米国市場:24年9/9週の振返りと9/16週の予定
市場概況
先週のS&P500指数は、5,626.02と前週比+4.02%で終了しました。NASDAQは17,683.98と前週比+5.95%で終了しました。
先週の株価は、投資家会議でのジェンスンの発言を受けてNvidia(NVDA)が8%上昇するなどその他の人気銘柄が反発し、市場全体が持ち直しました。S&P 500が今週約4%上昇し、ナスダック総合指数が約6%上昇し、先々週の下落のすべてを取り戻すまでとはいきませんでしたが、ほとんど取り戻すことができました。
S&P500も過去最高値の5670付近を目指す展開となっていますが、もしこのレベルにS&P500が達すれば、24年度のPERで23.4倍を目指す展開となります。これは、買われ過ぎになることを意味するため、24年度後半のEPS成長率が徐々に引き下げられてきていることをみているとこれから更なる伸びを期待するのはなかなか難しい展開かなと思います。従って、7月~9月期の決算が発表される10月頃には、25年度の予想も出そろって来ますので、10月まではなかなか高値を更新せず例年通り11月以降に市場の大きな伸びが期待できることになるのではないかなと考えています。ただし、来年のS&P500のEPS成長率が約15%と市場のコンセンサスが高い期待になっていますので、こちらも今後下方修正される可能性は高く、PERが高い状態が続くかもしれません。
先週はCPIが発表され、前年比+2.5%と市場予測の+2.6%よりも低い数値で入ってきました。物価は特に問題なくなったと考えられます。労働市場は、新規失業保険者数は23万人と安定して推移してますので、労働市場に大きな変化が発生しているとも考えにくいです。9日に更新されたAtlanta連銀のGDPNowでも2.5%の経済成長を予想されています。このため、経済は暗転しているということは考えにくいので、今週に予定されているFOMCでは0.25%の利下げで、FFレートは5%になるものと考えています。CME Fed Watch Toolでは、0.5%の利下げが59%となっており、0.5%の確率が高くなっているようですが、0.5%の利下げとなるとこれまでの経緯からして、経済に大きな不安があるということを市場にメッセージすることにもなるため、可能性は低いと考えられます。ただし、先週のWSJやFTで0.5%の利下げの可能性も報道されており、FRBは一定の柔軟性を確保しています。このため、0.25の利下げの可能性が高いですが、0.5%の可能性もゼロではないことは覚えておくべきでしょう。
仮にFRBが0.25%の緩やかな利下げペースのメッセージを伝え、市場がそれに対して下落の反応をするのであれば、それは8月上旬に見られたような買いの機会をもたらすものと考えてよいと思います。
大統領選挙の様子もカマラ・ハリスが徐々に優勢になってきており、現政党である民主党が勝つ確率があがってきました。このまま徐々に差が開いてくるようであれば、秋相場の深押しはないと考えています。
株式市場
第3四半期の終了まであと数週間となり、アナリストや企業は、最近の平均と比較して第3四半期の収益見通しについて悲観度合いはわずかに低下しています。しかし、第3四半期のS&P 500の推定EPSは、四半期初めの予想と比較して低くなってきています。推定EPSは減少したものの、同指数は5四半期連続で前年同期比増益となる見通しです。アナリストらはまた、同指数が2024年第4四半期以降再び2桁の増益となると依然として考えているようです。
S&P 500構成銘柄のEPSの推定値修正について、アナリストは2024年第3四半期の利益推定値を平均よりも小幅に引き下げました。1株当たりベースでは、第3四半期の推定利益は6月30日以降3.0%減少しています。この減少幅は5年平均(-3.3%)と10年平均(-3.3%)よりも小さいです。
第3四半期のガイダンスに関しては、2024年第3四半期にネガティブなEPSガイダンスを発表したS&P 500企業の割合も平均レベルを下回っています。現時点では、同指数の109社が2024年第3四半期のEPSガイダンスを発表しています。これらの企業のうち、59社がネガティブなEPSガイダンスを、50社がポジティブなEPSガイダンスを発表しています。2024年第3四半期にネガティブなEPSガイダンスを発表したS&P 500企業の割合は54%(109社中59社)で、5年平均の59%、10年平均の63%を下回っています。
