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2020年:あなたにも観てほしい映画編Part2

すでに2月の終わりが見えてきて、恐怖を覚える。
2月は特にひと月の日数が少ないので、颯爽と過ぎ去っていくような気がするので無駄に焦る。

ここ最近は、洋画の公開が延期され続ける一方、劇場公開している邦画は観たいなぁと思うものが多くて良い。
さらに、舞台挨拶の中継付きという作品も多く、ついその文句に釣られて観に行ってしまっているミーハーさである。
あと、Netflixオリジナルの映画で気になるものも多く、もう全然時間が足りない。
うっかりライブのチケットを取り損ねるほど時間がない。
元々はライブの穴を埋めるために観始めた映画だったのに、本末転倒になっていて少し悲しくなった。

しかしながら、2020年の個人的映画振り返りも一向に進んでいない今日この頃。
なんとか上半期には終わらせたいので、前回に引き続き、「あなたにも観てほしい映画」10選。
とりあえずもう一度ラインナップを。

「薬の神じゃない!」2020年/中国/ウェン・ムーイエ/117分
「マルモイ ことばあつめ」2020年/韓国/オム・ユナ/135分
「キーパー ある兵士の奇跡」2020年/イギリス・ドイツ/マイルス・H・ローゼンミュラー/119分
「ハリエット」2020年/アメリカ/ケイシー・レモンズ/125分
「パブリック 図書館の奇跡」2020年/アメリカ/エミリオ・エステヴェス/119分
「1917 命をかけた伝令」2020年/アメリカ・イギリス/サム・メンデス/110分
「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」2020年/スウェーデン/ツヴァ・ノヴォトニー/97分
「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」2020年/アメリカ/オリヴィア・ワイルド/102分
「彼の見つめる先に」2018年/ブラジル/ダニエル・ヒベイロ/96分
「パリのどこかで、あなたと」2020年/フランス/セドリック・クラピッシュ/111分
(順不同)

さて、後半は「これぞハッピーエンド編」としてまとめていこうかと思う。
「ハッピーエンド編」とは言いつつ、そんなにめでたしめでたしな感じではない気がして、人に勧めておきながら不安になり始めた、、
そもそも実はあまりハッピーエンドの映画が得意ではない。
映画にはカタルシスを求めがちな人間なので、割と絶望的な終わり方をする映画の方が好きだったりする。
とはいえ、誰彼構わず「時計じかけのオレンジ」を勧めるわけにはいかないので、とりあえず人に勧める場合は比較的「パッピーエンド」でほっこり終わる映画からあたってみる。

「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」2020年/スウェーデン/ツヴァ・ノヴォトニー/97分

これはスウェーデンの映画。まず、97分という長さで、さくっと観れて良い。
主人公のブリット=マリーは63歳のまぁ一般的には初老と呼ばれるおばさん。
ずっと専業主婦で、料理と掃除を生業に笑うことすらない生活を淡々と生きていたようなのが、夫の浮気が発覚し(しかも相手がギャル…)、ブチギレて街を出るという話。
街を出た後は生活のために職を探すのだが、ほとんど就労経験のないおばさんは働き手のいないユースセンターという、放課後に子どもたちの面倒を見る施設の管理人として働き始める。さらにはそこの子供達のサッカーチームのコーチまで任されることになり奮闘していくといったお話。
原作者が同じの「幸せなひとりぼっち」(2016/スウェーデン)の主人公と同様、ガッチガチに冷え固まった心が、柔らかくほぐされていく優しい映画です。

主人公はおばさんなんだけれど、自分と置き換えても共感できる部分が多く、かなり勇気をもらえる映画だったなぁと思う。
ポーカーフェイスで淡々とこなしているように見える中に、喜怒哀楽が詰まっているのを感じ取れてとても良かった。
キッズたちの真っ直ぐな思いや、大人のエゴ、街の住人の優しい気持ちなど、周りを見渡すことでようやく“自分”が見えてくる。自分では何とも思っていなかったことが自分の強みになっていたり、難儀な性格が誰かにとっての希望になったり。
短所は長所とよくいったものだが、ただやっぱり何事にもそこにプラスして、少しの勇気が必要なんだなぁと感じることもできる良い映画だと思います。
疲れているときにはほっこり元気をもらえるし、疲れてなくてもスポ根映画として楽しめます。

余談ですが、北欧の絵画の邦題、「しあわせな」って付けがちかと。
今日たまたま「世界で一番しあわせな食堂」(2021/フィンランド)というの映画を観たから余計にそう思ってしまったのだが、イメージなんだろうけど、そんなに「しあわせ」押し付けんでも…と個人的には思ったりする。
まぁでも、自分が「幸せだ」と思える環境に身を置くことができるのは良いことですよね。


