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米国市場:1/8週の振返りと24年1/15週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,783.83と前週比+1.84%で終了しました。NASDAQは14,972.76と前週比+3.09%で終了しました。
 先週の株価は、12日金曜日の株価はまちまちで引けましたが、週明けから下落分を取り戻すかのように戻しました。結果、2024年に入ってからはまちまちの上昇となっています。S&P500指数は0.29%上昇、NASDAQは0.26%下落、ラッセル2000種株価指数は3.75%下落となっています。
 年初3日、5日に注目して株価の動向を見てきましたが、S&P500指数は1月8日時点では4763.54と昨年末の4,783.83より若干ではありますがマイナスで終了しており今年は難しい年になることを示唆していると思います。ただ、1月末の状態が今年1年のパフォーマンスを決めると言われており、先週は株価が戻してきたようにこのまま月末もプラスの状態で終わると、今年のパフォーマンスのシナリオは少し楽観的に考えられるかなと思います。1月の相場の動きには引続き注目していきたいです。
 先週は、消費者物価指数(CPI)が発表されました。前年比は3.4%と予想3.2%を上回り、コアCPIも3.9%と予想3.8%を上回りました。コアCPIは21年5月以来の4%割れとなりました。ただ、前月比が0.3%の上昇となっており、ちょっと不安を残す結果となりました。週間の失業者申請件数は20万件でおおよそ定着してきており雇用自体はほぼ平時に戻ったと考えていますが、今回の結果を受けて市場が予想している3月の利下げの実施も少し怪しくなったようにみています。実際CMEFedWatchToolも利下げ無しが若干増えております。ただ、全体としては利下げを織り込んでいますので今後のインフレのデータの動きには引続き注目してます。しかし、ガソリン価格は30州で3ドル台を割りこんで来ており、インフレ自体が再燃することはそれほど懸念してません。数字としてCPIの前月比率が0.1%前後で落ち着いてくるとFRBとしても利下げをする環境が整うことになるかと思います。
 12日金曜日から23年第4Qの決算の発表が本格的に始まりました。銀行系およびデルタ航空(DAL)が決算を発表しています。JPモルガン・チェース(JPM)の収益未達やデルタ航空(DAL)の弱気なガイダンスを筆頭としてまちまちの四半期決算となっていました。ユナイテッド・ヘルス(UNH)もEPSをミスするなど投資家の不安をあおるような決算でした。この結果、市場は金曜日は横ばいになっています。月曜日は祝日ですので火曜日に発表されるゴールドマン(GS)、モルガンスタンレー(MS)の結果も期待できなさそうですが、この失望の決算発表が続くと投資家の不安がたかまって下落圧力が強くなってくるのかなと考えています。
 昨年は、"マグニフィセント・セブン "と呼ばれるハイテク銘柄が大きく伸びていましたが、先週では唯一テスラ(TSLA)が下げています。イーロンマスクCEOについての報道が大きく取り上げられていますが、紅海での船舶攻撃による輸送ルートの変更で部品が不足していることを理由に、ベルリン近郊の工場で1月29日から2月11日までほとんどの自動車生産を停止すると発表したことが大きな要因かと思います。その他の銘柄としてアマゾン(AMZN)、Alphabet(GOOG)がレイオフを発表するなど、AI投資加速のためにコスト圧縮を進めているように見えておりこちらは堅調に推移しているのではないかと見ています。
 紅海をめぐる地政学リスクの高まりによって、貨物船が迂回を余儀なくされていますがこの結果、輸送運賃の上昇とサプライ・チェーンの苦境は、それが長引けば長引くほどインフレ進行の圧力となると思います。すでに上述したようにテスラが影響を発表しており、他のサプライヤーにも影響があると考えられます。引続き状況を確認しておく必要があると思います。
 株式市場はS&P500指数は、2022年1月3日に記録した4,796.56の終値まであと一息と迫っており、S&P500種株価指数の2024年予想EPS(244.39ドル)の20倍近い水準となっています。こちらも、24年のEPSコンセンサスが11.4%のEPS成長率で考えられているため、23年4Qの企業の決算発表が本格化する中でどの程度まで引き下げられるかによっては、割高感が醸成される可能性もありますので、今後の決算も引続き注視しておきたいです。

