行政手続きだけで、民間負担3兆円?!〜2017年からの三カ年目標「行政手続き20%カット」を検証?!〜
こちらのデータ、小木曽さんがアップしておりましたが、感覚ではなく、こういう数字でみるとよりまじまじと問題の深刻さを感じるので整理したいと思います。
軽減税率制度などで民間企業の手間がさらに複雑化している昨今ですが、実際に民間企業が国や地方自治体に対応する手続きだけにいくらのコストかけているの? そしてこれらを簡素化するとどれだけ効果があるのか、という調査レポートが公表されています。元レポートについては後で詳しく触れていきますが、結構衝撃です。
○ 民間企業対応コストだけでも71万人、3.1兆円超
まずは、ざっくりとしたサマリーから見てみましょう。
手続きという全くクリエイティブでもなんでもなく、効率化を徹底すべき領域において71.2万人がただ手続きだけを行い、金銭換算すると3兆円を超えるというわけです。。。民間部門がこのコストを投資できていれば、それだけで経済的なベネフィットがありそうです。
しかも、これでも市町村の手続きは含まれず、国での税制手続きも抜き。てか、最も多くの人達が、市町村窓口での手続きや納税だと思うんですけど、、、苦笑。 そんな主要な手続きを行う行政プロセスは入っていないというのですから、頭がおかしくなりそうです...。一体全体ではどんだけかかってんだ。軽減税率でもっと拡大してるんちゃいますかね。
これを他産業と比較するとどの程度の規模感であるかと言えば、このような状況。農林水産業に携わる人より、民間企業が行政手続きにかける工数のほうが大きいなんて悪いジョークですね。苦笑
○ 行政手続きコスト削減レポートにあるステップ
さて、元レポートはRIETIでのこの行政手続き削減に関するレポートがあり、そこにはもっと深刻なことが書かれているので、以下に順にみて整理していきたいと思います。
色々とデータが整理されていて、行政手続きコストがこれみると分かりますが、いろいろな許認可や手続きにこれだけ膨大な時間が、、、と。営業の許認可ものすごいですね。社会保険もどこの組織もやらねばならないのでやっぱりすごい手続きコスト。
なぜこのようなレポート分析が出るようになったのか。政府として行政手続きコストを削減していこうという具体的目標が掲げられたということが契機になり、その詳細が調査分析されるようになっているということのようです。
が、この2020年3月までに20%以上の削減というのは、達成されているのでしょうか...。なんかもっと手続き増えるような政策をやっているような。まぁインボイスの電子化とかはやってくれているか。笑 欧州各国は2000年代からやっているけど、日本はお初ということでしたが、一応の現状が整理されています。
○ 政府の充填項目は8208億円とのこと
政府が出している重点項目の行政手続きコストは合計8208億円となっています。あれ、なんか冒頭の数字と違うよね、ということで私も一瞬混乱しましたが、その謎は次にありました。
鳥取県が実際に国より積極的に行政手続きコストの削減に取り組んでいて、既に目標達成しているのです。その実測値や改善についての数値が報告書で出されており、それを人口割合で拡大すると実際には補助金、許認可だけで3兆円になるって話なのです。
となると、政府のもともとの8000億円という実測値よりかなーり多い数字になるのです。てか、政府が出している推定値が少なすぎるのではないかなと思いますよね。実感としても、全国で8000億円なんかで済むはずではないような...。
調査方法は上のようなモデルで、国も鳥取も基本的に担当がヒアリングを各業界に行って、それをもとに割り出して、という話のようなのですが、統計的に問題がない方法で行われているのですかね。。。削減目標が20%と高いからなんか小さく見積もってんじゃないかと邪推したくなります。
○ 鳥取県の削減ケーススタディ
しかも鳥取は補助金と許認可だけなのに、政府は社会保険や統計や入札契約とかまで入れているんですよね。項目が多いのに、それでも総額が少ないってのはやっぱりおかしいですよね。
