2023/1/12読 双極性障害(BD)と注意欠陥・多動性障害(ADHD)の合併
【読んだ論文】
Comorbidity of ADHD and adult bipolar disorder: A systematic review and meta-analysis
Carmen Schiweck et al.
Neurosci Biobehav Rev. 2021 May.
(DOI:10.1016/j.neubiorev.2021.01.017)
【研究デザイン】
meta-analysis (Up to Oct
2020)
【内容】
・双極性障害(BD)は注意欠陥・多動性障害(ADHD)との合併が多いとされている。これはどの程度の合併率かを主に調べた論文。
・ADHDの成人の約13人に1人(7.7%)がBDとも診断された。
・BDの成人のほぼ6人に1人(16.7%)がADHDであることが明らかになった。
→ADHDの生涯有病率が6.5%、BDの生涯有病率が1~2%とすると、有意に高い。BDとADHDの併存は人口の約0.12%-0.38%とそれなりにいる。(偶然に併存する場合の3-5倍)
・BDの発症年齢は、ADHDを併存する患者において早かった(約4歳早い)
・上記の理由として、どちらも遺伝性(シナプス関連の遺伝子の関与)を有することと、環境リスク因子(早産、低出生体重、虐待歴やトラウマ、妊娠中の母親のストレス、母親の薬物使用など)が共通していることが考えられる。
・ただし、そもそも主要な症状が類似している(過敏性気分、集中力低下、衝動性)ため、診断基準間の重複があり、同時に診断されやすいという点には注意が必要。
・ADHDがもともとあり、BPを発症する患者では、BP2型が多く、気分の波が早く、リチウムが効きにくいという特徴がある。
【コメント】
双極性障害とADHDはそれぞれ合併しやすい。
誤診を防ぎ、両疾患に最適なケアを提供するためには高い共存率を認識すべきと考えた。
ADHDが先行する例ではリチウムが効きにくいことも多いので、昨日書いたような、双極2型障害に準じた治療がより良いかもしれない。
薬物で双極性障害の症状は抑えられるが、発達障害があると社会に適応できない可能性がある。するとストレス負荷になり、再燃しやすくなるのではないか?
併存例では、発達障害としても生活指導・薬物療法をして加療してあげるのがいいと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?