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プレシリーズAで5.5億円調達!? 米国で海藻テックを展開するスタートアップとは!? ジンが記す週刊SmartPitch [食品業界] 2023/11/24

執筆者紹介🖌

執筆者は2023年3月末にSmartpitch運営にインターンとして参加したした通称ジン。SmartPitchの認知度拡大と最適化に奮闘する中で、資金調達やM&A、業務提携情報が一括でまとめられたメディアの有用性に注目して週刊SmartPitch発行を決意した。
日頃は新しいもの・ことに常にふれながら、個人の裁量が大きなこの職場で、第3者かつ学生独自の視点を活かしつつ、様々なことを実行に移しPDCAを回し続けることを心掛けている。


今週のPick Upニュース
農林水産省大臣官房 新事業・食品産業部が、今月「フードテックをめぐる状況」という調査結果を公開した。こちらの資料を読んでいただきフードテックの現状を理解していただいた上で、食品業界の新たな試みを見ていこう。

「フードテックをめぐる状況 令和5年11月」(農林水産省大臣官房 新事業・食品産業部)pdf資料

また、フードテックの現状についてはこちらのサイトからも確認できる。


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本格スパイス×ミールキットのベンチャー「コノミー」がクラウドファンディングを開始

スパイスを用いた本格的かつ時短にできるミールキットを個人・ホテル向けに提供するサービス「Spice me」を運営するベンチャー企業の株式会社コノミーは、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」において、2023年11月22日(水)19時30分より募集による投資申込みの受付を開始した。

「Spice me」は、地方生産者の直販参入をお手伝いする中で生まれた。地元外へ販路開拓を目指す中、輸送コストがネックとなり薄利多売の構造を変えられずにいた。そこでスパイスという価値を付加することで、「地産外商」を実現し、収益性の改善に貢献していくことにした企業である。

現在、規格外野菜の廃棄量も深刻化しており、農林水産省によると、生産された野菜・果物の約30〜40%が廃棄されている。そうした中、「Spice me」では、不揃い品もカット加工することで利活用し、フードロスの削減にも貢献するだろう。「Spice me」は、家にいながら「世界の料理」を手軽に再現できるミールキット。多様なスパイスを活用した独自レシピと仕入れ当日配送の新鮮食材をセットに「健康」「時短」「本格」を備える。レシピは、チュニジアのスパイス調味料「ハリッサ」を使った「ハリッサポークとパンプキンピラフ」や、中近東のポピュラー料理「羊のコフタ ビーツヨーグルトソース」といった世界のユニークな料理など100種類以上を開発している。

「Spice me」のレシピ開発は代表自ら指揮を取っている。創業前から、ミールキット大手(19ヵ国展開・2021年度売上規模8,000億円以上のグローバル企業)やミシュランシェフとオリジナルスパイスを開発するなど、豊富な知見を有している彼の商品だ。スパイス最大手企業のエスビー食品株式会社とのコラボ商品を開発した実績があり、鹿児島県のスタートアップ実証支援事業に採択され、黒豚を使ったミールキットを開発するなど、自治体との連携も今後活発化させていく。


米国で海藻テックを展開するCashi Cake inc.、プレシリーズA 1stで5.5億円調達

ロサンゼルスで和菓子D2C「MISAKY.TOKYO(ミサキ・トウキョウ)」、海藻機能性飲料「OoMee(うーみー)」を筆頭に、海藻を使ったフードテック事業を展開するCashi Cake inc. は、2023年9月に三菱食品株式会社、三井住友海上キャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社他、VC、個人投資家などからプレシリーズA 1stとして$3.7M(約5.5億円)、累計調達金額5.6M(約8.3億円)の資金調達を実施した。また、地⽅独⽴⾏政法⼈⿃取県産業技術センターと、海藻を使った高濃度アルコールを包む技術を開発し特許を申請した。地方に眠った技術を掘り起こし、グローバルに販路を開拓する事で地方創生に貢献することを目指していく。

 今回のシリーズA1stでは、事業拡大を狙った戦略的資金調達を行った。「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」をパーパス(存在意義)に掲げる食品卸大手の三菱食品株式会社を筆頭に、地方の優良企業を掘り起こす人脈開拓のために三井住友海上キャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社が参画した。調達した資金は、和菓子ブランドMISAKY.TOKYOと機能性飲料ブランドOoMeeの事業拡大に伴う採用費および人件費、機能性海藻パウダーや特許の販売を行うB2B事業のそれぞれの商品開発と新しい特許の開発にあてられる。その特許開発の一例として、(地独)⿃取県産業技術センターと今回特許を申請している。

