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みんな何かの"中毒者" トレインスポッティングを観て感じた生きる秘訣

現実逃避。

不安や不平不満、理不尽に耐える為には必要な逃げ道。
人生を上手く生きていくには時に必要な事だと思う。
どんな人にでも現実逃避をする時間があるはず。
例えば、休日にキャンプをしたり、一日中ゲームをしたり、何か趣味に明け暮れたり。

人それぞれ現実逃避の方法があって、上手いこと世の中に馴染み、生活をしている。

もしくは友達などに愚痴をこぼすのも現実逃避の一つとも言える。

彼らもきっと、現実逃避をしたいだけだったはず。
吐き出す事も出来なければ、逃げ道も分からない彼らは現実から目を背けたくて、シラフじゃいられなくなった。

トレインスポッティング(1996年)
ダニー・ボイル監督


ヘロイン中毒のレントン。
その連れの同じくヘロイン中毒の007オタクで色男のシックボーイ。
人が良いが、ヘロイン中毒のスパッド。
薬物中毒では無いが喧嘩中毒のベグビー。
スポーツ万能で彼女も居る普通の男トミー。

現実と上手く向き合えない若者達のドラッグ青春映画。

何度もヘロインを止めようと努力するが、いちいち起こる不都合な出来事に耐えかねてしまいすぐヘロインに頼ってしまう。
四六時中ラリってて、だんだん行動もエスカレートしていく。
どうしようも無い彼らの姿を観ると、現実から"逃げる事"と"向き合う事"のバランスの大切さを感じる。

だけど、どうしようもなくヘロインから逃れられない彼らの姿を見て"意志が弱い人間"と一概に思えないのだ。

上手に生きるってそれだけ簡単な事じゃ無い。

彼らも現代の若者も(自分も含め)目に見えない未来に向けて何をすれば良いか分からないから。

物心ついた時から「自分にはコレがあってコレの為にアレコレ頑張って将来はこうなる為に死ぬまで頑張るんだ!」て人間の方が少ない。

ある程度無難な道を進み、その中で小さな趣味を見つけ、幸せを感じて、それでも何とか生きてるくらいで精一杯。
むしろそれだけ出来てれば大した人生。

少なくとも僕はそう思う。

でも、そんな人生は正直嫌だ。
"ある程度無難な道を進む"と言う言葉が喉をつっかえて飲み込めない。
鉛の玉を飲み込めと言われてる気分になる。
それが現実だと言うなら目を背けたい。
目を背けて夢だけを見て人生を選びたい。

目を背ける為に、何かの中毒者に成らざる得ない。
彼らはそれが運悪くヘロインだったと言う話し。

ただもがき苦しむ事しか出来ない彼らの青春は僕の胸に突き刺さるモノがあった。

現実と向き合う事と、現実から逃げる事のバランス感覚が生きる秘訣なのかもと思った。

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