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細胞農業・培養肉関連への寄付について


環境問題・寄付について考えていたところ、細胞農業に辿り着きました。

細胞農業とは、本来は動物や植物から収穫される産物を、特定の細胞を培養することにより生産する方法を言います。

しかしなぜ、細胞農業の分野に辿り着いたのか?
以下で記載していきます。

※なお、本件について、情報提供などご支援いただいた「Research.fm」さんに深く感謝いたします。


細胞農業というテクノロジーによる環境・社会問題へのアプローチ

世界の温室効果ガス排出量の18%は畜産、特に牛のゲップに含まれるメタンの影響が多いと言われます。
また、畜産においては、動物を屠殺するなどの倫理的観点や、流行性ウイルスの発生原因となりうる点、土地や水の消費量が膨大であるという観点から、近年ではベジタリアンヴィーガンが話題になることも多くなりました。

しかし、そのようなマクロ的観点や倫理的観点から、多くの人がベジタリアンやヴィーガンとなることは難しく、そのような中で細胞農業(培養肉等)が大きな可能性を秘めていると感じています。

例えば培養肉は、可食部の細胞を組織培養することによって、

<培養肉の利点>
・動物を屠殺する必要がない(倫理面)
・厳密な衛生管理が可能(衛生面)
・食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低い(環境面)

などの利点があります。

この辺りの数値的なデータを含む内容については、アメリカのNPO「New Harvest」のページを参照すると良いと思います。

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細胞培養分野を長期的スケールで貢献支援するNPO「New Harvest」について

今後世界人口が増加する背景も鑑みて、「New Harvest」は、2004年からこの分野への長期的貢献のためにNPOとして設立されました。

近年、この分野の研究は進み、キャズム手前の細胞培養ベンチャーはVCなどから多額の資金調達を行えるようになりましたが、New Harvestは、それよりもかなり手前の、研究が早すぎるため資金入手が困難な段階のプロジェクトや、既存の助成金のパラメータの範囲外にあるため資金を得ていないアイデアをサポートしています。

上記のような観点から、私は、細胞培養を環境社会問題への対抗策として、また宇宙食や新たな食の可能性に向けても重要な分野であると考え、より長期的スケールでの貢献を支援するNew Harvestへの寄付を行いました。

※私が参加している「新しい贈与論」でもNew Harvestへの集団寄付を提案していたのですが、メンバー投票の結果、別候補への寄付が決まりました。しかし、以下のようなコメントを参加メンバーからいただいていたので、噛み砕いて紹介したいと思います。

<新しい贈与論での意見・感想の要約>
・寄付先の対象として細胞農業の分野を考えたことがなかったため、環境・倫理的観点からも面白いと思った
・世界人口増加の背景の中、必要な領域だと感じた
・New Harvestのアカデミックな文脈と資金が集まりづらいシーズを育てるという思想が気に入りました
・こういう研究シーズを育てる非営利段階が日本でもファンドレイズできると国の制度に頼らない国力の醸成につながると感じた
・「食べる」とは「命」とはという観念そのものに新しいフィードバックがありそう
・食の問題を真面目に考えるいいきっかけになる
・研究段階に貢献できるというのが良い
・ベジタリアンやヴィーガンに挑戦していましたが挫折したので、この分野に可能性見たい
・問題解決だけの側面ではなく、新しい食文化の可能性にワクワクする
etc


宇宙食・新しい食文化

今回、この分野について情報を見ていく中で、バイオテクノロジー・生命科学/工学の可能性を改めて感じました。

それは単に環境問題等へのソリューションとしての意味合いだけでなく、「新しい食」の創造の可能性、また「宇宙食」などへの応用需要があると考えられます。

実際、Wiredによると、現在知られているレシピは、地球上にある全食材の組み合わせのたった1%にも満たないと言います。

それが細胞レベルで培養できるとなると、壮大な可能性を感じます。

農業が土地ではなくラボで行われる、いわゆる「ラボドリブン」になる可能性も想定されます。

肉を自在にデザインできる次世代の「純肉」と、「細胞農業」が描く人類の未来
(画像はリンク先参照)

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さらに発展させると「DIYバイオ」の可能性

生命を科学(理解)し、工学(応用)する。
生物工学という領域は、いわゆる今流行りの「DIY」のバイオ版です。

DIYバイオは数年前から熱い分野となっており、細胞農業なども、このカテゴリーの一種と考えることもできます。

実はこの分野、コンピューターの分野とも近いのではないかと考えており、実際に生物はDNAというデータ/プログラムをベースとしたコンピューターと捉える流れも見えています。

つい最近出版されている本「生命はデジタルでできている」も、まさにこのような見方を解説しています。

あらゆるものが生命化してきている、というのは、機械学習や自律分散型組織(DAO)の勃興からも観てとれます。
DIYの流れもありますが、生命化の流れもある。

DIYバイオは、その両方の流れの重なる領域でもあり、正直かなり関心が高いです。次世代の必須教養と考えても良いと思います。

私が考えているSFプロトタイピングの世界観構築においても、この領域は無視できない根幹の一つだと考えています。


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