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米国市場:5/27週の振返りと24年6/3週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,277.51と前週比-0.51%で終了しました。NASDAQは16,735.02と前週比-1.10%%で終了しました。
 先週の株価は、取引日は少なく、金曜日は引けにかけて急騰しましたが、主要4指数は全て前週比でマイナスで引けました。5月30日(木)に発表された企業の決算は残念な結果となった企業もあり、翌日31日(金)の寄り付きは下げて寄り付きましたが、大引けにかけて急騰し、陽線を描いて引けています。この結果、先週一週間は若干スピード調整を様相を示しているように見えていましたが、チャート的にはこれで調整完了し、今週はもう一度S&P500、NASDAQ共に高値を取りに行く展開となるのではないかと考えてもいいような金曜日の展開でした。
 金曜日のリバウンドの要因となったことの一つとして、PCEコアデフレータの数字に若干のインフレ減速に向けた進捗が見られたと市場が解釈したからではないかと思います。  10年米国債利回りは週間の高値からは下がりましたが、それでも先週の終値よりも高い水準で終了しています。
 先週末で5月が終了しました。最終週は市場に若干の調整がみられましたが、全体としては、5月は大きくプラスとなった月でした。S&P500は、前月比+ 4.80%、NASDAQは前月比+6.88%と大きく4月の不調を取り戻すかのように動いています。ただ、物色の矛先をみていると大型ハイテク株(NVDA、MSFT、AAPL、GOOG)に集中しているようにみえており、S&P500指数に占める時価総額の割合も30%を超えてきております。特に5月は大型ハイテク株で合計1兆4000億ドル超増加し、残りの値上がり銘柄296社の合計を上回っていました。このことから、大型ハイテク株が牽引する市場というのが戻ってきたように見ています。
 今週は、下記に示しますが5月の経済データがたくさん発表されます。経済に対する期待と、6月12日のFOMCにてFRBが金融政策について何を言う可能性があるかについての期待を形作ると思います。投資家会議での経営陣のプレゼンテーションが多くあり、四半期初めに発表されたガイダンスと比較して、良い点・悪い点の違いを確認していきます。
 この結果を反映してくるのが、CME FedWatch Toolになると思います。先週末時点で9月の利下げに対する市場の期待が、利下げなしに近づいていることを示しています。来週のデータでそれがはっきりと見えてくる形となれば、金曜日の上昇とは裏腹に市場の調整が続く可能性もあります。その場合、S&P500の次のサポートレベルである5180付近(週末終値より約1%低い)になるかなと思っています。

株式

 第1四半期決算発表シーズンも終盤に差し掛かり、S&P500企業は引き続き予想を上回る好業績を維持しています。S&P500企業の中で、好業績を報告した企業の割合と、その好業績の規模は、ともに10年間の平均を上回っています。その結果、S&P500指数の利益は、第1四半期の決算が四半期末と比較して増加しており、前年同期比では2022年第2四半期以来の高い増益率を記録しています。
 全体として、S&P500企業の98%が2024年第1四半期の決算を発表しました。このうち、78%の企業が予想を上回るEPSを報告しており、これは5年間の平均77%、10年間の平均74%を上回っています。企業全体では、予想を7.4%上回る利益を報告していますが、これは5年間の平均8.5%を下回るものの、10年間の平均6.7%を上回っています。
 結果、第1四半期のEPSは四半期末時点と比較して増加しています。第1四半期のブレンド(発表済みの企業の実際の結果と未発表の企業の推定結果を組み合わせたもの)増益率は、本日時点で5.9%であり、第1四半期末(3月31日)の3.4%と比較して増加しています。もし5.9%が今四半期の実際の成長率であれば、2022年第1四半期(9.4%)以来、この指数が報告した中で最も高い前年同期比増益率となります。
 11セクターのうち8セクターが、コミュニケーションサービス、公益事業、情報技術、一般消費財セクターを中心に、前年同期比で増益を報告しています。一方、エネルギー、ヘルスケア、素材の3セクターは、前年同期比で減益となっています。
 売上高に関しては、S&P500企業の61%が予想を上回る売上高を報告しており、これは5年間の平均69%、10年間の平均64%を下回っています。企業全体では、予想を0.8%上回る売上高を報告していますが、これも5年間の平均2.0%、10年間の平均1.4%を下回っています。
 3月31日以降、金融セクターの企業による好調な売上高の報告が、この期間中の指数の売上高成長率の上昇に最も大きく貢献しています。結果、S&P500指数の第1四半期の売上高は四半期末予想と比較して増加しています。第1四半期のブレンド売上高成長率は、本日時点で4.2%であり、第1四半期末(3月31日)の3.5%と比較して増加しています。もし4.2%が今四半期の実際の売上高成長率であれば、この指数にとって14四半期連続の売上高成長となります。
 8つのセクターが、コミュニケーションサービスと情報技術セクターを中心に、前年同期比で増収を報告しています。一方、公益事業セクターを中心に、3つのセクターが前年同期比で減収となりました。
 今後の見通しとして、アナリストは、2024年第2四半期、第3四半期、第4四半期について、それぞれ9.2%、8.3%、17.5%の(前年同期比)増益率を予想しています。2024年度については、アナリストは11.3%の(前年同期比)増益を予想しています。
 将来12ヶ月の株価収益率(PER)は20.3倍で、5年平均(19.2倍)、10年平均(17.8倍)を上回っています。第1四半期末(3月31日)に記録された21.0倍の将来PERを下回っています。
 今週は、S&P500企業のうち7社が第1四半期の決算発表を予定しています。(Source Fact Set)