本連携の背景には、世界的な海藻テックのニーズの高まりがある。米国では環境問題や健康への意識の高まりによりビーガン、グルテンフリー、プレバイオティクス(腸内環境改善)のマーケットが急速に拡大している。とくにプレバイオティクス(腸内環境改善)は市場規模が2028年には約10兆円を突破し、2021年から2028年までのCAGR(年平均成長率)が6.81%にも上ると見込まれる、TAM(獲得可能な最大市場規模)と潜在成長率が高い分野だ。

海藻をはじめとするブルーカーボン(海洋生物によって吸収された炭素)は地球上の約30%の二酸化炭素を吸収すると言われている。食用の海藻を増やし、定期的な収穫をすることで二酸化炭素の吸収力が復活するが、この観点からまさに「食べることで地球環境が良くなる」食材である。それによって、SDGsの文脈でも注目を集めている。


精神科医×AIの「N・Partner」プレシリーズAラウンドで約1.5億円の資金調達

タウンドクター株式会社プレシリーズAラウンドにおいて、カルビー株式会社、UT創業者の会投資事業有限責任組合(以下、東大創業者の会ファンド)の2社に対する第三者割当増資により、約1.5億円の資金調達を実施した。

生活習慣病の患者やその予備軍の方たちの多くは、食べるのが好きで、食事の時間が日常生活での楽しいひと時となっているが、、従来の生活習慣病予防の食事指導のスタンダードは、”食べるのを我慢すること”だった。炭水化物・脂質・アルコールなどの各栄養素で摂取基準量を定めて、過剰摂取を抑制していくアプローチこのアプローチは継続が難しく、途中でドロップアウトしてしまう人が後を断たない。我々はこの状況を打開するべく、安易に我慢を強いるのではなく、より取り組みやすい不足しているものの追加や、適切なものへの置き換えを指導方針の基軸に置いている。ユーザーの食の好みや日常の食シーンを踏まえて、”美味しくてカラダに良い”食品や外食メニューのリコメンドを管理栄養士を介して行っていく中で、よりユーザーの行動変容を促進するためには、リコメンドに留まらず、ユーザーの手元に届ける部分までをシームレスに構築していくことが必要と考える。

 この度、N・Partnerのサービスを拡大するとともに、食品流通ビジネスの構築のために資金調達を行い、以下の取組みを推進していく。
1 サービス導入先の拡大
導入頂いている全国の企業健保・自治体・内科クリニックを中心とした医療機関の皆さまとの取り組みで得た知見をもとに、既存の業種のお客様に加え、他のヘルスケア産業の事業者様向けにも導入を進めていく。
2 管理栄養士のパフォーマンス向上のためのN・Partnerシステムの拡充
生成AI等の最先端のテクノロジーを積極的に取り入れ、ヒトとシステムの最適な役割分担を追求する。ユーザーから信頼され、行動変容を促せる管理栄養士をより増やすことが出来るよう、システム面でのバックアップ体制を拡充する。
3 食品流通ビジネスの構築
普段の食生活に気を遣うユーザーが、自分の健康状態や食の好みに合わせた最適な食品を、より手軽に購入できるような食品流通網をリアルとデジタルで構築する。リアルチャネルは提携する医療機関様などから、デジタルチャネルはユーザー向けのLINEアプリの開発を通じて進めていく。


TOWINGがGreen Carbonの稲作コンソーシアムに加盟 J-クレジット創出で連携

株式会社TOWINGはこの度、Green Carbon株式会社の運営する稲作コンソーシアムに加盟し、高機能バイオ炭・水田の中干し延長のクレジット創出に向け連携していく。

近年、農業を中心とする食料生産システムが解決すべき主な課題として、温室効果ガスの排出削減、大量の未利用バイオマスの残渣処理など多くの課題がある。これらの課題を解決するべく、日本ではみどりの食料システム戦略を制定し、温室効果ガス排出削減や、化学肥料依存から有機肥料利用への切り替えをはじめとする、地域資源を活用した持続可能な栽培方式への転換を推進している。TOWINGは、国内で発生した植物残渣や食品加工残渣などを炭化したバイオ炭(多孔体)に、独自スクリーニングした土壌微生物を付加し、有機肥料で培養した高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発・販売している。本来であれば廃棄・焼却される植物残渣、家畜の糞、食品加工残渣等の炭化物を原料として高機能バイオ炭を製造する。23年6月28日、Jークレジット制度認証委員会において、「バイオ炭の農地施用」の方法論に基づき、プロジェクトが承認された。

