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米国市場:2/12週の振返りと24年2/19週の予定

概略を記載するようにしてみました。

概略

  • 2月13日発表のCPIは予想を上回るも、市場は動揺せず

    • 2月13日発表の1月CPIは予想の2.9%を上回る3.1%となり、市場は前日比-1.5%と大きく下げました。しかし、翌14日には13日の下げ分を取り戻し、結果としてほぼ前週と同水準で取引を終了しました。

    • これは、市場がインフレに対してすでに織り込み済みであることを示唆しています。

  • インフレ指標は横ばいであり、利下げ見送りが濃厚

    • 1月PPIは予想1.7%を上回る2.0%となりましたが、市場の反応は鈍かったです。

    • パウエル議長は3月の利下げ見送りを表明しており、インフレ横ばいを背景に5月の利下げ可能性も低下しています。

    • アトランタ連銀GDPNowは下方修正されていますが、2023年第4四半期GDPは上方修正されており、経済は好調を維持しています。

  • 小売売上高は予想下回る

    • 1月小売売上高は予想+0.1%を下回る-0.8%となりました。

    • 今後の決算発表で、一時的な減少なのか、消費者の節約志向が強まっているのかを確認する必要があります。

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,005.57と前週比-0.42%で終了しました。NASDAQは15,775.65と前週比-1.34%で終了しました。
 先週の株価は、2月13日(火)に発表されたCPIの数字が3.1%と予想の2.9%より高く3%を上回ったことを受けて、前日比-1.5%と大きく下げました。しかし、翌日14日には13日の下げ分を取り戻すような形となり結果として、先週とほぼ変わらない位置で取引を終了しました。アノマリー的には2月が一度天井をつけることが多いのですが、今年は粘り強い相場が続いています。
 インフレについては、上述の通り2月12日に発表されたCPIがほぼ横ばいの数字となり、1日だけ市場があたふたしましたが、次の日には元の位置に戻っています。これは、インフレについてはもはや市場がほとんど気にしていないことを示した形となったと考えています。また、金曜日もPPIが2.0%と予想1.7%と予想を上回る結果となりましたが、こちらも反応は鈍かったです。AAA全米ガソリン価格をみますと、レギュラーガソリンの平均価格が$3.279と先月の$3.094に比べて上がってきており更に下がりにくくなっているのではないかと考えています。
 パウエル議長は3月の利下げは見送ったこと、インフレは横這い状態が続いていることから、5月の利下げの可能性も低くなってきています。これまでの米国経済の指標は経済が好調であることを示しており、このことから今年は利下げしないというシナリオを考えていくべきではないかと考えています。アトランタ連銀のGDPNowローリングGDPモデルが1月下旬に3.0%から2.9%に、2月中旬に3.4%から2.9%に下方修正されてはいますが、2023年第4四半期のGDPは当初予想の3.3%から3.4%に上方修正され、経済は引き続き好調を維持していることが伺えることからも利下げがないシナリオもありえるのではないかと考えています。
 1月の小売売上高は-0.8%と予想+0.1%を下回ったため、今後決算が本格化してくる小売業の結果を見極めて、一時的なものなのかそれとも消費者が節約にはいりつつあるのかをしっかりと確認が必要かと思います。
 S&P500種株価指数の年初来上昇率は2024年予想EPSの約20.6倍で、過去24年間のピーク時の平均倍率19.5倍を上回っています。売上高、EPS、ガイダンスが市場予想を上回る決算発表をした企業の株価が大きく上がることが増えており、PERのエクスパンションが始まりつつあるのではないかと思っています。ただ、IPO市場はまだ静かですのでバブルという状況ではないかとは思いますが、好調な株式市場が長期的に続くというシグナルが出てきていると思います。

