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日進月歩 ~Road to MBA~#108

2021/5/12:ヒューマン・リソース・マネジメント1⑤
 水曜日は、山﨑先生という新しく着任された先生(キャリアデザインやヒューマンリソースの講義をご担当)の基で学ばせていただいており、5回目の講義となります(前講義#104)。本日は、「採用・配置・退出」と題して、日本における新卒一括採用と定期的な人事異動を行う人事(内部労働市場)の効果や限界について、事例検討や講義、研究論文から紐解いていく内容となっています。

■事例検討:人事の組み立て ~脱日本型雇用のトリセツ~

 私はこの記事において、3つの軸(採用・退出・不況になったときの解雇)について、欧米と日本を比較してまとめてみました。欧米はジョブ型、日本はメンバーシップ型と大きくは定義できると思いますが、「採用・退出」においては特に大きな違いが見られ、その内容を基に「解雇」に対する考え方や対応も違っているという内容だと感じました。

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 さらに自社における立ち位置に照らし合わせて考えてみた上で、グループディスカッションを通して印象に残った点や理由について考えてみた。他のグループ含めた発表を聞いていくと、「新卒採用」はとても欠員に対する補充について合理的な仕組みでありつつも、欧米と戦っていくためにはそれだけではいけないという示唆が見受けられた。主に人材不足における欠員補充といった視点において議論がなされたが、その時に中途採用における課題や懸念事項についても大きな影響があるなどの意見があった。

【各グループにおける採用・退出の今後の在り方について】
・新卒採用(ヨコヨコタテヨコの仕組み)※欠員の補充における魔法
・中途採用におけるスキルと給料のアンマッチおよび育成コストの懸念
・企業として育てたい人財に応じて使い分け(攻めと守りの採用)
・ジェネラリスト(新卒一括採用)とスペシャリスト(ポスト型採用)
・役職定年制度などにおける退出(出口)の整備が必要
・欧米との戦いに勝つためには新卒採用だけでなく外部労働市場的志向へ

 最後に、解雇における新しい発見もあった。日本で「解雇」が出来ない理由は、法律的な部分ではないということである。海外の方が法令は厳しいといったことが記事から読み取られたが、日本が解雇できないのは雇用する時に明確に物事をきめていないからだという指摘も講義内では見られた。

■講義:内部労働市場(新卒採用)と外部労働市場

 講義では、日本型(内部労働市場)と欧米型(外部労働市場)における空きポジションの補充の観点から始まった。また、日本の労働法から読み解く日本型雇用の本質は「職務の定めのない雇用契約」というものがあげられ、メンバーシップ型とも言われている。また、企業における正社員の採用方針や、新卒採用について募集している雇用区分・雇用形態の表(企業の多様な採用に関する調査:労働政策研究・研修機構 より抜粋)から見ても傾向がつかめ、欧米市場とは違った点が多く存在している。

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 この上記表からも企業の採用において、「新卒採用」は重要な立ち位置を示していることが分かる。では、新卒採用のメリットとデメリットについてはどういった内容があるのかを簡単にまとめてみようと思う。

【新卒採用のメリット】
(企業側)採用コストの節約、同期集団の形成、合理的な仕組み
(学生側)無職になるリスクが低い、成長機会が確保される
【新卒採用のデメリット】
採用のミスマッチ、大手企業へ集中することによる中小企業の採用難、景気に左右される調整弁になりやすい

 この問題点への克服としては、①新卒という人材の定義を拡大する、②一括採用から通年採用へ。③メンバーシップ型雇用から職種別採用やグローバル採用などの明確化を実施することで、双方にメリットが起きやすい人事制度を模索していく必要がある時期にたっているのではないかと感じている。

■研究論文:役職定年者の会社に留まるキャリア選択と組織内再適応プロセスの探索的検討

 論文では「役職定年者の会社に留まるキャリア選択と組織内再適応プロセスを探索的に検討」について、内容を取り上げている。まずは、自分自身でこの論文を読み解き、まとめる過程を経て理解を深めていった上で、3名でグループディスカッションをさせていただいた。

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 これまでは、役職定年者を対象に「心理学的アプローチ」で解明した研究はほとんど見当たらない中で、役職定年を迎える時の時期に応じてどういった心理学的内容があるのかがまとめられていた。

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 グループディスカッションの中では、確かに「役職定年制度」は導入している企業は増えているが、まだまだ大企業に多い傾向があるといった意見や、企業の活性化や若手の台頭を目的に「出向」や「天下り」という観点で新しくポストを作って「役職へ就任」させるケースもあるのではないかという示唆もあげられていた。

【役職定年制度における課題事項】
・役職定年後のモチベーション低下と職務内容におけるスキルアンマッチ
・終身雇用制度における役職者のセカンドキャリアへの不安
・そもそも優秀な人材は役職定年前にキャリアを考えて転職するのでは

 論文の結論としては、以下のような提言と課題において締めくくられており、今後も検討が必要な領域となっているように感じている。

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 そもそも役職定年制度を運用するべきかなのか、それ事前に評価制度を設定しておくことで、優秀な人材を企業にとどまらせる誘因を生み出すことを考えたほうがいいのではとの示唆もあった。さらに本研究では「終身雇用制度」で働いている方を対象としているため、今後は違った人事制度の企業において幅広く調査することが必要になってくるとまとめられている。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
⚽チーム歴⚽
春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
⚽選抜歴・過去出場歴⚽
U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
👜ビジネス👜
株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
🏫学校🏫
春日井市立知多中学校/中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科


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