 Green Carbonは、カーボンクレジット創出やJークレジット/ボランタリークレジット登録、販売までを一気通貫してサポートする事業を展開している。2023年3月1日、Jークレジット運営委員会にて、「水稲栽培における中干し期間の延長」の方法論が新たに承認され、同年4月に稲作コンソーシアムを立ち上げた。日本初でJークレジットの認証を取得し、現在約7,000haの水田農家と連携し、約14,000トンのカーボンクレジット創出を予定している。

Green Carbonの稲作コンソーシアム加盟を通じて、両社のリソースやノウハウを活かしカーボンクレジットの創出拡大及び温室効果ガスの削減に貢献していく。TOWINGとGreen Carbonの連携を通して、稲作農家を中心に連携を図り、稲作過程で生じるもみ殻を利用した高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を製造する。製造した宙炭を、稲作農家の育苗時の育苗培土として利用することで、Jークレジットの創出のみならず、軽量かつ有機肥料を活用した育苗の簡易化・特別栽培米などへの応用が可能となる。TOWINGが提供する 高機能な 育苗培土は、従来の育苗培土と同価格帯での提供を目指しており、農家は極端な費用負担なく導入可能だ。

 今後は、Jークレジットの創出による生産者の収入増加だけでなく、両社が連携することでより多くの温室効果ガス削減に貢献し、循環型農業の実現とともにさらなる発展を目指す。


AIとロボットで有機農業の自動化を進める「株式会社トクイテン」へリード投資家として出資

ユナイテッド株式会社は、 株式会社トクイテンへリード投資家として出資いたした。
トクイテンは、「持続可能な農業へのシフトを加速する」をミッションに、AIやロボット技術を活用した有機農業の自動化を実現するプロダクトの開発
を進めている。

トクイテンはこれまで、収穫ロボット・液体噴霧ロボット・防虫ロボットなど、様々なロボットのプロトタイプを開発してきた。作物生産では、2023年4月に有機JAS認証を取得し、科学的なアプローチによるミニトマト栽培を成功させた。味や糖度の高さを評価され、初回収穫分からオーガニックスーパーや百貨店、ホテルに出荷する実績を収めている。
世界の有機食品市場は、2020年時点で1,290億米ドルに達している。日本国内では気候変動に対応するため、2050年までに有機農業取扱面積を現在0.6%から25%まで増加させることや、化学肥料の使用量を30%抑える方針が国策として打ち出されている。

しかしながら、有機農業では従来の化学肥料を用いた農法よりも工数がかかるうえに収量が減るため、国内で進む高齢化・人口減少の影響も踏まえて省力化・自動化が課題となっている。

トクイテンは、自社で農園を構えて有機栽培を行いながら、AIやロボット技術を活用したプロダクトの開発を行っている。実際に当事者として栽培に関わることによって、本質的な課題の解決につなげられることが強みだ。今後は、単に人の作業を代替するロボットに限らず、ロボットが栽培することを前提とした栽培形態の見直しなど、新たなアプローチで再現性高い有機農業の実現を目指して取り組む計画である。

また、昨今企業の農業参入が増える中で、参入企業向けのコンサルティングやトクイテン農地を使った農業参入検証、トクイテンと共同で営農するパートナー農場など、様々な入り口から農業に関わることができる事業展開を予定。トクイテンの事業は、ユナイテッドのパーパスである「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」を体現する事業。特に、環境問題や人口減少の影響を直接的に受け、課題解決が急務である農業領域において、AIやロボットを活用することで再現性のある有機農業の拡大を実現していける点にパーパスとの親和性を感じ、この度出資することを決定した。


