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初めて似顔絵屋さんしてみたレポ

 つぶやきでもちらっと触れていたのですが、先日、友人が開いたノンジャンルイベント・表現フリマで、似顔絵屋さんに初挑戦しました。とっても楽しかったので、記録を残しておこうと思います!
 もとから絵(というかイラスト)を描くこと自体は好きなのですが、基本的に「創作」は中高生時代からずっと小説(文章を書くこと)を中心にやってきていて、それがここ数年は小説から芝居に移行。描くこと自体は好きなのですが、息抜き的な存在でした。
 だから、自分が人前で、しかも対面で絵を描くなんてこと、考えたこともなかったんです。


・表現フリマへのいざない

 参加した「表現フリマ」は、演劇やコント、スピーチ、朗読などジャンルを問わずいろいろな「表現者」が舞台上で30分以内の発表をするイベントです。会場は2階建ての蔵なのですが、今回、2階でステージ発表を、1階で展示販売募ってをやるよ、という話を聞いて「参加したいな」と思ったのが始まり。
 本当はステージ発表に出たい(芝居やりたい!)気持ちがあったのですが、仕事が忙しくて稽古の時間がとれなさそうだったので、展示販売の方で参加表明しました。
 大学生時代は、一次創作イベントの「COMITIA(コミティア)」や「文学フリマ」に、友人と作った小説本を引っ提げて参加してました。それが社会人になり、多忙なのところにコロナも追い打ちをかけてきて、もう全くイベントに出られない状態となり幾星霜…。クローゼットの片隅には、在庫をしまった段ボール。これを並べるか否か、最初は少し悩みました。
 これまでずっと、創作活動はペンネームで行っていて、かつオンラインでのつながりの中でやっていたので、オフライン(社会生活を行っている現実)とは切り離してたんです。
 それが、芝居という生身の表現をやる中で、私の顔と名前を自然と「表現(クリエイティブな何か)」とつなげてくれる方がオフラインに増えてきたなと思って。これを機に「全部いっしょくたにしちゃっても良いかな」と思えた。なので、表現フリマに出るなら、久しぶりに小説本を並べようと決意。わくわくしてきました。

今まで作った本の一部。装丁デザインをするのが好きで、結構こだわってる

・私も「表現」したい

 本を並べようと決めて、それだけでも十分かなと思ったんですが…。お稽古しているステージ発表の出演者さんたちの様子や、イベント開催のために奔走している友人を見ていて、なんかたぎってきて。私ももう一つ何かやりたいなという気持ちになったんです。
 そこで思いついたのが「似顔絵」でした。以前、友人との旅行先で似顔絵を描いてもらったことがあって、

手元にちゃんと残ってた!2016年だった!

 その時に「この人から見た私ってこんな感じなんだ!」という新鮮な驚きがあったんですよね。一度誰かの中に取り込まれた私がアウトプットされた、という一連の流れに感動したというか。あまり自分の造形が好きではないので写真を撮られるのはすごく苦手なんですけど(この辺は、今年克服したいと思っている部分)、他人の脳と手を介して表現された自分を見たとき、自分のことをなんか「悪くないな」って思えたんです。
 あんな「表現」ができたら素敵だし、依頼してくれた人にもあの時の私みたいな感覚を味わってもらえたらなー!という衝動が生まれて、やることにしました。似顔絵屋さん。

・デジタルか、アナログか

 最近「お絵描き」というともっぱらiPadで落書きすることが多かったんです。だから似顔絵屋さんもデジタルでやろうかなと思いました。手軽だし、描き直せるし、もし気に入ってもらえたらSNSのアイコンとかにもしやすいかな…と思って。なのでiPadでちょこちょこ練習してました。

自画像。まだ自分を直視できてないなあと思う。あとこの後髪切った

ですが、小屋入り(開催一週間前くらい前に会場入りしてイベントの準備をする)の手伝いをしてる時に「いややっぱり、描きなおせないほうがいい。紙で描きたいな」という気持ちになって、100均に駆け込み、色紙とマーカーと、あとマスキング系の色とりどりのシールを買ってきました。
 そして、同じく小屋入りした出演者の方々に、実験台になってもらった。

