2023/1/13 読 双極性障害(BP)と不安障害の合併

【読んだ論文】

Comorbidity of bipolar and anxiety disorders: An overview of trends in research

Mamidipalli Sai Spoorthy et al.

World J Psychiatry. 2019 Jan 4; 9(1): 7–29.

(DOI:10.5498/wjp.v9.i1.7)

【研究デザイン】

meta-analysis (Up to Aug. 2018)

【内容】

双極性障害(BP)と不安障害の合併について調べた論文。

・BD患者の約半数から3分の2、あるいはそれ以上が他の精神疾患を併存している。

・不安障害の生涯有病率はおよそ54%、併存率は35-38%と非常に高いことが判明している。複数の不安障害の併存があることも多い。(BD患者の1/3が複数の不安障害を経験する。)

・個々の不安障害の割合はほぼ同様で、偏りはない。

・また、不安障害におけるBDの有病率はBD患者における不安障害の割合と同等であるとされている。これは主に強迫性障害に当てはまるようだが、社会恐怖症やパニック障害にも同様の傾向が見られる。

・男性よりも女性、高齢者よりも若年者のほうが不安障害の合併は多いとされる。

・急性期、特にうつ病エピソードの間は不安障害の併存率が高い。ただし、急性期に不安障害を伴う患者の約3分の1から半分では、寛解期でも不安障害を認める。

・不安障害を併発するBDは、Rapid Cycle、混合状態を呈しやすい。物質依存の併発も多い傾向にある。Ⅰ型・Ⅱ型の差はないとされる。

・不安障害により、心理的苦痛の増大、(対人や感覚)過敏性の増大、急性エピソードの重症度、および躁症状とうつ症状の両方における負担の増大がみられる。BDエピソードも長期化しやすく、寛解しにくい。再燃や入院、自殺のリスクも高い。

・オランザピンとラモトリギンが不安症状に有効であった。

・リスペリドンやパリペリドンは不安には効果がなかった。

・ほかの気分安定薬や抗不安薬にコンセンサスはない。

・認知行動療法は有効であった。

【コメント】

双極性障害にはやはり不安障害の合併が多く、予後や治療経過を左右するため、注目すべきポイントだと感じた。

OZPとRTG、ここにはないがLurも不安症状に有効であるようなので、不安が前面に出る症例や、手の震え、対人過敏を有する症例はLiではなく、これらで治療していくといいかもしれない。

(躁ならOZP + VPA、うつならLur and/or RTG とか?)

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