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重なる輝き

ふと空を見上げた。           

いつもよりも輝いて見えた様な気がしたがそんなはずはなかった。雲に太陽が重なってしまっているからだ。             

雲の隙間からはみ出す太陽の光がカーテンの様に折り重なっている。 

差し込む光が太くなったり細くなったり、数が増えている様な気もする。輝きを増して光が太くなるとまるで天使が降りてくるのではないかと錯覚を起こすほどの美しさだった。まさにエンジェルロードだ。雲に重なっているのにも関わらず眩しい輝きを放つ。太陽の底知れぬエネルギーを感じるとともに自然の温もりを実感した。普段から太陽の事を気に掛けているわけではないのだがこの日はいつもよりも長く空を見つめていた。偶然とても薄い雲が太陽の前に現れたので目で直視できる輝きをしていたからだ。太陽を直視することは目に悪いと思いこれまで直接見ずに生きてきた。見ようと思ってもあまりの眩しさにすぐに目をそらしてしまうので見れるはずもなかった。だからこそ夢中になって空を見上げていたのだと思う。

太陽の形を肉眼で捉える。月のように丸く光っている。初めて太陽をじっくり観察したことへの興奮と感動で夢中になっていた。すると青いような黒いような、色々な絵の具を混ぜた後の水のような色に変化し始めたの急いでうつむき目を閉じたのだがすぐに目を開けてしまった。視界から暗闇が消えた。長い時間太陽の光を見つめた為に残像が見えてしまったからだ。目が疲れたので山を見るようにしたりしながらなるべく暗い風景を目に馴染ませた。その流れで路肩に目をやると猫があくびをしていた。大きな口を開けた後に目があったので微笑みかけたが何の反応もない。人に慣れているのか近づいても警戒して逃げたりしなかったので顔がよく見える所まで近づいてみる。クリーム色の毛をなびかせて柔らかそうな体型をしている。しばらく側で見ていると鳴き声をあげてこっちを見つめてきた。猫よりも犬派だがこの時どっちが好きか質問されていたら猫派の旗を掲げていただろう。

とても綺麗な瞳をしている。太陽の美しい輝きが重なって見えた。

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