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米国市場:6/17週の振返りと24年6/24週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,464.62と前週比+0.61%で終了しました。NASDAQは17,689.36と前週比ほぼ変わらずで終了しました。
 先週の株価は、今週は4つの主要株式市場指数がすべて上昇しましたが、Dowがリードし、S&P 500、Russell 2000、そしてNasdaq Compositeが続くという、若干の変化が見られました。これは、Nvidia (NVDA)、Qualcomm (QCOM)、Apple (AAPL)など、Nasdaqに大きなウエイトを占める銘柄が、四半期累計でそれぞれ40%、25%、22%以上の上昇を見せており、利益確定売りが出たためと考えられます。その結果、今年の相場を牽引してきたNvidia等の株のチャートが大きなしこりを残すようなチャートとなっています。また、これまで、大きく上がってきたこともありますので暫くの休憩が必要かと思っています。牽引役が休憩すること、またITセクターは夏は伸び悩む傾向がありますので、しばらくは伸び悩む展開が続くかもしれません。
 先週は、週半ばのジューンティーンス(Juneteenth)の祝日があるため、出来高としては比較的静かな週になると予想していましたが、そのとおり比較的落ち着いた週となりました。21日金曜日に市場を活性化させる一因となったのは、上述したようにこれまで、市場を牽引してきた銘柄に前日の木曜日に変調がみられたため、市場が右往左往したことが要因と考えています。
 10年債利回りは前週比では若干低下しました。4.22%付近まで下落した後、金曜日にS&P Globalから発表された6月のPMI速報値を受けて4.26%付近まで上昇して週を終えています。5%に差し迫るような勢いは特に見られずこちらは落ち着いているかなと思っています。また、PMI速報値は5月の小売売上高、鉱工業生産、住宅着工件数の報告に続き、製造業とサービス業の両方の経済が5月と比較して改善したことを示しています。また、S&Pの調査結果は、6月もインフレ圧力が緩和し続けていることを示しており、これは歓迎すべき動きです。雇用と実質賃金の継続的な増加は、5月の小売売上高の前年比2.0%増と比較して、消費者支出が回復する可能性を示唆しています。今週、金曜日に発表される5月の個人所得および支出報告書に注目していきます。
 今週の状況を整理すると、米国経済に大きな変化は見られず好調な経済成長が続いています。また、金利環境も大きな変化はありません。また、決算発表は閑散期ですので企業業績に関する変化も大きくは出ていません。投資家の心理が悪化してきているというところでしょうか。
 今週は、経済指標の発表は少なく、重要な決算発表も少ないため、今四半期の最終月に向けて市場が惰性で上昇する可能性があります。また、6月末も差し迫ってきていますので、企業は2024年第2四半期の決算を締めくくるため、それぞれクワイエット・ピリオドに入っています。投資家向けイベントを開催する企業もあるかもしれませんが、最近の投資家向けのイベントの波は終わりました。結果、来週と、7月4日の祝日を含む翌週は、市場にとって静かな週になるかもしれません。

