らかにする作業となる（ドラッカー，1956）。講義の内容を基に、グループディスカッションで自社の分析と実際の企業組織図（トヨタ紡織株式会社と兼松株式会社）から紐解いていった。

ⅱ）決定分析 decision analysis
　事業の目標達成に向けてどういった決定がなされるべきか、どのような種類の決定が必要か、この決定によってどういった影響を受けるかという点について考慮し、誰によって決定した内容を通知していくかを決める作業となる（ドラッカー，1956）。講義の内容を基に、グループディスカッションで自社の分析から紐解いていった。

　ここでは、意思決定に必要となる質的分類に関する基本的指標は4つ存在していることを付け加えておく（「時間軸」・「範囲」・「定性的」・「頻度」）が、意思決定において資源配分をどう投資し、リターンを受けていくかを比較検討しながら決めていくことが必要となる。


ⅲ）関係分析 relations analysis
　誰とともに働くべきか、自分の分野から他の分野へどのような寄与をすべきか、他の分野から自分の分野へどのような寄与があるかを把握する作業となる（ドラッカー，1956）。

　組織構成において、縦のつながりと横のつながりの観点（個別・協働）で関係性を確認できる。企業グループとしては、親会社と子会社の関係による人事ローテーションも含め、グループとしての一貫性を重要視していることも示唆されていた（制度や評価）。

平岩　宗（ひらいわ　しゅう）
1986年12月14日生まれ（34歳）／愛知県出身
【サッカー】春日井JFC／FC.FERVOR／中京大中京高校／駒澤大学／横河武蔵野FC（JFL）／エリースFC東京（関東）／ラスタサッカーファミリー（埼玉）
※U-12日本代表候補／愛知県国体選抜（高校）／JFL108試合・天皇杯7試合（通算115試合1得点）
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー／コムテック株式会社／株式会社ミスミグループ本社／独立行政法人日本スポーツ振興センター（西東京市スポーツ推進委員）
【学校】中京大学附属中京高等学校／駒澤大学経済学部／立教大学大学院ビジネスデザイン研究科