表現フリマの出演者さんで練習させてもらった初期似顔絵

 似てるか似てないかと言われたら正直「似てる」と言いづらいレベルの画力ではあるんですが、描いてみて「デジタルよりしっくりくるな」と思ったんです。描きなおせないことも、複製できないことも、対面して時間を共有して描くということも、なんか全部ひっくるめて、アナログなのが「良い」と思えた。あとみんな優しいからめっちゃほめてくれたし喜んでくれた…うれしかった…。
 なので、思い切って、めちゃくちゃ久しぶりにアナログ画材で絵を描くことにしました。

・そしてイベント当日

 結論から言うと、11人の方の似顔絵を描きました!準備の時に描かせていただいた出演者さんの分も合わせると20人くらい描いたかな。楽しかった。
 椅子に座ってもらって、お話しながら描きました。ずっと同じポーズでいなくていいですよと伝えて、輪郭やパーツを確認したい時だけお願いして。なぜ表現フリマに来たのかとか、この後どこに行くのとか、普段はどんなお仕事してるんですかとか、何色が好きですか、とか。つらつら質問を投げかけながら、時々目が合っちゃって互いに照れ笑いしちゃったり。ある程度「つかめたな」と思ったら、ステージ発表の方を見に行ってもらって、帰りがけにお渡しするスタイルでやりました。
 多分全員「似顔絵書いてもらうのなんて初めて」って言ってました。緊張したけど、うれしかったな。客層(?)はもとからの芝居仲間が半分、初めましての方が半分くらい。描いた絵を自分で写真を撮り忘れていたので、お客様の写真を拝借して。

Twitterのフォロワさん(実質初対面)とそのお友達

 なんか、自然に好きなように座ってもらってて、会話しながらその人を見てると、目元とか口元とかに、不思議と初対面でも「ああ、この人らしい表情だ」と感じる一瞬があるんですよね。いや、違うかな。私が「この人のこの表情、好きだなあ」って思う瞬間かな。そういうのを、少しでもつかんで描けたらいいなあ、と思いながらペンを動かしてました。
 「あー!こういう表情、するする」って言ってくださった方がいて、うれしかった。

・果たしてこれは、似顔絵なのか

 「似顔絵って、特徴を誇張するじゃないですか」ってぽろっと言っていたお客さんがいて、確かにその方が正しく「似顔絵」なんだろうなと。もちろん私もお客さんのお顔を見ながら、目鼻の形とか、唇の厚さとか、髪型とか、できるだけすくい上げられたらなと思って描いてはいたのですが、今回は、忠実に描くよりも(そもそもそこまで技量がない)、ライブ感を重視してました。そのせいか結構さくさく描いてた。

 今日、私の前に座ってくれて、私と話してくれた貴方。私が好きだなあ、素敵だなあと思った貴方。そんなあなたを、描けたらいいなと思ってました。だからあれは正直「似顔絵」というよりも、「私の目を通して見た貴方の概念」絵なのかもしれない…。私の描いた貴方を貴方が見て「なんか、いいじゃん」って思ってくれていたら良いな。私から見た貴方は、みんなみんな、素敵な方でした。

 しっくりきてない方も、中にはいたかもしれない!でもそれは貴方の責任ではなく、私の技量不足なのです…貴方はとっても、素敵だった!

 付け焼刃かもなんですけど、イベントを終えて帰宅して、似顔絵の本をぽちってしまった。あんまりマニュアル的な描き方を覚えると、大事にしたいライブ感(私の視点)が薄れてしまう気もするので、人のお顔の見方と、表現の仕方を主に読んでます。わかりやすいご本でした。

・正直またやりたい

 いろんな人があったかいお言葉をくれたので舞い上がっちゃって、一瞬「 ネットのクラウドソーシングサイトで似顔絵屋さんやってお小遣い稼ぎしちゃおうかな」なんて、こざかしいことが頭をよぎったのですが…。
 私が今回似顔絵(と言っていいのかは一度置いておこう)屋さんをして楽しかったのは、目の前に人がいて、その人が笑ったりしゃべったりして生き生きとした瞬間を見るのが楽しくて、それを描きとめようとして手を動かすのが楽しかったからで、これがオンライン上で文面や写真だけを見ながら描いたところで多分全然楽しくないし、似ることもないだろうなという結論にいたりました。
 なのでまた、機会があったら、対面のイベントとかでやりたいです。オンライン上でも、ZoomとかSkypeとかで対面しながらだったらできる気がするけど、そんな奇特なひとはいないだろうから…次また、表現フリマにも出られたらいいな。次回(第3回)は8月開催だそうです。
 そんなわけで、似顔絵屋さんやってみたらとっても楽しかったレポでした!
 長文をここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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