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J1第34節 FC東京対川崎フロンターレ データプレビュー

ついに今シーズンもJ1リーグ最終節を迎える。川崎はホーム三連戦の三戦目を神戸に2-1でなんとか勝利し、今節に優勝の可能性を繋ぐことができた。一方の東京はACL出場の可能性もなくもちろん残留も決めているため、いわゆる消化試合。一般的に言えばモチベーションとしては川崎の方が高いはずだ。しかし最終節の多摩川クラシコとなれば話は別。かなり熱い戦いが見れることだろう。

このデータプレビューはデータのみの記事であり、データで見るとこんな試合になりそうだというあくまでも試合予想の一部分です。

1.両チームの成績

東京は14勝7分12敗で勝ち点49の6位につけている。新経営体制かつアルベル新監督の一年目で時間が必要と話しており、この順位というのは妥当なのかもしれない。スタッツを見ていくと得点が1.3とある程度ゴールは奪えている。しかし失点が1.2と多めで来シーズンは失点を減らすステップかもしれない。しかしホームでは強さを見せておりトータル14勝のうち8勝がホームで12敗のうちたった3敗がホームだ。その原因として得点が1.6に増加し失点も0.8へと大幅に減少したことが挙げられる。直近5試合では3勝2敗、得点が1.6で失点が0.8と調子で言うと普通くらいだ。

川崎は19勝6分8敗で勝ち点63という数字。得点は1.9で2.0にはギリギリ届いていないが優勝争いレベル。しかし失点が1.2で失点の多さが勝ち点を落としていることに繋がっている。特にアウェーでは5勝5分6敗と勝ち点を落とした14試合中11試合がアウェーだ。得点は1.5に減少し失点が1.4に増加してしまっており、東京と逆の傾向となっている。直近5試合では得点が2.4と多く取れており攻撃陣は好調。しかし失点が1.8と非常に多く今節はいかに失点しないかが注目ポイントだ。ただそれは守備的になって良いというわけではない。

ここまでの傾向で言うと東京有利だが通算対戦成績では東京の12勝9分22敗と川崎に軍配が上がる。味スタでは勝負のつく試合が多く東京の7勝2分12敗となっている。直近8試合の対戦成績では川崎の7勝1分らしく相性としては良い。

2.チームスタイル指標

川崎の攻撃レーンは偏りがあり左サイド攻撃はリーグ3位の63で中央攻撃はリーグ2位の62という数字だが、右サイド攻撃は45と低い数字だ。そして東京も右サイド攻撃の指数は低く40はリーグで最も低い数字だ。また両チームともカウンターは多くなく特にロングカウンターは東京が18位で川崎が16位の数字となっている。相違点としては川崎は敵陣ポゼッションが81とリーグダントツの1位だが、東京は44で平均より若干下の順位だ。おそらく試合展開としては川崎が東京陣地でボールを保持し、東京が奪った際は即カウンターというよりはボール保持を優先してくる。それに対し川崎がハイプレスでハメれるかどうか。
両チームとも攻撃セットプレーの指標は同じくらいだが、シュート率を比較すると川崎は25.5%でリーグ2位、東京は19.7%でワースト2位とセットプレーの質は川崎が圧倒的に高い。その他は両チームとも平均的なシュート率が多いが、敵陣ポゼッションのシュート率は東京が19%で川崎が20.3%と低めの数字で東京がワースト2位、川崎がワースト4位だ。川崎のセットプレーが鍵を握っている。

3.攻守のスタッツ

東京の攻撃回数が120.2回でリーグ4位と多いのに対し、川崎は114.1でリーグ12位と少なく同じボール保持が多いチームでも異なる数字となっている。川崎としてはローテンポな展開の方が良いはずなので自らオープンな展開にすることは避けたい。川崎は好成績な項目が多い。東京はシュート数が11.5本でリーグ13位でPA進入回数も10.8回でリーグ12位とあまり攻撃が効果的ではなく、チャンス構築率も9.6%でリーグ15位だ。しかしシュート成功率は11.6%でリーグ4位と好成績。川崎として守備ブロックをしっかり敷けば問題ないと思うがカウンターなどでボールをゴール前まで運ばれると危ない。