まぁ鳥取も鳥取で完全に正確かはわからないですが、より現場に近く、小さな範囲での手続き状況を加味するほうがズレは小さい気がしますし、項目が補助金と許認可とシンプル。それでかかっている時間だけでも国全体の人口で割り出して3兆円ですから、政府が重点項目にあげているものを1件あたり申請書、報告書など含めてもっと時間をつかっているように思いますよね。しかもこれはあくまで手続きだけだから、作成にかかる労力とかまで入れていけば、もっととてつもない時間がかかっているという話になっていきます。時間とカネの無駄。
で、以下が鳥取県の数値です。実績で401万時間かかっていたものを124万時間に削減していったとのこと。
より詳しい内容もwebに乗っていました。鳥取県の取り組みが解説されたPDFです。今回の行政手続き以外の内容もあって興味深いのです。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/bukai/20171027/171027bukai01.pdf
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/07%20jirei%20totori.pdf
上記2つのPDFはスライドなので、以下で重要ポイント取り上げます。
補助金、許認可に限定しても、膨大だった鳥取県の手続きを電子申請化し、クレジットカード収納に対応、申請書なども簡素化し、Q&Aも公開、さらに審査期間短縮なども行った結果、目標としていた行政手続きコストの30%削減を既に達成しています。平成29年
国の目標である20%を大いに上回る実績です。やればできるのです。しかも鳥取県庁でといったら怒られますが、先端的などこかのモデル都市とかではなくトップが考え、議会や役所も本気になればここまでいけるということでもあります。
それでは政府目標はどのような状況かということでして、それが以下の通りです。まぁまだ1年残した段階での達成ですから、ここから追い上げ頑張ってほしいですが、補助金申請くらいがどうにかなのでしょうかね。これも電子申請とかの対応とかくらいなのですかね。
こういうのみても、国として全体変えるの大変すぎてどうにもならんのなら、地方分権でシフトさせて一気に効率化を図っていくのも委任したほうがいいのではとおもってしまいますね。
鳥取とか小さなところだとバシって進むだけでなく、他国をみてもロシアからの幾度となく経験している国とかは情報の保管、分散をデジタルにすることで国家の存続を目指しているという点とかでも面白いんですよね。
○ 電子政府化は実際には安全保障にも繋がる
電子政府は効率化というだけでなく、国家が侵略された時に登記情報などを焼かれてしまうとかを防いだり、国としての復権をした際に復興を早く行うのに情報保護がいかに大切かということを理解しているからこそできることでもありますが。日本は悠長で保管も困難な紙という手続き方法に固執しているのは平和ボケもいいところです。
さて、何かと比較されるドイツでは以下のポイントが削減効果が大きかったということで、やはり領収書保管がものすごくきいていますね。確かに手間っすもんね。外資系ホテルだと領収書もメールで飛ばしてくれたり、最近のUberとかも同様ですよね。紙で受け渡さない。
領収書は電子保管が日本でもOKになっていくので、それだけでも確かに助かるなと個人的にも思いますが、もう2000年代から欧州各国が取り組んでいるこれらくらいは一気に日本やりましょうよ、と思いますよね。未だにハンコがどうしたとかいっているようでは全くダメなわけです。
タイトルに民間負担3兆円の行政負担(鳥取県数値をもとに計算)とお送りしましたが、1恐らく国の8000億円という目算は間違っている、2.市町村手続きや納税まで入れていない、ということを加味すると、3兆円どころか、10兆円は軽くかかっているだろう行政手続きコストを20%どころか、50%削減する目標で日本が動いていくと、色々と変わると思うところです。
ほんとe-Taxとかのクソシステムとかみていると、少なくとも政府は入札によって業者選ぶのを辞めてほしいですね。ネットなどの大手企業系を複数社集めて、APIの策定、その上で各社が競争するカタチでサービスを一気に導入していくという方式で頑張ってほしいなと思います。
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