株式

 S&P500構成企業の第4四半期決算シーズンは、まだ始まったばかりの段階ではありますが低調なスタートとなっています。S&P500構成銘柄のうち好業績サプライズを報告した企業の割合は平均的な水準にあります。しかし、金融セクターの企業のEPSが予想を下回ったため、全体では予想を10%近く下回る結果となっています。その結果、同指数の第4四半期決算は、先週末比でも四半期末比でもマイナスとなっています。同指数が前年同期比でマイナスとなるのは、過去5四半期で4度目となる。
 全体として、S&P500構成企業のうち6%が2023年第4四半期の決算を発表しています。これらの企業のうち、76%が予想EPSを上回りました。5年平均の77%を下回っていますが、10年平均の74%を上回っている状況です。全体では、各社は予想を9.8%下回るEPSを報告しており、これは5年平均の+8.5%、10年平均の+6.7%を大きく下回っている状況です。
 この結果、同指数は先週末と比べ、下方修正されました。第4四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算したもの)の減益率は、先週の増益率1.1%、第4四半期末(12月31日)の増益率1.6%に対し、12日時点では-0.1%となっています。
 金融セクターによるネガティブ・サプライズが、指数全体の利益成長率低下の最大の要因となっています。もし-0.1%が今四半期の実際の減益率であれば、過去5四半期で4度目の前年同期比減益となります。
 売上高に関しては、S&P500構成企業の55%が予想を上回っています。これは5年平均の68%、10年平均の64%を下回っています。売上高の成長率は予想を0.6%上回っています。これは5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っている状況です。
 第4四半期の混合売上高成長率は2.8%となっており、先週の売上高成長率の予想3.0%、第4四半期末(12月31日)の売上高成長率の予想3.0%に比べて低い状況です。
仮に2.8%が今四半期の実際の増収率であれば、12四半期連続の増収となります。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第1四半期の(前年同期比)利益成長率を5.7%、第2四半期を10.2%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)11.8%の増益を予想しています。
 12ヵ月予想PER は19.5 で、5 年平均(18.9)、10 年平均(17.6)を上回っています。
 来週、S&P500種構成企業23社(ダウ30種構成企業2社を含む)が第4四半期の決算発表を予定しています。

来週の主な決算発表(予定)

1/15(月):休場(Martin Luther King, Jr. Day)
1/16(火):
<寄付き前>Goldman Sachs (GS), Morgan Stanley (MS), PNC (PNC)
<引け後>Interactive Brokers (IBKR), Progress Software (PRGS)
1/17(水):
<寄付き前>Charles Schwab (SCHW)
<引け後>Alcoa (AA), Discover Financial Services (DFS)
1/18(木):
<寄付き前>American Airlines (AAL), Fastenal (FAST)
<引け後>JB Hunt (JBHT), PPG Industries (PPG)
1/19(金):
<寄付き前>Ally Financial (ALLY), Comerica (CMA), State Street (STT)

米国の主な経済指標

1/15(月):休場(Martin Luther King, Jr. Day)
1/16(火):
1/17(水):小売売上高、設備稼働率、鉱工業生産指数
1/18(木):住宅建築許可・着工件数、新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数
1/19(金):中古住宅販売件数、ミシガン大学消費者信頼感指数

今週の着目点

 月曜日は、キング牧師の祝日であるため米国株式市場が休場となります。
 今週の注目の経済指標は、12月小売売上高と12月住宅着工件数になります。12月小売売上高は、絶対額は堅調に伸びており消費の動きに変化がないかは確認しておきたいです。KBホーム(KBH)の四半期決算では、住宅着工戸数が前四半期比で21%減少していました。これが、統計情報としても現れてきているのかは確認しておく必要があると思います。
 15日からダボス会議があります。早ければ3月の利下げをイメージしている講演者がどれだけいるのか、気になります。また、米国連邦政府は1月19日に部分的な政府閉鎖の期限を迎え、2月2日には完全な政府閉鎖の期限を迎えるイベントがあります。議会は、3月までの政府資金を賄うための継続決議案を採決し、上院委員会が9月30日までの政府資金を賄うための残りの予算法案を作成すると考えられています。
 今週からだんだんと決算を発表する企業が増えてきます。全体として、企業の売上高は伸び続けており、最高益も更新しています。ただ、予想との乖離がありこの部分の折り合いがどの程度まで進むかの確認は引続き行っていきたいです。

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