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あなたは、NGワードついつい口にしてませんか?

ポエマーとイリュージョニスト

「課題に”真摯”に”向き合い”ながら、”丁寧”な議論と”慎重”な判断をしていくことを”検討”します」

 全てでなくても、ビジネスコミュニケーションの場面で、やたらと真摯とか丁寧、慎重といったワードを発する人いませんか?
 そして、今話題の「検討使」。結局何言っているかわかりますか? 
 私は「耳障り良くやってる”風”、考えている”風”を醸し出すビジネスポエムのうまいポエマー」だと思っています。言語明瞭意味不明。

 他にも、やたらと横文字使いが上手、説明中に突如横文字でインターセプトするファンタジスタ。しかも小難しい感じの。でも、何を伝えたいのかわからない。ルー大柴のような茶目っ気ある「寝耳にウォーター、藪からスティック」は笑えるが、最近どこかのメディアやビジネス本を読んで触発されたように、横文字ばかり使う人いませんか? 
 私は、「私知ってますけど、真剣にこの問題を考えてますけど”風”を醸し出す意識高い系イリュージョニスト」だと思っています。
 自分の勝手な私見でもあるので、表現で不愉快にさせたらごめんなさい。

 自身の経験上ではありますが、こうしたポエムを多様する人とのコミュニケーションは、靄がかかり,、わかったようなわからないようなイリュージョンの世界に引き込まれ、結果生産性が低くなってしまいます。貴重な時間がもったいない。

心ある上司からの助言

 私も若き頃、ここまで見事なポエムやイリュージョンは使えませんでしたが、時折ポエムチックな表現をしていました。無意識なので怖い。
 その時心ある上司に、注意され気づきました。

「自分は心底わかっていない、結論を言い切る自信がないから、ポエム的表現でごまかしているだけ」だと。

 その日から、すぐに自分自身の発言に際して、ポエム的表現をやめるように心がけました。しかし、定着までには時間はかかりましたが(笑)
 その上司は、今ではアウトかもしれませんが、ポエム的表現を自分が発したら「罰金」と言ってゲームのように是正してくれたこと鮮明に思えていますし、楽しく是正できました。若かったからかな。

NGワード

  ここでは、「ポエマー」に焦点を当てます。横文字によるイリュージョニストは、時代の流行で用いるワードが変化しますので今回は割愛します。

  • 「慎重」「丁寧」:この言葉は、経営層やできる上司にはこう聞こえます。”先送り”したいんだなと。話す人はそんなつもりでなくても。この言葉、形容詞をぶっこむと、真面目に対処しますという雰囲気は伝わります。でも、何をもって慎重なの?、どういう状態をもって丁寧というの?具体性がありません。

  • 「向き合う」:これも、慎重・丁寧と同類の動詞版です。動詞である分、一層真面目に取り組もうとしている雰囲気はあります。でも、これも具体性がありません。結果、「気持ちはなんとなく伝わったけど…」といった捉えをされることになってしまいます。

  • 「調整」「検討」:この言葉、一番身近で多用されている場面に遭遇しませんか?自身も使用していませんか?わかります。決してわかってないとか言い切れないとかではなく、本当に調整、検討するから使用しているに過ぎないと思います。でも、この言葉は使用の仕方を誤ると、こう聞こえます。”やらないな”と。なぜ?どうして?と思われるでしょうが、理由は簡単です。「いつ、誰と、どの場で」といったビジネスコミュニケーションで必要な5W1Hの要素が何も入っていないからです。だから、何も要素がない状態で使用すると、その”場凌ぎ”と捉えられる危険性があります。適切な使用方法としては、「ご質問の件は、今週中に〇〇部署と打ち合わせをし、結論を週明けの部内会議でご報告できるよう調整します」ここまでは言わなくても、5W1Hの要素を少しでも盛り込めば良いのです。

  • 「一応」「とりあえず」:これもよく耳にしませんか?自分も心ある上司に注意されたのは、このワード。なんとなく挟み込んじゃうんですよね。その心理は、ズバリ「ちょっと面倒だな」だと思います。これも、こう聞こえてしまいます”やらないな”と。もっとひどい捉え方される場合もあります、人によっては、”なんだよ、その適当な感じ”と。そう捉える人が悪いという声もありそうですが、現実のビジネスの世界ではあるあるなのです。

  • 「真摯」:この言葉、”まじめに”よりも、なんか雰囲気が伝わりますよね。これこそポエム的表現。ビジネスの世界だけでなく、どんなシチュエーションでも真面目に誰もやっています。(たまにそうじゃない人もいますが)わざわざ言い換える必要はありません。むしろ、こうした表現をわざわざ使うことで、なんかあるな?と穿った見方をされる危険性があります。できる限り平易な言葉で素直に表現する方が良いともいます。

  • 「思料」:”本件は、急ぎ対応が必要であり、A案で進めることが最善であると「思料」します” 良いところまでいっているのに、なぜ最後の最後に思料を用いてしまうのか。残念です。この表現、聞く人によってはこう聞こえます。”他人事、評論家的”と。A案で進めることが最善である考えていますが、皆様いかがでしょうか?といった自身の意思表示をはっきり示し、他の方に問いかければ良いだけなのに。もったいない。また、こうした表現は、資料上にも多用する方がいますが、あまり用いない方が良いかもです。責任回避の文章、当事者意識が低いのではと陰で言われかねませんから。

そぎ落としとユーモアを交えた類比、対比

 他にも、沢山あると思いますが、ビジネスコミュニケーションでは、いかに無駄を省くこと、具体性をもつことに尽きると思います。そうすることで、認識の相違を減らし、生産性のあるコミュニケーションが生まれ、良いものが創出できる関係性が構築できます。
 でも、これを突き詰めると無味乾燥なコミュニケーションになりませんか?という質問がきそうですが、おっしゃる通り乾いた関係は避けなければいけません。無駄を省き、具体性をもつことともに大事なのは「ユーモア」です。理解を促進するために、ユーモア交えた類比、対比を用いてみるとわかりやすく、笑いも取れます。
 ユーモアを用いると場が和むとともに関係性も良くなる効果があります。時折織り交ぜてみると良いと思います。
でも、おやじギャグやご自身のキャラにそぐわない突飛なユーモアは、一気に場を凍らせる危険性がありますのでご注意を。

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