川崎は被シュートから被PA進入回数までの項目はリーグトップまたは2位と好成績でチームとして上手く守れているが、被シュート成功率が11.8%でリーグワースト2位。チームとして守れているがシュートを打たれてしまうと決められてしまう事が多い。そして東京は攻撃同様被シュートから被PA進入回数までは全てボトムハーフ。しかし被シュート成功率が9.4%でリーグ7位と低めの数字なので被ゴールも1.2ですんでいる。

東京のグラフはなだらか山なりになっており理想的な形に近い。ゴール期待値1.142はリーグ12位だが実得点との差0.188はリーグ4位の数字で決定率の高さでゴールを稼いでいる。守備面は被ゴール期待値1.27も実失点その差-0.06も平均的な数字。被シュート数はリーグ14位で被シュート成功率がリーグ7位だったことを踏まえると、シュート一本当たりの被ゴール期待値が低いためシュートを止めれることが多く、期待値と実失点の差があまり大きくないと考えられる。

一方の川崎はゴール期待値1.443はリーグ3位の数字で実得点との差0.407もリーグトップとシュートの量と質の両方が伴っている。そして被ゴール期待値1.038はリーグトップの数字だが、実失点との差0.142はリーグワースト4位となっている。ボールを保持する時間が長く守備ブロックも簡単に崩されることはないが、シュートを打たれてしまうシーンは決定機が多いと考えられる。

4.得失点のプレー割合

東京の得点プレー割合を見ると何か特定のプレーで多く得点を稼いでいるわけではなく、様々なプレーからゴールを奪っていることがわかる。良く言えば多彩なプレーからゴールを奪える。悪く言えば得意なプレーがないとも言える。川崎としては東京との相性というよりは、自分たちの弱点であるクロスからの失点は警戒する必要がある。クロスを上げさせない、相手選手をしっかり視野内で捕まえて跳ね返すことが必要になる。

川崎が最も多くの得点を挙げてるプレーはセットプレーで直接と間接合わせて16点。これは全得点の約四分の一に当たる。オープンプレーでなかなかゴールを奪えなくてもセットプレーから得点できるのは大きい。一方の東京はセットプレーからわずか7失点。それよりもクロスからやショートパスからの失点が多く、川崎としてはこれらを狙いつつ積極的にシュートを打ってセットプレーも狙っていきたい。

5.シュートエリア

東京はPA進入回数がリーグ12回だったが、PA中央からのシュートは4.7本でリーグワースト2位の数字。PA内からのシュート数も6.8本でワースト3位だ。東京としてはシュートの決まる確率を上げるためにもPAに多く進入したいところだ。一方の川崎はPA右からのシュートが0.7本でワースト4位で、逆にPA中央からのシュートは6.0本でリーグ4位。右サイドでのシュートが少ない要因は家長の出張によって右サイド高い位置に選手がいないことが多いからだ。

6.まとめ

こうしてデータでみると東京への相性は良いし、今シーズンの東京は攻守において好成績を残しているとは言えない。従って川崎がゴールを早い時間帯に奪えれば勝利の確率は高まる。しかし記事内でも述べたようにPA内の質では東京も高い。少ないチャンスをものにしてくる可能性は十分にある。川崎としてはネガティブトランジションとハイプレスで東京にひっくり返されない限り守備を突破されることは少ないだろう。つまりボールの失い方が重要になる。これはレビューで書いたように神戸戦で失敗した部分。同じ過ちを繰り返すようじゃ優勝に値するチームではない。
最終節多摩川クラシコ勝ってシーズンを締めくくりたい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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