株式

 S&P500構成企業のうち79%が2023年第4四半期の決算を発表しています。このうち75%の企業が予想EPSを上回り、5年平均の77%を下回っているものの、10年平均の74%を上回っています。EPS実績は、予想を3.9%上回っていますが、これは5年平均の8.5%、10年平均の6.7%を下回っています。この結果、同指数は先週末と比べ、また四半期末と比べ、本日第4四半期の増益となっています。第4四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合わせた)増益率は、先週の2.8%、第4四半期末(12月31日)の1.5%に対し、本日は3.2%となりました。仮に3.2%が当四半期の実際の増益率であれば、2四半期連続で前年同期比増益となります。
 11セクター中7セクターが前年同期比で増益となり、通信サービス、消費財、公益事業、情報技術セクターが牽引しています。一方、前年同期比で減益となったセクターは4つあり エネルギー、素材、ヘルスケア、金融となっています。
 売上高に関しては、S&P500構成企業のうち65%が実際の売上高が予想を上回った決算発表をしています。これは5年平均の68%を下回っているものの、10年平均の64%を上回っています。売上高は予想を1.2%上回っておりますが、これは5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。第4四半期の混合売上高成長率は4.0%となっており、、先週の収益成長率3.9%、第4四半期末(12月31日)の収益成長率3.1%に比べて上がっています。仮に4.0%が当四半期の実際の増収率であれば、13四半期連続の増収となります。
 前年同期比で増収となったのは8セクターで、不動産セクターと通信サービスセクターが牽引している。一方、前年同期比で減収となったのは3セクターで、エネルギーと素材セクターです。
 アナリストは2024年第1四半期の(前年同期比)利益成長率を3.9%、第2四半期を9.0%と予想しています。CY2024については、アナリストは(前年比)10.9%の増益を予想していいます。12ヵ月予想PER は20.4 で、5 年平均(19.0)、10 年平均(17.7)を上回っています。(Source FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

2/19(月):休場(Washington's Birthday)
2/20(火):
<寄付き前>Armstrong World Industries (AWI), Dana (DAN), Home Depot (HD), Walmart (WMT)
<引け後>Flowserve (FLS), International Flavors (IFF), Palo Alto Networks (PANW), Realty Income (O), Teladoc (TDOC), Toll Brothers (TOL)
2/21(水):
<寄付き前>Analog Devices (ADI), Travel & Leisure (TNL), Wingstop (WING)
<引け後>Cheesecake Factory (CAKE), Dutch Bros (BROS), Jack in the Box (JACK), Nvidia (NVDA), Physicians Realty Trust (DOC), Rivian Automotive (RIVN),
2/22(木):
<寄付き前>Builders FirstSource (BLDR), Keurig Dr Pepper (KDP),
<引け後>Alarm.com (ALRM), Block (SQ), Floor & Décor (FND), Insulet (PODD), Rocket Companies (RKT), Universal Display (OLED).
2/23(金):
<寄付き前>Bloomin' Brands (BLMN), Scripps (SSP), Warner Brothers Discovery (WBD)

米国の主な経済指標

2/19(月):祝日(Washington's Birthday)
2/20(火):
2/21(水):
2/22(木):新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数
2/23(金):

今週の着目点

 月曜日が祝日のため、経済指標の発表も少ないです。1月のFRB議事録とS&Pグローバルによる2月のフラッシュPMIの2つはざっと見ておいた方が良いかと考えています。FRB議事録では、中央銀行がどの程度早く利下げに踏み切ることが議論されているかを確認したいです。2月PMI速報値については、景気に関する兆候と、トレンド以上の成長が続くかどうかに注目したいです。1月Flash PMIとFinal PMIは、今後のインフレ動向についての一つの指標になりますので、その動きについて確認します。
 今週は、FRB高官のコメントがいくつか発表される予定で、ボスティック・アトランタ連銀総裁(2月21日)、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁(2月22日)、ニール・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(2月22日)のコメントに注目したいです。先週の1月コアCPIを見る限り、現状では長期金利はこのままの状態が続くと思います。
 株式市場は、先週の動きを見ていると一旦天井をつけたようにも見受けられます。一旦の小休止をはさんで、7月にサマーラリー、11月のラリーと繋がっていくように見ています。ただ、粘り強い相場が続いていますので、大きくは下がらない可能性がありこのまま様子を見ていく予定です。


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