サステナブルフードテック 株式会社AlgaleXがPre-Aラウンドで2.5億円の調達を実施

株式会社AlgaleXは、千葉道場ファンド、Beyond Next Ventures株式会社、食の未来1号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、他エンジェル投資家数名を引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドにて約2.5億円の資金調達を実施した。調達した資金で、旨味とDHAが豊富な藻「うま藻」のブランディング及び販売拡大を進めると共に、未利用食品から各種機能性成分を有する藻を生産する独自のAI発酵技術「Brewer24」の開発を加速させる。
「今ある美味しさを、次の世代へ繋ぐこと」をミッションに、泡盛の粕から美味しい藻「うま藻」を作り出すサステナブルフードテックカンパニー。廃棄されてきた泡盛粕などの未利用食品を活用し、からだに嬉しい成分を豊富に含む藻を作り出すAI藻類発酵技術「Brewer24」を保有。当該技術で、藻を通じてDHAや旨味などを作り出すことで、減りゆく魚や、昆布やイワシなどの旨味食材を少しでも次世代へと繋いでいくことを目指す。

当該技術をベースに、未利用食品である泡盛粕を活用して生まれた藻が「うま藻」。DHAを豊富に含むだけでなく、カラスミのような濃厚な旨味と五感を刺激する芳醇な香りが特長。既にミシュラン星付きレストランでうま藻を使ったイベントを実施、植物性ながら強い旨味を持つ新食材として注目を集めている。


KIIが視触覚センシング技術の社会実装を実現するFingerVisionに追加出資

慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)は、大学の研究成果に基づいた高度な視触覚センシング技術を実用化して、食品業界のDX化を促進するFingerVisionに対して追加出資した。FingerVisionは今回の増資により総額4.1億円の資金調達を実施し、経営及び開発体制を強化し、食品業界向けDXソリューション等の実用化を加速させていく。
慶應イノベーション・イニシアティブは、弊社が運営するファンドより、大学の研究成果に基づいた高度な視触覚センシング技術を実用化して、食品業界のDXを促進する株式会社FingerVisionに対して第三者割当増資による出資をした。他の出資者からの調達もあわせて、今回の第三者割当増資によるFingerVisionの調達額は総額4.1億円となる。

FingerVisionは、同社取締役山口明彦氏が、米国カーネギーメロン大学で、人工知能技術(強化学習、機械学習、推論など)をロボットによる物体操作に応用する研究を推進していく中で生まれた技術コンセプトをベースとして、FingerVisionの高機能(高分解能・マルチモダリティ)かつ、経済性に優れ汎用的かつ実用性の高い視触覚センサーをロボットシステムに適用することで、主に食品業界における特に人手依存度が高いピック&プレース工程の自動化・省人化を目指す。加えて近い将来、応用範囲が広い本技術を他アプリケーションにも適用し、より多くの産業でのDX促進を目指す。今回の調達により、経営・開発体制を強化することで、先ずは食品業界向けDXソリューション等の実用化を加速させていく。


家庭料理のテイクアウトステーション「マチルダ」提供拡大に向け3.5億円の資金調達を実施

家庭料理のテイクアウトステーションを運営する株式会社マチルダはこの度シリーズAラウンドにおいて約3.5億円の資金調達を実施した。今回調達した資金は、新たなセントラルキッチンの設営に活用し、子育て家庭を中心としたより沢山のお客様に、「今日の夜ごはんがちょっと楽しみになる」体験をお届けしていく。
マチルダは、「毎日の夜ごはんがちょっと楽しみになる」家庭料理のテイクアウトサービス。注文・決済はオンラインで完結し、近所のテイクアウトステーションで日替わりの家庭料理を受け取ることができる
。現在、都内を中心に、豊洲・勝どきを含む6箇所にステーションを展開し、1日1000食以上、子育て家庭を中心とした多くの方が利用している。

マチルダは、2021年5月にサービスを開始して以降、順次事業を拡大してきた。共働き家庭が増え中食市場が成長する中で、子育て家庭やこども達が「今日の夜ご飯なに?」と楽しみにし、モリモリ食べられる中食の必要性が感じられる。マチルダは、テイクアウトステーションというオフラインの場を介して、お客様そしてこども達と直に触れ合うことで、ごはんそのものだけではなく「今日の夜ごはんが楽しみになる」食体験をデザインする。

今回調達した資金は、お客様からの需要に供給が追いついていない現状を改善するため、製造体制の強化に活用し、2023年11月に新セントラルキッチン(江東区辰巳)をオープンする予定。また、街づくりや小売、食品製造など、様々な領域に特化した株主を迎えることで、マチルダが食体験を提供するにあたり必要なナレッジをいち早く取り入れ、成長スピードの加速に繋げてまいります。


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