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米国市場:24年9/2週の振返りと9/9週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,408.42と前週比-4.25%で終了しました。NASDAQは16,690.83と前週比-5.77%で終了しました。
 先週の株価は、S&P500とNASDAQが大きく下落し、市場にとって厳しい週だったとおもいます。NASDAQは100日移動平均線を下回り、次のサポートレベルは200日移動平均線付近の16,277となります。S&P 500は50日移動平均線を割り込みましたが、100日移動平均線付近の5379を上回ることができました。次のサポートレベルである200日移動平均線は5148です。手痛い週になりましたが1か月前に経験した状況と似ているかと思います。
 金曜日までにはっきりしてきたこととしては、アメリカの経済はしっかりしているが、平常時に戻ってきたということだと考えられます。9月6日の失業率は予想と一致し4.2%でした。この数字は、22年~23年の好調時に比べると減速しているように見えるかもしれませんが、歴史的に考えると平常時よりちょっといいぐらいの数字です。雇用のペースも減少を示してはいますが、14.2万人としっかりと伸びており、平均時給は14セントの上昇となっているため、減速はしているもののアメリカ経済は底堅いようにみえます。
 しかし、CMEFedWatchを確認すると、市場は、年末までに1~1.25%の利下げを期待しており、経済が大きく落ち込むことを予想しているように見受けられます。アトランタ連銀のGDPNowは9月4日時点で2.1%となっており、奈落の底に突き落とされるような経済状況ではないと考えられます。確かに、FRBの高官から「大幅な利下げも検討する」という発言が出て話題になっていますが、今後のデータに基づいて検討すると繰り替えし述べており、都合の良い部分だけが強調されているように思えます。
 従って、市場はリセッションへの不安が先週の下落の要因の一つだと考えています。一方、9月になりましたので、IPO市場に目を移すとIPOされる企業はほとんどなく、株式市場の需給関係を悪化させるような動きにはならないと考えています。
 S&P500構成企業の第2四半期の決算状況がFactSetよってまとめられています。それによると、第2四半期は、直近3年間で一番の利益成長率を示しています。今年度は10%の成長率が予想されています。また、来年度は15%の利益成長率が予想されており引続き好調な経済が続くと考えられます。
 このため、今週に発表されるCPIの数字、及び次週のFOMCが終わると方向性が見えてくると思います。経済が景気後退に向かっているという証拠がいままでははっきりみられないこと、企業業績が堅調であること考えると、先週の下げは一つの買場を提供してくれているのではないかと考えています。

株式市場

 第2四半期の決算シーズンは、S&P500企業の業績は予想に対してまちまちな結果となりました。一方で、S&P 500企業の中で好業績サプライズを報告した企業の割合は平均を上回りました。 しかし、利益サプライズの規模は平均を下回っています。同指数は四半期末と比較して高い利益を報告しました。 実際、同指数は2021年第4四半期以来、最も高い(前年比)利益成長率を記録しました。
 全体として、S&P 500企業の99%以上がこれまでに2024年第2四半期の決算を発表しています。これらの企業のうち、79%が予想を上回るEPSを報告しており、これは5年平均の77%と10年平均の74%を上回っています。企業全体では、予想を3.6%上回る利益を報告していますが、これは5年平均の8.6%と10年平均の6.8%を下回っています。
 金融、情報技術、一般消費財セクターの企業によるEPS予想の上方修正と好EPSサプライズは、コミュニケーション・サービスとエネルギーセクターの企業によるEPS予想の下方修正とネガティブEPSサプライズによって一部相殺されましたが、6月30日以降の指数全体の利益成長率の上昇に最も貢献しました。その結果、指数は四半期末と比較し、第2四半期のより高い利益を報告しています。 第2四半期のブレンド(報告済みの企業の実際の結果と未報告の企業の推定結果を組み合わせたもの)利益成長率は、第2四半期末(6月30日)の利益成長率8.9%と比較して、11.3%となっています。第2四半期は、2021年第4四半期(31.4%)以来、最も高い前年同期比利益成長率となります。 また、4四半期連続の前年同期比増益となります。
 11セクターのうち9セクターが第2四半期の前年同期比成長を報告しています(または報告済みです)。 これらの9セクターのうち5セクターは2桁成長を記録しました:公益事業、情報技術、金融、ヘルスケア、一般消費財。 一方、素材セクターを中心に、2セクターは前年同期比で減益となりました。
 売上高に関しては、S&P 500企業の60%が予想を上回る売上高を報告しており、これは5年平均の69%と10年平均の64%を下回っています。企業全体では、予想を0.7%上回る売上高を報告していますが、これは5年平均の2.0%と10年平均の1.4%を下回っています。
 金融セクターとヘルスケアセクターの企業による好調な売上高サプライズは、6月30日以降の指数全体の売上高成長率の上昇に最も貢献しました。その結果、この指数は、四半期末と比較して、高い売上高を報告しています。 第2四半期のブレンド売上高成長率は、第2四半期末(6月30日)の売上高成長率4.7%と比較して、5.3%です。第2四半期は、2022年第4四半期(5.4%)以来、この指数が報告した中で最も高い売上高成長率となります。 また、この指数にとって15四半期連続の増収となります。
 情報技術、エネルギー、コミュニケーション・サービスセクターを中心に、10セクターが増収を報告しています(または報告済みです)。 一方、素材セクターは、前年同期比で減収となった唯一のセクターです。
 今後については、アナリストは2024年第3四半期と第4四半期の(前年比)利益成長率をそれぞれ4.9%と15.4%と予想しています。 2024年通年では、アナリストは(前年比)利益成長率を10.1%と予想しています。
 フォワード12ヶ月P/Eレシオは20.6で、5年平均(19.4)と10年平均(18.0)を上回っています。 しかし、このP/Eレシオは、第2四半期末(6月30日)に記録されたフォワードP/Eレシオ21.0を下回っています。(Source:Fact Set)

