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三笘選手のプレイスタイル。4年も待てない。

お楽しみはこれから

サッカーカタールW杯が終わり、多くの代表選手にとっも本業である各国リーグの試合が再開された。
その中でも日本のサッカーファンに注目されているのは、イングランドプレミアリーグのブライトンに所属する三苫薫選手だろう。
チームでもこれまで途中出場が主だったが、先日行われた第17節でとうとうフル出場を果たした。

ブライトンは今回のW杯で8人もの代表選手を輩出している。リーグで7位に位置しているチームにこれほどの数のW杯出場者がいることからも、プレミアリーグがいかに豪華なリーグで、かつハイレベルだということが分かる。

結論から先に出すと、この試合の三苫選手は「上出来」の一言に尽きる。チームも3-1で勝利した。
彼のプレースタイルを知る人からすれば、いつも通りの彼のプレイだったかもしれない。

今回のW杯でもフル出場がなかっただけに、三苫選手のコンディションがどれほど仕上がっているかが分かる試合であり、世界のサッカー界で注目を集め始めた彼にとっては試金石となる一戦だった。

その意味では、得点やアシストという結果が出せなかったことが悔やまれる。
決定的なチャンスをものにすることができず、かなり悔しがる彼の表情も見られた。

時を止める

そんな三苫選手のプレイで特筆すべき点は「重心」と「パススキル」が挙げられる。

彼はいわゆるドリブラーだが、サッカーのドリブルテクニックの一つに、相手の重心を利用するというのがある。
右に行くと見せかけて左に行く、というような一見すると単純なことなのだが、重要なのは体重移動。
左右に切り返す動きがより速く、より鋭ければ、相手は仕掛けられたその瞬間、だまされたと頭では分かっていても身体が瞬時にはついていけなくなる。ドリブラーはこの意識と身体のずれを利用して相手を抜く。

三苫選手は相手の重心をとらえる能力に秀でている。そしてこの能力が世界トップレベルとなると不思議なことが起こる。
相手を左右に揺さぶらずして抜いてしまうのだ。
これはもはやサッカーというより体術だ。

相手の重心、意識、間合いをことごとく外すので、勝手にそこに道ができてゆくかのように三苫選手はすすすーっと前に突き進んでゆく。
相手選手がその動きに対応してきても、時すでに遅し。彼は相手の重心の逆をついてまた切り返している。一連のドリブルの中でこの動きを連発してくるので、相手選手は身体ではなく頭の反応もついてゆけなくなる。
その結果、三苫選手と相手選手のプレイに大きな時間のずれが生じ、異様な瞬間に見えるのだ。あのドリブルを見ている最中は、金縛りにあったかのように皆が釘付けになる。

ドリブラーらしからぬパススキル

ブライトンというチームはパスをつないで攻め上がるスタイルだ。この試合も味方のサイドバックがタイミング良く三苫選手にパスを出してくれていた。
実は三苫選手もパスを出すのが非常に上手い。特に、走りこむ味方にタイミングよく出すパスのクオリティは高い。

ドリブルで相手を抜いたまではいいが、そこで集中が切れてしまいパスを出すことまで頭が回らないというのはドリブラーにはよくある場面。
全力でドリブルを仕掛けながら、味方にタイミング良くパスを出せる選手というのは非常に少ないのだ。

試合である程度彼にパスが集まるのは、チームプレイに自らがパスで貢献できていて、信頼を得ている証でもある。

プレミアリーグという世界最高峰のリーグのディフェンダーをあれだけ手玉に取っているのに加えて、控えめな姿勢、言い換えれば冷静に試合の局面を見極める余裕がまだプレイに見られるのが彼の強みだ。これからまだまだ伸びしろがある証だろう。

怪我さえなければ高みまで行ける三苫選手。あとは祈るばかりです。

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