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オーストラリア在住が思う日本のコーヒーの多様性

自分の趣味コーヒーについて

今回は現在オーストラリアに5年在住している私が、日本のコーヒーについて自分が思ったことを書こうと思います。

前提として、オーストラリアのカフェのコーヒーは基本浅煎り
なので浅煎りコーヒーを中心に話を進めていきます。

現在、一時帰国中で実家のある世田谷区(世田谷良いカフェ多すぎる)を中心に都内中の浅煎りコーヒーを出しているカフェを探索しているのですが、まず驚くのはオプションの数!
1杯1000円以上のコーヒー、パナマゲイシャ、珍しい精製のコーヒー豆…

”すごい!”

メニュー自体はシンプルなのだが、ひとつのカフェに豆が5種類以上、場所によっては20種類以上。
生産国、生産地、生産者、品種、精製方法、味わいなどをメニューに記載し、提供する際もコーヒーカードを渡す。
そういったことを重視した”サードウェーブ”の時代で5年前よりこういったカフェがかなり増えたように感じる。

もちろんスペシャルティコーヒーを提供するオーストラリアのカフェもコーヒーカードを渡す店はある。しかし、豆のオプションは自分が住んでいる西オーストラリアのカフェだと多くの場合、Espresso, Batch Brewともに、Blendかその日提供しているSingle Originの大体2種類。

私がオーストラリアのカフェで好きなところは、豆が日替わりで変わるところ。”今日のBatch Brew、Espressoどういう系だろう” 毎朝それを楽しみにカフェに行く。

先日都内のカフェで戸惑ったのが、カフェに行ってドリップコーヒーを注文し、豆を生産国別、味わい別に6,7種類くらいの中から選ぶとき
私「どれがいいですかね」
店員「どんな気分ですか?」

”どんな気分??”
正直、瞬間的に思い浮かんだのは
”コーヒーを飲む気分”
ただそんな返事をしても、コーヒー屋にコーヒーを飲みに来ているのだから当たり前であるから言うまでもない。
ただコーヒーを飲みたくて、来たのに選ぶ際にどういうのを飲むか気持ちの準備もしておかないといけないのか。

先述したように、私が住んでいる西オーストラリアのカフェのシングルオリジンコーヒーはその日によって違う。
だから自分の気分で、”こういうコーヒーを飲みたい”からカフェに行くということは、まずない。
日本のスペシャルティコーヒー店とアプローチが逆というか
自分で豆を選ぶのじゃなくて、豆はすでに店で決められている。
カフェのメニューを見て初めて、
”今日はエチオピアか” ”今日はケニアだ” "今日はコロンビア”など分かる。
逆にもしその日のコーヒーが自分にドンピシャにハマっても、次の日にはないので2度と出会えない可能性もある笑

そこで思ったことがある。
日本でスペシャルティーコーヒーを数多く用意するカフェに行った際、
ある程度の知識がないと、そのコーヒー・空間・時間を存分に楽しめないのではないか。それによって自分のコーヒーの好みに偏りが出るのではないか。というより、提供する側と消費する側に距離をかなり感じる。

オーストラリアのコーヒーは日替わりである。
楽しみ方はシンプル。
その日のシングルオリジンを飲んで、
”なるほど 今日の豆はこういう香味か、明日はなんだろう”
消費側だけですれば、国別、精製方法の知識など”注文する際”には一切必要ない。

日本のスペシャルティコーヒー店に行って、いざカウンターで注文する際
豆が7~20種類もあると、ホントに戸惑う。
それで「どれにしますか」なんて言われても、一発でスムーズで決めないといけないのではないかとプレッシャーを感じたり、分からないから黙って豆の種類を見ていたり・・・
知識がないまま豆を選ぶとなると、判断基準はスタッフの説明である。
それでもよく分からない事も大いにある。そのあとの判断基準はなにか。
値段か。先入観によるものか。

「当店では基本的に浅煎りのコーヒーを用意していまして~」
こういうシーンをよく見かけるが、
”浅煎りだとか深煎りも知らないのかよ”という雰囲気を醸し出してる店員も見かける。(店としてはそういう気はないのだろうが)

コーヒーの多様性が、Sustainabilityや科学的で人為的な精製方法など広がっていっている昨今だが、この流れだと、ますます提供する人々と消費する人々のギャップが広がるのではないか。

でも同時にコーヒーの知識や経験を積みやすい環境なのかとも思う。
コーヒーって沼ると抜け出せないくらい深いし。

コーヒーって毎日飲むし、もっと気軽で飲むものだけど。

あるカフェのスタッフに「どんな気分ですか」と聞かれたのがどっか引っ掛かって、なんとなく2国間のコーヒー消費の違いに気づいた。

にしても、日本のコーヒーすごい、美味すぎる。

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