来週の主な決算発表(予定)

6/3(月):
<寄付き前>Science Applications (SAIC).
<引け後>
6/4(火):
<寄付き前>Bath & Body Works (BBWI), Designer Brands (DBI).
<引け後>CrowdStrike (CRWD), Guidewire (GWRE), Hewlett Packard Enterprises (HPE), PVH (PVH).
6/5(水):
<寄付き前>Brown-Forman (BF.B) Campbell Soup (CPB), United Natural Foods (UNFI).
<引け後>Five Below (FIVE), Lululemon Athletica (LULU), Sprinklr (CXM), Victoria’s Secret (VSCO).
6/6(木):
<寄付き前>Big Lots (BIG), Ciena (CIEN).
<引け後>DocuSign (DOCU), Mission Produce (AVO),Samsara (IOT)
6/7(金):
<寄付き前>

米国の主な経済指標

6/3(月):ISM製造業景気指数
6/4(火):製造業新規受注、耐久財受注
6/5(水):ISM非製造業景気指数
6/6(木):新規失業保険申請件数
6/7(金):失業率、

今週の着目点

 今週はいつもの月初経済データ発表ラッシュがあります。これに先立ち、先週後半、アトランタ連邦準備銀行は、5月31日の4月個人所得・消費支出データを受けて、今四半期のGDPNow予測を3.5%から2.7%に引き下げました。以前の予想より大きく低くなったものの、4月のデータのみを反映しているため、今週発表される5月のたくさんの経済指標のデータによって、さらに修正が行われる可能性があります。これらの修正の方向性は、経済の先行きの指針にもなりますので、市場と利下げ期待に影響を与えると思います。
 先週のFRB高官の談話から推測すると、利下げの方向で準備はできているもののきっかけとなる物が乏しい状態で、しばらくは現状の政策が維持されるものとして引続き観察を続けていくことになると考えています。
 S&PグローバルとISMによる5月のPMI報告、5月の雇用統計などから経済の速度、雇用創出、インフレ圧力に関する洞察が得られると思います。ISMによる5月の製造業とサービス業の価格に関しては市場予想は、どちらも4月と比較して上昇すると予想されています。月曜日と水曜日にこれらの数字が出れば、新たなインフレの進展がはっきりしてくると思います。
 6月12日のFOMCに向けてFRBのブラックアウト期間に入るため、今週はFRB高官による発言はありません。今週に発表されるインフレ関連のデータからインフレが徐々に改善されていることがわかるデータが出てくれば、FRB当局者の発言がないことで、利下げに対する市場の期待が高まる可能性もあります。6月12日午前に発表されるコアCPIデータが前年同期比で大幅に改善しない限り、パウエル議長は、当面の間より良いデータが必要であることを繰り返し、金利をより長く高く維持する必要があると繰り返すと思います。


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