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私の転職話:オーディオ開発から半導体業界へ

今日は私が転職した時の経緯を振り返ってみたいと思います。前職に悪い感情もないので、そろそろ文章に起こしてもいいかなと思いました。


そもそも、前職を選んだ理由

私は前職では、オーディオメーカーで家庭用製品の開発職についていました。いわゆるスピーカーとかアンプと呼ばれる物です。別部署ではヘッドホン、イヤホンも作っていました。機械工学を専攻していたためメーカーを中心に製造業を志望していたこと、また学生時代に音楽活動をしていた経験から、音楽に携わる仕事ができたら嬉しいということがきっかけでした。

言ってみれば、当時の希望がすんなり通って就職が決まったことになります。そしてその職場で5年以上働き、仕事自体も十分楽しめていました。では、なぜその職場を離れることになったのか?

もちろん理由は一つではなく、プライベートな事情もありました。ここでは少しでも人様の参考になりそうな、仕事選びの考え方に関わる理由を二つ挙げます。

仕事を続けて気づけた不安

一つ目は自分自身の成長、という観点。私は基本的にはハードウェアのエンジニア、ということになりますが、ハードという観点でのオーディオは、言ってみれば電気信号を音に変える機械。オーディオと一口に言っても小型スピーカーから大型の据え置き機、ヘッドホンイヤホンまで色々とありますが、昔と違って技術的に大きな進歩は望めない業界ではあります。
好きな製品を作っているとは言っても、エンジニアとして技術的な成長が得られないというのは、将来性に不安な側面があります。

二つ目は、オーディオ市場という観点。端的に言ってしまえば、今後の大きな成長が見込めない市場、ということです。コンシューマ機器、それも娯楽品となるとどこも似たり寄ったりかと思いますが、もはや国内外で市場が成熟してしまっているものが多いのではないでしょうか。
まだ若いうちにこのような成熟した市場に身をおいてしまっていることは、いろいろなリスクが考えられます。例えば会社に何かあった時に、次の就職先にも苦労してしまうでしょう。

興味のあるものも作っているし、仕事も向いていた。それでも、仕事をある程度続け業界を理解したからこそ、これらの不安を感じるようになりました。

仕事選びの軸が見えたことで、転職を決意

例えば私があと10年働けば引退、といったタイミングであれば、これらの不安を感じたところで転職に至らなかったと思います。ですが、今後の長い人生においてこれらの不安と付き合い続ける気にはなりませんでした。

これは、よく言われる「好きなことを仕事にしてはいけない(=仕事にすると嫌なことが増える)」という考え方とも異なると思っています。自分にとっての仕事に求める軸が「好き嫌い」ではなかった、あるいは自分が好きなものの認識が本質的にずれていた、ということかもしれません。

転職を考え始めた段階で、ここまでの自分なりの転職の理由は一通り固まっていました。となると、自然と転職先に求めるものも明らかになってきます。

転職先に求めたもの

技術的な成長を得られないこと、市場の成長が見込めないこと。これらが不安の要因になるのだから、次の転職先に求めるのは少なくとも「技術的な成長が得られる」、「成長市場である」のどちらか、あるいはその両方が満たせる職場ということになります。

これらの自分自身の考えと向き合った上で、私はいわゆる転職サービスを使って転職活動を開始しました。割と考えがはっきりしていたので、エージェントから出てくる案件も比較的希望に沿ったものが多かったです。傾向としてベンチャー企業なども選択肢に上がりました。

そして結果的にタイトルにもある通り、半導体の関連事業を扱う企業に就職することになったわけです。

オーディオ業界が就職先としてふさわしくない、と言う気は今でも全くありません。結局のところは自分の様々な価値基準を天秤にかけて、何を優先するべきか考えて決める、ということが必要なのではないでしょうか。

得たもの、失ったもの

半導体業界と言っても色々とありますが、少なくとも現時点では新素材の開発、微細化、省エネ、SDGsなど話題に事欠くことはなく、多くの分野で技術的な成長を得る機会があります。また、まだまだ市場が成長することもはっきりしているでしょう。そういう意味では私の不安は解消されたと言って良いと思います。

一方で、失ったものもゼロではありません。

やはり、好きな製品を開発できるという仕事は得難い経験だったと今でも思います。また、オーディオのような娯楽品は、好きな人がいるからこそビジネスになるもの。半導体ももちろん必要な人は山ほどいるわけですが、一方で「これ以上半導体が便利になる必要あるのか?」というのは私が常に疑問に感じていることでもあります。友人には「これからも電気自動車とかAIとか色々あるでしょ」と突っ込まれたので、贅沢な悩みなのかもしれませんが。

とはいえ、今ここでエンジニアとして技術的な成長を得ることができたとしたら、仮にまたキャリアを考え直す日が来た時にも、選択肢は広く持てることでしょう。

なぜ、転職に考えが至ったか?

最後に少しおまけを。前職での仕事は決してしんどいものではなかった。では、なぜ転職という選択肢を思いつくに至ったのでしょうか?

私の場合、これはひとえに読書のおかげと言えると思います。仕事選び、キャリア、自分自身の理解、これからやってくるであろう未来。そういった様々な情報と、自分以外の考え方を読書によって仕入れていくことで、転職という選択肢に辿り着いたと考えています。
近いうちにキャリア形成に役立った書籍も紹介してみたいと思います。

まとめ

オーディオ開発から転職した動機は、エンジニアとしての成長の限界と市場の成熟による不安を感じたため。半導体業界であれば、それらの不安を解消できると期待し転職を決意。失ったものもあるが、今のところは転職によって不安が解消されたと言える。転職のきっかけとなったのは日々の読書。

まとめはこんなところです。

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