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J1第14節 横浜Fマリノス対川崎フロンターレ プレイヤーレビュー 家長昭博選手

昨シーズンの33節での悔しい敗戦のリベンジを狙ったこの神奈川ダービー。早い時間帯に先制点を奪われてしまったが、今シーズンは安心して観ていられる。毎節のことだが三笘はルーキーとは思えない活躍ぶり。しかしMOFは家長に決定。データプレビューでも注目選手として家長を挙げたが、このサイドの攻防は面白かった。


1.スタメン

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マリノスは天野とマルコスジュニオールを同時起用。フロンターレは守田が公式戦3試合連続スタメン。結果的に3試合連続でフル出場した。以前twitterで「フロンターレの選手は相手に勝つためよりもチーム内競争に勝つために必死」というのを見たがまさにそのとおり。

2.右サイドでの組み立て

この試合フロンターレは右サイドで組み立てて左の三笘へのロングパスから崩すというパターンが非常に多かった。マリンスは守備時横方向にコンパクトに守りサイドに圧縮する。なのでフロンターレは右サイドで組み立てて左のアイソレーション三笘で仕留めるというのを狙ったのだと思う。その組み立てでの家長のプレー。

今シーズンのフロンターレはボールが逆サイドにある時もWGが幅を取ってSBが内側にポジショニングをすることがある。しかしこの試合の右サイドは逆で左サイドにボールがある時に家長が内側で山根が幅を取ることが多かった。

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マリノスがハイプレスをかけてきて中盤にスペースがあり、そこで脇坂が谷口からボールをもらい山根に繋いだシーン。このとき家長がティーラトンに近いところにポジショニングをしてティーラトンをピンどめしている。さらにマリノスの前線はハイプレスに出ていたので戻りがすこし遅い。よって山根にスペースと時間が生まれている。そして山根から谷口、谷口から三笘へのロングパスに繋がった。

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車屋から山根へのサイドチェンジの場面。このシーンも家長がティーラトンをピンどめしていてマリノスは左サイドに偏っていたため山根がドフリーに。

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この両方のチーンに共通していることはマリノスがサイドに偏りながらハイプレスをしかけてくることを逆手にとっていることだ。マリノスの左サイドのエリキはハイプレスの際にパスコースを切りきれていないことが多い。なので山根にパスが通りやすくエリキの帰陣も少し遅い。そこで山根がボールを受けたときに山根にプレッシャーがかからないようにするために家長がティーラトンをピンどめする。
この一連の動きがこの試合多く見られた。フロンターレはこれを完全に狙っていたと思う。こうして山根がフリーになることで時間とスペースが生まれて逆サイド三笘へのロングパスを蹴ることができる(実際は図のように山根がフィードというよりはCBや守田に預けてからサイドチェンジ)。

このように左の三笘を活かすために右の家長がポジショニングによって活躍していたシーンだった。

3.裏への走り

家長は内側に絞って山根にスペースと時間を提供していたと述べたが、給水タイムの後ぐらいから裏への走りを意識しているように思えた。それまで山根を使わせることは上手くいっていたので裏への走りが必要だった訳ではないと思う。意識した理由としては給水タイム前までは右サイドは組み立てのみでフィニッシュに関することは左サイドが多かったので、右サイドでも組み立てだけでなくフィニッシュの形を作りたかったのかもしれない。

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これまで紹介してきたシーンと似たような場面。山根がマリノス前線の選手の後ろでボールを受けたシーン。今まで紹介してきたシーンでは家長はこのままティーラトンをピンどめしていたが、今回のシーンでは裏に走った。残念ながら山根からボールは出なかったが、マリノスディフェンスラインが下がったことでライン間のスペース(黄色いゾーン)が広がって、大島がボールを受けることができた。家長が裏に走ることによって、裏とライン間と逆サイドというふうに選択肢が増えた。

今のシーンは両陣形がセットされた状態だったが37分や38分40秒のシーンではフロンターレがボールを奪ってすぐに家長が裏に走っていた。
この他にもよくディフェンスラインの裏を狙っていた家長だったが、気になる点が2つあった。1つはポジティブな点。裏に走る時に家長はしっかりとティーラトンの背中から走っている。そうすることでティーラトンがボールと家長を同時に見ることができなくなり反応が遅れてしまう。また、ただ斜めに走るだけではなく、プルアウェイの動きで一度ディフェンスラインに残るように走っている。言葉だけだとわかりにくいので図を貼っておきます。

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もう一つはネガティブな点。上の図のような中から外への走りだけでなく、DFラインが見えるはずの外から中への走りでもオフサイドであることが多かった。出し手とのタイミングがあってない場面もあったが、そもそもオフサイドポジションから走り出していることもあった。

4.守備でのポジショニング

これは活躍というよりは惜しいなと思う点。攻撃において家長がチームにとって大きな影響を果たしているのは紛れもない事実。しかし守備面で少し惜しい部分がある。守備をしない訳でもないしデュエルはむしろ得意。ただ前線からの守備でパスコースを切れていないことが多い。
今シーズンのフロンターレがよく言われるのはWGが相手CBにプレッシャーをかけることで相手SBがフリーになるということ。しかしこれはWGがしっかりパスコースを切れば相手CBから直接SBにパスは出ない。
11分20秒、36分25秒、42分55秒のシーンはパスコースが切れていなかった。細かいところかもしれないがこういうところを詰めていくことが重要だと思う。実際ルヴァンカップ神戸戦の家長の得点は学がしっかりとパスコースを切ったことで生まれた得点だった。

5.まとめ

プレビューで取り上げたような家長からのクロスという形はなかったが、家長のポジショニングで左サイドを上手く使えてそこからのグランダーのクロスはたくさんあった。フィジカルの強さ以外でもチームに貢献していた。

次節はミッドウィークホームで最後の神戸戦。すくなくともプレビューはだすと思うのでよろしくお願いします。ありがとうございました。

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