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J1第13節 川崎フロンターレ対清水エスパルス プレイヤーレビュー 守田英正 選手

個人的に今週からコロナ前と同じ生活が再開したため、レビューを書く時間が無くなってしまった。そしたら今週2試合が負けと引き分けというタイミングに。そして今節は土曜日開催だったため書くことができている。結果の良い試合だけ書いているみたいで嫌です笑。

というわけで憲剛が復帰即ゴールを決めた試合。出場した選手全員が良くMOFを誰にするか迷ったが、結果をだした選手ではなくそういった選手を支えていた守田をMOFに選出。

1.スタメン

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おおきくターンオーバーしたフロンターレ。やっと学がスタメンに。清水のCBは東京世代コンビ。エウシーニョはベンチ外。

2.攻撃におけるポジショニングと役割

フロンターレは中盤が逆三角形で清水の中盤は通常の三角形。よって噛み合わせが良く、お互いプレスがかけやすい展開になるはず。

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フロンターレはいつもの方法でプレスをかえる(プレスの開始位置はいつもより低め)。しかし清水は人を捕まえるわけでもなく連動した守備を行わなかった。そこで重要な選手がアンカーの守田である。

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相手CBがボールを持っていてビルドアップを試みている時にプレスをかける場合、相手チームのアンカーを抑えるのが基本のやり方。しかし清水はそんなことおかまいなしで守田をフリーにしていた。
その守田に車屋からボールが渡り守田が宮代に楔のパス。上のシーンのように守田は常に清水FWの背後にポジショニングをしてパスを散らしながら楔のパスを入れていた。ビルドアップ時における守田に清水がマンマークでタイトにつかれたりするとこの試合は厳しくなっていたかもしれないが、そんなこともなかったので守田を中心に試合が展開していく。

ただ相手FWの背後でボールをもらい散らしていくだけなら普通のアンカーなのだが、守田のひと味違うところがパスの出し手だけでなく貰い手にもなれることだ。

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旗手がボールをもらいに降りていくと、もともと旗手がいたスペースを見つけてそこにななめへと走り旗手からボールを受けた。このようにスペースを見つけてそのスペースでボールをもらうのが非常に上手い。特にこのシーンのように斜めに走ると相手のマークから逃れやすい(もともとマークはついていなかったが)。

ビルドアップでは以上のようなタスクをこなしていた守田であったが、ファイナルサードの崩しでの役割は何か。それはセカンドボールの回収だ。この試合守田は幾度となくセカンドボールを回収していた。碧がこのポジションをこなす時はラストパスであったりフィニッシュに関わる部分が大きいが、守田の場合はフィニッシュというよりは後方支援がメイン。

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上の図からわかる通り、守田はボールサイドによってセカンドボールの回収と逆サイドへの展開のタスクを崩しの段階では担っている。これは守田が中長距離を蹴ることができることと、ネガトラで相手の攻撃を遅らせることができることの2つの長所が活かされている。上の図を例にすると下田からバックパスがきた場合に旗手へのミドルパスを蹴ることができる。逆に下田が奪われた場合は後述するが、すぐに相手選手にプレッシャーをかけてカウンターを阻止することができる

3.ネガティブトランジションでのプレス

ネガティブトランジションでのプレス、つまり相手のカウンターを遅らせるプレー。自分はこれこそ守田の代名詞だと思っている。カウンターが発動した瞬間にパスコースを消しながら相手選手にプレス。同じようなシーンを2つ紹介。

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コーナーキックの流れからのカウンター。まずは金子へのパスコースが切れる位置からプレスを開始。体の向きを右に向けることによってジオゴマテウスがいる方向に誘導し挟み込もうとする。そしてそのままカルリーニョスを右サイドに追い込みカウンターを遅らせた。

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中央のカルリーニョスへのパスコースが切れる向きからよせてタッチライン際に追い込んでボール奪取。
守田が相手のカウンターを遅らせる時のポイントは2つ。プレスをかける位置と体の向きだ。まず相手選手が最もパスしたいであろう選手へのパスコースを切る立ち位置を取る。そしてサイドへの体の向きでプレッシャーを強めてサイドに追い込みボール奪取またはバックパスを選択させる。

4.撤退守備でのハーフスペース埋め

攻撃するときに重要となるのがピッチを縦に5分割したときの外から2つめのレーンであるハーフスペース。ここをどう攻略するかが攻撃におけるポイント。逆に言えば守備側はハーフスペースをどう守るかが重要。ハーフスペースを使われないためにあらかじめ選手をハーフスペースに配置するのが手っ取り早いが、誰がそれを担当するのかが重要。それを守田が行っているという話。

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しかし守田はチーム全体のバランスを保ちながら、自分のゾーンに入ってきた選手を潰すのが守備時の役割。前の選手がボールを取り損ねて黄色いゾーンにボールが入ってきたボールを回収したり、相手選手がゾーンに入ってきた時に監視したりすることが役割なので常にハーフスペースにいることはできない。
そこでハーフスペースが使われては危険な場面のみハーフスペースを埋めている。

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カウンタを受けたシーン。CB山村の帰陣が遅れており車屋は中央のマーク。ここで守田がハーフスペースを埋めてカバー。もし守田のカバーがなければ後ろにいる河井にハーフスペースを使われて危険なシーンになっていたかもしれない。

ハーフスペースに移動するということはフロンターレのDFとMFのライン間が空いてしまうということなので軽率にハーフスペースに移動することはできない。しかし守田は適切なタイミングでハーフスペースに移動することによってライン間とハーフスペースの両方を効率よく守っている。

5.まとめ

ここ数試合素晴らしいプレーを見せていたとは言えなかったが、今節はしっかりと役割をこなしていた。今節は出場しなかったがスタメンに抜擢されることが多い碧と比較をしてみようと思う。同じアンカーというポジションでもタイプが違うためどちらが良いとかではなくタイプの違いを比較。
まず碧はネガトラの時にアグレッシブにプレッッシャーをかけてボールを奪いすぐに攻撃することを得意としている。それに対し守田はボールを奪うことを目的というよりかは相手のカウンターを遅らせて失点しないことを目的としている。
攻撃においてはビルドアップ時にはあまり変わらないが、崩しの段階で碧は飛び出したりするなどシュートを狙うが、守田は先述したように後方支援を得意としている。
これらを踏まえると碧はより攻撃的でハイリスク、守田は守備的でローリスクと言えるかもしれない。

水曜日にルヴァンカップの神戸戦そして、来週末には王者マリノスとの神奈川ダービーが控えている。レビューを書けるかはわかりませんがもし書けたらよろしくお願いします。ありがとうございました。

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