「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」2020年/アメリカ/オリヴィア・ワイルド/102分

これも102分でさくっと観れるのだが、やはり若者が主人公だとスピード感が圧倒的に違う!
これは本当にむちゃくちゃ面白くて、映画館で悶えながら爆笑。
同期に勧めたら、「ほとんど下ネタやんけ」と言われましたが、こんなにもキラキラした瞬間瞬間が詰め込まれているのに何を大雑把にまとめちゃってんだ!と。
とりあえず予告編を見てくれ。

あらすじ的には、一晩の話なので短くまとめてしまえるのだが、
①学校での二人の存在
②パーティーに行くための準備
③目指すパーティーにたどり着くまでの珍道中
④衝撃事実の発覚
⑤お約束の展開
⑥思わぬ出会い
⑦卒業とそれぞれの選択
と、こんな感じが102分の中にギュッと詰まっていて、ラストはもう心の中で拍手喝采となっておりました。

何より、登場人物の個性がそれぞれ大爆発していて、全員が魅力的。
そしてやっぱり、主人公の二人の友情が最高で、この映画の全てと言って過言ではない。
今までのガールズムービーのイメージを一新させるような弾けるエネルギーと優しさを感じる映画だったなと思う。
ガールズムービーと言われるような映画をほとんど見たことがない分際が言うことではないのかもしれないが、、

画面の構成も、溢れんばかりの色彩で、さらにはアニメーションなんかもぶち込まれていて観ているだけでパワーをもらえて良い。
予告編にも入っている 道路で踊ってるような、何てことない瞬間でさえも、かけがえのない瞬間のようでとても眩しくて愛おしい。
自分にこういった経験があるかと言われれば、まぁパリピではなかったので共感できないこともないのだが、ここまで大暴れしたら人生変わっていたかもなぁと。

近年 日本のお笑いシーンなんかでも「人を傷つけない笑い」なんていう風潮になってきていますが、この映画を見たあと、これは世界的な流れなのかなぁと思ったり。
他人の個性を理解する、受け入れる、尊重する。最初から出来なくても、時間をかけたり、話してみたりすると出来ないことではないかもしれない。
まぁそんな難しいことは考えなくても、パーッと大爆笑しながら観たらいいんじゃないかと思います。Netflixで観れます。


「彼の見つめる先に」2018年/ブラジル/ダニエル・ヒベイロ/96分

これも短めで、アマプラで観れるかと思います。
2020年公開ではなく、ちょっと前の作品ですが劇場公開していたのも知らなくて、サブスクでよくある“あなたへのおすすめ”として出てきた映画。
“あなたへのおすすめ”ってあんまり信用していないのだけど、観終わった後は なるほどなぁ〜、たまには素直にしたがってみてもいいかもなと思わされた。
なぜ私に“おすすめ”なのかは、後々わかってくるかと思うのだが、好きな映画と通ずるものがあって、ほっこりしましたね。

これも高校生の青春ムービーなのだけど「ブックスマート」と打って変わって、可愛らしい映画となっている印象。
見た目もなんか中学生くらいに見えるというか、連続して回顧してみるとやっぱりブックスマートとのギャップが強すぎる。
ブラジルの映画ってあんまり観たことないのだが、派手なサンバのイメージとは違って、この映画は映像のトーンも抑え気味で、ゆるく優しい映画だったなぁと思います。

主人公は目の見えない少年なんだけど、転校生との出会いで世界が広がっていくというありがち?な展開ではある。
でもやっぱりその過程というか、登場人物全員の心の機微が繊細に描かれていて、とても魅力的な映画だったなぁと思う。
家族との関係とか、親友との関係とか、恋とか夢とか まぁとりあえず全てが可愛い。
共感系の青春ムービーではないかもしれないのだが、優しく見守ってあげてくなると思います。

個人的には“あなたへのおすすめ”に出てきた段階で、何となく展開の察しがついてしまったのですが、あんまり前情報を入れなくても良い映画かなぁと。
主人公たちに寄り添って観てみて欲しいと思います。
夜中に部屋を真っ暗にして観るのではなく、天気の良い休日のお昼に観るのがおすすめです。最近はあったかくなってきましたし、映像の空気感と相まってちょうど良いかと思います。