アナリストによる利益推定値の下方修正と企業によるネガティブなEPSガイダンス発行により、2024年第2四半期の推定(前年同期比)利益成長率は、第3四半期初めに比べて今日では低くなっています。本日現在、S&P 500は(前年同期比)4.9%の増益となる見通しですが、6月30日時点での推定(前年同期比)利益成長率は7.8%でした。もし4.9%が実際の四半期成長率であれば、5四半期連続の前年同期比増益となります。
11セクターのうち7セクターが増益となる見通しです。これらの7セクターのうち3セクター、すなわち情報技術、ヘルスケア、コミュニケーションサービスは2桁成長を遂げると予測されています。一方、4セクターは前年同期比で減益となる見通しです。これらの4セクターのうち1セクター、すなわちエネルギーは2桁の減益となる見通しです。
収益に関しては、現在、S&P 500は(前年同期比)4.8%の増収となる見通しですが、6月30日時点での増収予想は4.9%でした。もし4.8%が実際の四半期増収率であれば、それはこの指数にとって16四半期連続の増収となります。
情報技術セクターとコミュニケーションサービスセクターが主導する形で、10セクターが増収を報告する見通しです。一方、エネルギーセクターは前年同期比で減収となる見通しで、唯一のセクターです。
今後の見通しとして、アナリストは2024年第4四半期、2025年第1四半期、2024年第2四半期の(前年同期比)利益成長率をそれぞれ15.4%、15.0%、14.1%と予想しています。2024年通年では、アナリストは(前年同期比)10.2%の増益を見込んでいます。2025年通年では、アナリストは(前年同期比)15.4%の増益を予測しています。
今後12ヶ月のP/E(株価収益率)は20.9倍で、5年平均(19.4倍)と10年平均(18.0倍)を上回っています。このP/E比率は、第2四半期末(6月30日)に記録された将来P/E比率21.0をわずかに下回っています
来週の主な決算発表(予定)
9/16(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
9/17(火):
<寄付き前>-
<引け後>-
9/18(水):
<寄付き前>General Mills (GIS)
<引け後>-
9/19(木):
<寄付き前>Darden Restaurants (DRI)
<引け後>FedEx (FDX), Lennar (LEN)
9/20(金):
<寄付き前>-
米国の主な経済指標
9/16(月):ニューヨーク連銀製造業景気指数
9/17(火):小売売上高、設備稼働率、鉱工業生産指数
9/18(水):FOMC、住宅建築許可件数・許可件数
9/19(木):新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数
9/20(金):
今週の着目点
水曜日のFRBの次の政策決定を前に、火曜日には消費者支出のバロメーターである8月の小売売上高報告があり、7月のデジタルショッピングイベントがどの程度影響を与えたかを確認します。来週の8月の鉱工業生産データは、8月のPMI報告で示された縮小傾向に続き、製造業活動のもう1つの側面が明らかになると思います。水曜日の朝に発表される住宅建築許可件数・許可件数も大きな変化はないと予想されます。
水曜日の午後は、おそらく今週のハイライトとなるFRBの9月会合、金利決定、および更新された一連の経済予測です。市場はFRBの最初の利下げの規模だけではなく、その後の利下げのペースに失望するリスクもあります。好調な経済を考えると今年は、来週1回と12月にさらに1回の、計2回の利下げが妥当と考えられます。新しいデータが公開されれば、この考え方を修正する必要があるかもしれませんが、現時点では直近の8月の経済指標の数値を受けての見解です。
FedWatchToolでは、市場予想を反映したこの数字では、現在から2024年末までに1.0%(100bps)の利下げ、2025年末までにさらに1.5%(150bps)の利下げが見込まれています。市場予測について考えると、おそらくソフトランディングとはちがうことを反映している可能性があります。これまでのところのデータはソフトランディングの可能性が高いことを示唆しており、ハードランディングの可能性が高まっているように見える場合は、S&P500のEPS成長率15%を求める市場コンセンサスを下方修正する必要があると思います。従って、何かが間違っていると考えています。したがって、FOMCの内容を受けて市場が認識の誤りを修正し、ギャップを埋める動きの中で、買い場が到来する可能性があります。
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