株式市場

 第2四半期の終わりが近づく中、S&P 500の第2四半期の利益予想は、四半期初めの推定値をわずかに下回ってきています。しかし、アナリストは、第2四半期にS&P 500が2年以上で最高の(前年比)増益率となると予想しています。また、2024年と2025年のS&P 500の利益成長率は2桁になると予測しています。
 第2四半期のガイダンスに関して、2024年第2四半期のEPSガイダンスがマイナスであるS&P 500企業の割合は、平均的な水準にあります。現時点で、S&P 500の111社が2024年第2四半期のEPSガイダンスを発表しており、そのうち67社がマイナスのEPSガイダンス、44社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。2024年第2四半期のEPSガイダンスがマイナスであるS&P 500企業の割合は60%(111社中67社)であり、これは過去5年間の平均59%を上回りますが、過去10年間の平均63%を下回っています。
 S&P 500の企業の増益率については、アナリストは全体として2024年第2四半期の増益率をわずかに引き下げました。その結果、2024年第2四半期の推定(前年比)増益率は、四半期初めの推定値をわずかに下回っています。本日現在、S&P 500は(前年比)8.8%の増益が見込まれており、3月31日の推定(前年比)増益率9.0%と比較してわずかに減少しています。もし8.8%が実際の四半期成長率であれば、2022年第1四半期(9.4%)以来、S&P 500が報告する最高の年間増益率となります。また、S&P 500にとって4四半期連続の年間増益となります。
 第2四半期の増益は、S&P 500全体に広がると予想されており、11セクターのうち8セクターが前年比の増益を報告すると見込まれています。この8セクターのうち4セクターは、2桁の成長が見込まれています:コミュニケーションサービス、ヘルスケア、情報技術、エネルギー。一方、3つのセクターは、素材セクターを筆頭に、前年比で減益となる見込みです。
 収益に関しては、四半期中に上方修正と下方修正が相殺されました。その結果、2024年第2四半期の推定(前年比)増収率は、四半期初めの推定値と同じです。本日現在、S&P 500は(前年比)4.6%の増収が見込まれており、3月31日の増収予想4.6%と比較しても変わりません。もし4.6%が実際の四半期増収率であれば、S&P 500にとって15四半期連続の増収となります。
 情報技術セクターとエネルギーセクターを筆頭に、10セクターが増収となる見込みです。一方、素材セクターは、前年比で減収となる見込みです。今後については、アナリストは2024年第3四半期、第4四半期の(前年比)増収率をそれぞれ8.2%、17.6%と予想しています。2024年の通年では、アナリストは(前年比)11.3%の増収を予想しています。2025年の通年では、アナリストは(前年比)14.4%の増収を予測しています
 来週は、S&P 500企業8社(ダウ30構成銘柄1社を含む)が第2四半期の決算発表を予定しています。

来週の主な決算発表(予定)

6/24(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
6/25(火):
<寄付き前>Jefferies (JEF)
<引け後>FedEx (FDX)
6/26(水):
<寄付き前>General Mills (GIS)
<引け後>Micron (MU)
6/27(木):
<寄付き前>Acuity Brands (AYI),  McCormick & Co. (MKC) , Walgreens Boots Alliance (WBA)
<引け後> Nike (NKE)
6/28(金):
<寄付き前>-

米国の主な経済指標

6/24(月):
6/25(火):S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、リッチモンド連銀製造業指数
6/26(水):新築住宅販売件数
6/27(木):GDP、耐久財受注、新規失業保険申請件数
6/28(金):PCE、個人所得・支出

今週の着目点

 先週はジューンティーンス(Juneteenth)の祝日があったため、小売売上高、住宅着工件数、鉱工業生産の総合的な影響により、アトランタ連銀のGDPNowモデルはわずかに下方修正されただけでした。1週間前の3.2%から3.0%に低下しましたが、6月上旬の1.8%を依然として上回っています。
 今週は、5月の新築住宅販売と中古住宅販売仮契約の報告があり、住宅関連のデータが増えます。また、住宅価格の最新情報も得られますが、今週のレナー(LEN)とKBホーム(KBH)の発言から、住宅建設業者がより手頃な価格の住宅に注力していることがわかります。ただし、昨今の株高により裕福層も増加していることから、住宅市場の二極化がさらに進む可能性も考慮する必要があります。
 市場は依然としてFRBの9月の利下げの可能性を示唆しています。したがって、来週の5月のPCE価格指数は経済指標の焦点となるはずです。このデータと同時に、5月の個人所得と支出の数字も発表されます。平均時給の伸びなどから実質賃金の伸びは引き続き期待でき、全体的な支出にはプラスですが、5月の個人消費データを詳しく見ていくことで、消費者がこれまでにどのような消費をしてきたのか、より明確な全体像が見えてくるでしょう。
 決算発表の量はほとんどありませんが、AI市場の動向を確認するためにも26日に発表予定のMicron(MU)、消費者の動向はGeneral Mills(GIS)の四半期決算とガイダンスを注意深く分析します。
 また、中国市場もダブルボトムをつけてから戻して来ているようなチャートになってきていますので、FedEx(FDX)とNike(NKE)の世界経済、消費者支出、ドル、中国の先行きに関するコメントにも注目します。


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