「パリのどこかで、あなたと」2020年/フランス/セドリック・クラピッシュ/111分

スウェーデン、アメリカ、ブラジルときて今度はフランスのパリが舞台の映画です。
主人公も高校生から今度は30歳の不器用に生きる男女に移ります。

男女の話といえども、恋愛映画かといえばそうではないと言いますか。
“不眠症の男”と“過眠症の女”が主人公なのだが、それぞれの生活を“同じ景色の中”で“別々に”描いているというのがこの映画の面白いところ。
すれ違いコントのような、いつ!いつ出会うんだ!とウズウズする、これまでに観たことがないような変わった構成で新鮮でした。
コントと言ったものの全体的にはトーンも暗く、主人公それぞれが抱える問題も現代のリアルさがあって暗い気分にもなったりするのだが、クスッと笑える要素も散らばっていて、ギリしんどくなりすぎずに観れるかと思います。

フランス映画といえば、個人的にはもうなんか後味の悪い陰湿な映画が多いイメージだったのだが(見ている映画の偏り具合が垣間見えますね)、この映画はフランス映画特有のダウナーな感じは残しつつ、都会的でおしゃれな雰囲気もあって 人に勧めても大丈夫そうだぞ、と思いました。
陰湿な映画も大好きなのですが、たまにはこういった映画も良いですね。
キープレイスとなる多国籍な食品が揃うショップが出てくるのですが、お店のイメージに恥じない良いスパイス加減で、実際にあるのであれば行ってみたいなぁと思ったり。
魚沼産コシヒカリが出てきたり、猫がとりあえず可愛かったり、特別難しい要素もなく、私のようなトンチンカンでもわかりやすい構成で良かったなぁと思います。
エンドロールまできちんとおしゃれ。これはどちらかというと、夜な夜なしっぽり観るのに良い映画かと思います。


以上で後半「これぞハッピーエンド編」終わりです。
ハッピーエンドというより、「ほっこり終わる映画編」の方が相応しかったかなぁと思い始めましたが、嫌な気分で終わる映画ではないことは確かかと思われます。
「1917 命をかけた伝令」については、おすすめしておきながら、おすすめポイントが難しくてちょっと違うまとめの中で書き残そうかなと。

代わりと言っては何ですが、おまけにもう一本。

「羅子黒戦記 ぼくが選ぶ未来」2020年/中国/MTJJ/101分

羅子黒戦記と書いて、ロシャオヘイセンキと読むみたいです。中国のアニメーション映画なんですが、密かに大ヒットしていて、同期に誘われ観てみました。
アニメ映画はほとんど観ない上に、吹き替え版で観るという個人的には珍しい体験だったのですが、むちゃくちゃ良かったです。
元々はゆるい可愛い絵柄のWEBアニメが原作というか、元ネタだったみたいなのだが、主人公のシャオヘイの可愛らしさは残しつつ、完全に映画としてストーリーもガチガチに作り込まれていて見応え満点。
あらすじはちょっと難解なので、これも予告を観てみて欲しい。

ジブリにも通じるような世界観に、迫力の戦闘(?)シーン。自身の職業柄、中国にCGを外注することも業界的にはよくあるので(安くて速い)、中国の技術は重々承知しているのだが、アニメーションも何ら引けを取らない完成度で観ていて感動しました。
とはいえ、他のアニメをあまり観ないので、アニメーションについては詳しくい言えないのだが、ストーリーもよくできていて良かった。
妖精と人間、過去から未来への移り変わりに対峙する各々の「正義」がぶつかり合う、可愛い顔してむちゃくちゃ深いテーマとなっているのである。
多方面からの視点が映画の中に存在することで、完全な「悪」が存在しない。だからこそ主人公は、悩み、苦しみ、様々な選択を求められて、観ているこっちも考えさせられます。
アニメを観て涙したのはいつぶりかと思うほど、久しぶりに目頭が熱くなってしまいました。
子どもはもちろん、大人にも観てもらいたいなと思います。

余談ですが、声優さんって本当に凄いなと思いました。
声優さんのことは全然知らないのだが、宮野真守さんは知っている。しかし私の知っている宮野真守は雅マモルである。

NHKでやっていた星野源の「おげんさんといっしょ」で彼を知ったのだが、映画館で彼の名前を見た瞬間、映画の衝撃を超えて驚いてしまった。
まさかムゲン(登場人?物)の声を演じているとは…全く気づかなかったので別人?ほんとに?としばらく混乱しました。
とりあえず家に帰って録画が残っているので「恋はホップステップジャンプ」を見返したのだけどやはりどうにも繋がらず、がむしゃら万次郎(ジョン!)となりました。(ジョン万次郎の小説まで読みました)
多分みんなそうだと思いますが、ムゲン、むちゃくちゃ好きです。命を吹き込んでくれてありがとう、宮野真守。

さて、まさか締め方となってしまいましたが、この辺で「あなたにも観てほしい映画編」終わります。
次回からは、人に勧めることもできないレベルでじゃんじゃん自分の趣味全開でまとめていこうと思います。
それでは、また。

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