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米国市場:4/18週の振返りと4/25週の予定

市場概況

先週は、いろいろな意味で大変な一週間でした。ロシアとウクライナの戦争が続き、4月中旬から始まった決算発表が本格化しその確認に追われ、金利上昇による影響の検証も必要になっております。
 さて、先週ですが、主要4株価指数すべてが大きく下げています。Tesla (TSLA) や AMSL (AMSL) などが好決算を発表し、株価を押し上げていますが、逆に警告を発する企業も増えてきています。スナップ (SNAP)、ギャップ (GPS)、グローバス・メディカル (GMED) 、コルセア・ゲーミング (CRSR) などが該当しますが、ガイダンス修正はそれぞれのセクターに波及しているようです。インフレとそれを先取りするFRBの取り組みに対する懸念が再燃し、株価は下落して週を終えました。

今週は、経済データが出ていますが、住宅関連が主になっています。ただ、木曜日のIMF(国際通貨基金)のイベントでのパウエルFRB議長の発言に続き、フラッシュPMIのデータも参考値として確認してみたいと思います。

米国経済

3月の住宅着工件数は1793千件と予想1740千件を上回る結果となったが、一戸建て住宅着工件数が前月比で減少し、上昇幅はすべて集合住宅でした。これは、建設業者がサプライチェーンの問題に直面していることを反映していると思われますが、金利の上昇により、住宅の価格も徐々に上昇していることも影響しているようです。
また、中古住宅販売も5.8百万件と前月修正値5.9百万件をしたまわりました。中古住宅販売と新築住宅販売の関係を考えると、この中古住宅販売が前月比で減少したことは、新築住宅販売の減少が予想され、販売可能な住宅の供給が引き続きタイトになることを示唆していると思われます。この結果、住宅価格もさらに上昇すると思われます。

今週半ば、FRBは各地域のFRB銀行で収集した最新の結果を発表し、小売業と非金融業で個人消費が加速したことを確認したものの、「サプライチェーンの滞留、労働市場の逼迫、投入コストの上昇が、企業が需要を満たす能力に引き続き課題がある」と指摘しています。また、パウエル議長が木曜日に「5月の会合で50ベーシスポイントの利上げが検討される」と発言し、「FRBはインフレ率2%を回復させるために手段を選ばない」と付け加えたことは、すでに織り込まれている内容であったと思います。5月の政策決定会合後に何が起こるかは、まだわからない部分はありますが、CME上ではすでに6月の会合でもう半パーセントの利上げが予想されており、7月の会合でも同じような期待が高まってきている。この3回の会合で合計1.75ベーシスポイントの利上げを予想されるような状況になっています。

米国で発表された4月のPMI速報値では、3月に比べてインフレがさらに進行していると指摘されています。
「4月のデータでは、原材料、燃料、輸送、賃金などが上昇し、民間企業全体の投入コストが過去最高を記録した。高騰したコスト負担を顧客に転嫁するために、企業は生産コストの急騰を示唆した。製造業、サービス業ともに、投入資材価格の高騰を受け、過去最高の増加率を記録した。また、営業費用の上昇を考慮し、販売価格に上乗せした企業もあった。」

このことが示唆するのは、3月のインフレデータがピークであった可能性は低いということである。金曜の朝に発表されたCMEグループのデータによると、市場は5月のFRB理事会で半値の利上げが行われる確率を100%と見ており、6月、7月、9月の理事会以降に少なくとも3回の50ベーシスポイントの利上げが予定されているようです。この考え方に基づけば、年末にはFF金利は少なくとも2.25%から2.5%となり、現在の0.25%から0.50%のレンジを大きく上回る可能性があります。
9月には中間選挙もあり利上げしにくい環境に置かれる可能性もあるため、大いに可能性としてあるのかなと思います。

株式

今秋までに、S&P 500構成企業のうち20%の企業が2022年第1四半期の決算発表しています。これらの企業のうち、79%が予想を上回るEPSの実績を発表しており、5年平均の77%を上回っています。企業全体では、予想を8.1%上回る業績を発表しており、5年平均の8.9%を下回っています。売上に関しては、S&P 500種構成企業の69%が実際の売上予想を上回った報告をしており、これは5年平均の69%と同程度です。全体では、各社の収益は予想を1.3%上回り、5年平均の1.7%を下回っています。
今後の見通しとして、アナリストは2022年第2四半期に7.0%、第3四半期に11.7%、第4四半期に11.2%の収益成長を見込んでいます。2022年CYについては、アナリストは10.9%の利益成長を予測しています。
今後12ヶ月PERは18.6となっており、5年平均(18.6)と同じですが、10年平均(16.8)を上回っています。しかし、第1四半期末(3月31日)時点のフォワードPER19.4を下回っています。これは、過去数週間にわたり、価格が下落する一方でフォワード12ヶ月予想EPSが上昇した結果によるものです。