来週の主な決算発表(予定)

9/9(月):
<寄付き前>-
<引け後>Oracle (ORCL)
9/10(火):
<寄付き前>-
<引け後>Dave & Busters (PLAY), GameStop (GME)
9/11(水):
<寄付き前>
<引け後>Designer Brands (DBI)
9/12(木):
<寄付き前>: Kroger (KR), Signet Jewelers (SIG)
<引け後> Adobe (ADBE)
9/13(金):
<寄付き前>-

米国の主な経済指標

9/9(月):
9/10(火):
9/11(水):消費者物価指数(CPI)
9/12(木):新規失業保険申請件数、生産者物価指数(PPI)
9/13(金):ミシガン大学消費者信頼感指数

今週の着目点

 先週のデータは、経済の製造業と雇用の側面が8月も引き続き冷え込んだ一方で、賃金上昇率が月間で上昇しました。8月の雇用統計と、ADP全国雇用統計の転職者データで確認されています。今週は8月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表に注目し18日のFOMC以降のシナリオを考えていきたいと思います。
 6日金曜日の雇用統計発表後、9月の利下げ幅予想は25ベーシスポイントに落ち着いたようにみえます。実際、25ベーシスポイントは保守的な下げの範囲になりますので市場へのメッセージとして、経済に大きな変調はないということをいうためにも良い数字だと思います。しかし、CPIはまだ発表されていませんので、事前の予想の2.6%に近い数字で入ってくるか同課はしっかりと確認をしてきたいです。しかし、市場は依然としてFRBが2024年末までに1~1.25%の利下げを実施し、2025年5月までに合計2%の利下げを予想しています。企業業績が好調で株価が好調である限り、FRBは積極的な利下げは行わないと考えています。このことを18日のFOMCで確認していくことになると思います。
 今週の決算発表は非常に少ないです。オラクル(ORCL)とアドビ(ADBE)の決算発表では、企業支出、クラウド、AI導入に関するコメントに注目します。Dave & Busters (PLAY)とSignet Jewelers (SIG)の消費者に関するコメントも、注目すべき項目です。Kroger (KR)の決算では、プライベートブランドの見通しや、前四半期との比較における既存店売上高が注目していきます。
 上記の決算発表に加えて、月曜日(9月9日)にはAppleの「Glowtime」イベントがあり、新型iPhone、Apple Watch、AirPodsが発表される予定です。Appleが業績を伸ばすためには、消費者がこれらの新モデルに注目し、アップグレードし、Apple Intelligenceを使用したいと思うような、具体的な例を示して人々を驚かせる、もしくは強く関心を引きつけることが必要であると思います。しかし、長期的にはAIは有用性は高まるでしょうが、今期での大きな買い替え需要の発生は時期尚早と考えられます。期待外れのイベントになる可能性も否定できません。この場合、Nasdaqは少し軟調になる可能性もあります。
 また、投資家向けのMTGが来週はいくつも予定されておりそこで発表される内容にも来期を以降を占ううえでも注目をしていきたいです。


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