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米国市場:3/11週の振返りと24年3/18週の予定

概略

先週

  • S&P500指数は横ばい、NASDAQは2週連続で反落だが動きは鈍かった

  • CPIは予想3.1%に対して3.2%と若干上振れし、前月比も上昇を継続

今週

  • GTC開発者会議とジェンセン・フアンCEOの基調講演:AI関連株に注目

  • FOMC開催:政策金利据え置き見込み、パウエル議長のコメントに注目

  • 大型IPO:Astera Labs(ALAB)、Reddit(RDDT)

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,117.09と前週比-0.13%で終了しました。NASDAQは15,973.17と前週比-0.7%で終了しました。
 先週の株価は、S&P500指数に見られるように、市場全体はほとんど動きが見られませんでした。NASDAQは2週連続で反落しましたが、その反落があったとしても、今年に入ってから6.41%とかなりの上昇率となっています。ラッセル2000は2.08%下落し、先月までの上昇分をほとんど帳消しにした格好となりました。NASDAQは、ほんのり調整した感じですが、2次波動としての調整が来るのであれば15000ぐらいまでを見ておけばよいかなと思います。大きな上げ相場の中での微調整ですので、しばらく観察に徹することになりそうです。
 経済指標は、CPIが発表され、予想3.1%に対して3.2%と若干上振れして着地しました。前月比は0.4%と昨年10月の0.1%よりじりじりと上がってきていることから、このまま前月比が高い比率で続くとFRBが利下げを長期に保持する理由になることから投資家の心理にも変化が出てくると思います。この後に発表される他の経済指標から今後のCPIがどのように変化するかを引続き観測しておく必要があると思います。
 今週は、GTC開発者会議とジェンセン・フアンCEOの基調講演が行われるため、再びAIとエヌビディア(NVDA)に注目が再度集まることになります。これまで、エヌビディアのEPSは上方修正が相次いでおり、これらの理由付けとして、ファンCEOのフォローアップがはいると、大きなサポートになるかもしれません。おおきくは期待できませんが、市場の反応次第では、エヌビディアなどのAI関連株のチャンスになるかもしれません。
 20日~21日には、FOMCが開催されます。市場は、パウエルFRB議長が以前から予告しているように、この会合での金利の政策に変更はないと予想しています。(CME FedWatch Tool 99%が維持となっています。)パウエル議長の記者会見でのコメントや経済予測の更新に注目したいです。先週発表された2月のCPIデータを考慮すると、FRBは2024年のGDPとインフレの見通しを語る際に、「データを引き続き確認する」ということを引続き述べるにとどまると思います。市場の関心は、利下げ幅ではなく利下げの開始タイミングに興味が移っていますが、この状態ですと動かない可能性が高いです。6月が一つの利下げタイミングと考えられていますが、FRBは利下げ開始時期が2024年第2四半期から第4四半期にずれ込む可能性が高まっていることに、投資家の理解がおいつくことを期待しているような気がします。
 経済指標は、いろいろな数字を示してきていますが極端に悪化している様子でもなく、また、ものすごく好調な用紙でもないことを示していると考えています。GDP Nowも2.3%の成長が予想されておりアメリカ経済は引続き良好な状態であると考えると、今年は利下げがないかもしれないということをメインシナリオとして考えて市場に臨んでいったほうが良い気がしてきています。

株式

 アナリストによるS&P500構成企業の第1四半期の業績予想修正幅は、最近の平均と比べて悲観的でない一方、企業の第1四半期の業績見通しは、最近の平均と比べて悲観的となっています。その結果、S&P500種構成企業の第1四半期の予想利益は、期初の予想に比べ、現在は低くなっています。しかし、前年同期比では3四半期連続の増益となる見込みです。
 S&P500構成企業の予想利益修正では、アナリストによる2024年第1四半期の業績予想の引き下げ幅は平均より小さく、1株当たりでは、第1四半期の予想利益は12月31日以来2.3%の下げとなっており、この下げ幅は5年平均(-3.7%)や10年平均(-3.4%)よりも小さくなっています。
 ガイダンスに関しては、S&P500構成企業のうち、2024年第1四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の数、割合ともに平均を上回っている。78社がマイナスのEPSガイダンスを、32社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業数は5年平均(58社)、10年平均(62社)を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と各社によるEPSガイダンスの下方修正により、2024年第1四半期の推定(前年同期比)利益成長率は第1四半期開始時点と比較して低下してますが、3月15日時点のS&P 500構成企業の予想(前年同期比)増益率は3.3%となっています。仮に3.3%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は3四半期連続で前年同期比増益となります。セクター別では、公益事業、通信サービス、情報技術、消費財など11セクター中7セクターで前年同期比増益が見込まれている。一方、前年同期比で減益と予想されるのは、エネルギー、素材セクターなどの4セクターとなっています。
 売上の面でも、アナリストは当四半期中に予想を下方修正しています。S&P500指数は、12月31日時点では4.3%の増収予想だったのに対し、今日時点では3.5%の増収予想となっています。仮に3.5%が実際の増収率となれば、S&P500種指数は14四半期連続で増収となります。通信サービス・セクターを中心に、8つのセクターで前年同期比増収が見込まれている。一方、前年同期比で減収となるのは、素材セクターを筆頭に3セクターと予測されています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第2四半期、第3四半期、第4四半期の収益成長率(前年同期比)をそれぞれ9.1%、8.3%、17.3%と予想しています。CY2024については、アナリストは(前年比)11.0%の利益成長を予想している。

来週の主な決算発表(予定)

3/18(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
3/19(火):
<寄付き前>-
<引け後>-
3/20(水):
<寄付き前>General Mills (GIS)
<引け後>Five Below (FIVE), KB Home (KBH), Micron (MU)
3/21(木):
<寄付き前>Accenture (ACN), Darden Restaurants (DRI), Shoe Carnival (SCVL)
<引け後>FedEx (FDX), Nike (NKE), lululemon (LULU)
3/22(金):
<寄付き前>-

米国の主な経済指標

3/18(月):
3/19(火):住宅建築許可件数・着工件数
3/20(水):FOMC
3/21(木):新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数、中古住宅販売件数
3/22(金):

今週の着目点

 今週は、FOMCが開催されます。特に政策金利は据え置かれ、先の見通しに大きな変化はないと予想していますが、その予想が間違っていないかを確認していきます。前述していますが、今週、2月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表され利下げの時期はさらに先送りされることになった予想されています。このデータに基づくと、パウエル議長は、インフレデータが誤った方向に動いただけでなく、国内経済が予想以上に好調を維持していることから、市場に対して市場が期待しているコメントではなく厳しいコメントを出すのではないかと思います。また、FRBの経済予測サマリーでは、GDPとインフレ率が上方修正されると思われます。
 2月の住宅着工件数も、一戸建て住宅着工件数に焦点をあてて分析していきたいです。1月の一戸建て住宅着工件数が4.7%減少したことを考えると、2月のデータは回復が見られることを期待したいです。
 今週は大型のIPOが予定されています。しばらく大きなIPOがなかったので、今週20日にAstera Labs(ALAB)、21日にReddit(RDDT)が予定されていますが、これらがHotDealになるか確認していきたいです。


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