来週の主な決算発表(予定)

4/25(月):
<寄付き前>Activision Blizzard (ATVI), Coca-Cola (KO).
<引け後>PepsiCo (PEP), Whirlpool (WHR)
4/26(火):
<寄付き前>3M (MMM), Corning (GLW),Archer-Daniels-Midland Co (ADM), Centene Corp (CNC), General Electric Company (GE), JetBlue Airways (JBLU), Paccar (PCAR), Raytheon Technologies (RTX), Sensata Tech (ST), Sherwin Williams (SHW), UPS (UPS), Valero Energy Corporation (VLO), Warner Bros. Discovery (WBD).
<引け後>Alphabet (GOOGL), Chipotle Mexican Grill (CMG), Enphase Energy Inc (ENPH), General Motors (GM), Juniper Networks (JNPR), Microsoft (MSFT), Mondelez International (MDLZ), Texas Instruments Incorporated (TXN), Visa (V).
4/27(水):
<寄付き前>Boeing(BA), Boston Scientific (BSX), Bunge (BG), Driven Brands (DRVN), General Dynamics (GD), Hess Corp. (HES), Kraft Heinz Co (KHC), Silicon Labs (SLAB), Spotify (SPOT), STMicroelectronics (STM), Teck Resources (TECK), T-Mobile (TMUS).
<引け後>American Water Works (AWK), Amgen, Inc. (AMGN), Antero Resources Corp (AR), Celestica (CLS), Cheesecake Factory (CAKE), CyrusOne (CONE), Equinix (EQIX), Ford Motor (F), Meta Platforms (FB), Netgear (NTGR), PayPal Holdings Inc (PYPL), Qualcomm (QCOM), TechnipFMC (FTI), Teladoc Health Inc (TDOC), United Rentals (URI).
4/28(木):
<寄付き前>Altria (MO), Caterpillar (CAT), Comcast (CMCSA), Cullen/Frost Bankers, Inc. (CFR), Domino's Pizza (DPZ), Eli Lilly And Co (LLY), Grainger (GWW), Hershey Foods (HSY), International Paper (IP), Lab Corp. (LH), Mastercard (MA), Mattel Inc (MAT), McDonald's (MCD), Northrop Grumman (NOC), Nokia (NOK), Southwest Air (LUV), Twitter (TWTR), Visteon (VC).
<引け後>Amazon (AMZN), Apple (AAPL), Atlassian (TEAM), Digital Realty Trust (DLR), Gilead Sciences (GILD), Intel (INTC), KLA (KLAC), Nio (NIO), Robinhood Markets (HOOD), Roku (ROKU), Southwestern Energy (SWN), Terex (TEX), US Steel (X).
4/29(金):
<寄付き前>AbbVie Inc (ABBV), Bloomin' Brands (BLMN), Bristol-Myers Squibb (BMY), Cboe Global Markets (CBOE), Colgate Palmolive (CL), Chevron Corporation (CVX), Exxon Mobil (XOM), Honeywell International (HON), Phillips 66 (PSX), Sensient (SXT), Weyerhaeuser (WY).
<引け後>

米国の主な経済指標

4/25(月):
4/26(火):新築住宅販売件数、コンファレンスボード消費者信頼感指数、耐久財受注(前月比)(速報)
4/26(水):卸売在庫(前月比)
4/27(木):GDP、新規失業保険申請件数
4/28(金):個人所得・支出、ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)

今週の着目点

今週は、インフレと経済のスピードという2つのトピックが最重要視されるでしょう。3月期のGDPが初めて発表されますが、週明けに発表される個人所得・支出報告で、3月個人消費支出価格指数がインフレ圧力を示すかどうかに注目が集まりそうです。2月の前年比6.4%増に続き、3月の個人消費支出価格指数が引き続き高いインフレ率を示した場合、FRBは5月、6月、7月に少なくとも50bp、6月には75bpの利上げを見込んでおり、この利上げの流れが定着する公算が大きです。

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