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過去問(京大ロー)

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2021年10月の記事一覧

京大ロー 令和元年度(2019年度) 商法

第1問
第1.小問(1)
1.P社を存続会社、Q社を消滅会社とする吸収合併(以下「本件合併」という)の合併条件は、Q社株式100株に対してP社株式1株を割り当てるというものである。
そうすると、Xの有するQ社株式190株に対しては P社株式1.9株が割り当てられることとなり、Xに交付すべきP社株式の数に1株に満たない端数がある。
2.したがって、P社は、Xに対してP社株式1株を交付するとともに、端

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京大ロー 令和2年度(2020年度) 憲法

第1問
第1.婚姻の自由
1.同性婚を否定する現行法は、同性愛者の同性婚の自由を侵害し、憲法24条1項、13条後段に反し違憲ではないか。
(1)ア.憲法24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻するかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきという趣旨を明らかにしたものと解される。また、婚姻は、これにより 配偶者の相続権(民法890条)などの重要な法律上の効果が与えられるもの

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京大ロー 令和2年度(2020年度) 刑事訴訟法

1.甲は、Pによる捜索差押え(以下「捜索差押え1」という)によって得られたメモを疎明資料として請求・発付された捜索差押許可状に基づく捜索差押え(以下「捜索差押え2」という)により得られたものであるが、捜索差押え1は無令状で行われており 令状主義(憲法35条、刑訴法218条1項)に反し違法である。
そうすると、甲は、その収集手続に違法があるとして証拠能力が認められないのではないか。
(1)証拠収集手

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京大ロー 令和2年度(2020年度) 商法

第1問
小問(1)
第1.P社は、R銀行に対して、本件保証契約は①有効な取締役会決議を経ていない間接取引(会社法356条1項3号、365条1項)②有効な取締役会決議を経ていない「多額の借財」(会社法362条4項2号)③300万円以上の債務の保証につき取締役会の承認を要求するP社定款規定に反する代表取締役の行為 に当たり無効であると主張し、R銀行に支払った530万円が「無効な行為に基づく債務の履行」

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京大ロー 令和3年度(2021年度) 商法

第1問
第1.小問(1)
1.P社は、D・E2名に招集通知が発せられずになされた本件決議は無効であり、本件契約は 取締役会決議を経ていない「重要な財産の処分」(会社法362条4項1号)に当たり無効である と主張して争うことが考えられる。
2.本件決議には、P社取締役D・Eへの招集通知の欠缺(会社法368条1項違反)という瑕疵がある。かかる瑕疵により、本件決議は無効となるか。
(1)瑕疵のある取締

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京大ロー 令和3年度(2021年度) 刑法

第1問
第1.丙の罪責
1.甲と共にAの別荘に立ち入った行為に、住居侵入罪の共同正犯(刑法130条前段、60条)が成立しないか。
(1)「住居」とは、人が日常生活に常時使用する場所をいう。
Aの別荘は、Aが日常生活に常時使用する場所であるといえる。
そのため、Aの別荘は「住居」に当たる。
(2)「侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りをいう。
上記行為は窃盗目的でなされているから、Aの別荘の管理

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京大ロー 令和3年度(2021年度) 刑事訴訟法

第1.警察官による取り調べであった場合
1.検察官は、立証事項を「Xが会社の金を横領したこと」として本件調書の証拠調請求をすることが考えられる。
この場合、本件調書は、伝聞証拠(刑訴法320条1項)に当たり、原則としてその証拠能力が否定されないか。
(1)刑訴法320条1項の趣旨は、知覚・記憶・表現・叙述の各過程に誤りが入る危険のある供述証拠のうち、反対尋問等によってその真実性を吟味・確保すること

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京大ロー 令和3年度(2021年度) 行政法

事案1
1.道路管理者の 町内会長に対する道路占用許可(道路法32条1項1号)の名宛人ではないXに 上記道路占用許可の取消訴訟(行訴法3条2項)の原告適格が認められるか。
(1)取消訴訟の原告適格は、「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)に認められる。この「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう

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京大ロー 令和3年度(2021年度) 憲法

第1問
第1.公務就任権
1.人事院規則8-18別表3に定める総合職大卒程度試験の受験資格に関する年齢制限(以下「本件規定」という)は、満30歳以上の者が国家公務員総合職という職業を選択する自由(憲法22条1項)を侵害し、憲法22条1項に反し違憲ではないか。
(1)本件規定は、総合職大卒程度試験の受験資格として、試験年度の4月1日における年齢が21歳以上30歳未満であることを定めている。これにより

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京大ロー 令和元年度(2019年度) 民法

第1問
問1
第1.(1)の場合
1.Aは、Bに対して、甲売買契約(民法555条 以下「本件売買契約」という)にかかる意思表示の錯誤取消し(民法95条1項2号)を主張し、これにより本件売買契約が遡及的に無効となる(民法121条)ことを理由に 原状回復請求(民法121条の2第1項)として甲の返還を請求する。
Aは、本件売買契約が無効である場合には上記請求をすることができる。では、Aの上記錯誤取消しの

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