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なぜダメなコミュニティカフェはできるのか?

一時期、地域で「みんなが集まるコミュニティカフェを作ろう」といったような話がもてはやされ、様々なところから相談がありました。しかしその際に話をきいてみると、実際の利用者の利用条件とともに、経営を成立させるだけの類似する業態との競争戦略を組み立てることがほぼありませんでした。

起案者はその社会性を帯びた目的に酔いしれ、その社会的目的に沿って税金が支給されるため、起案者にとって日々のコミュニティカフェの利用者ではなく、行政担当者(自治体であれば国、民間であれば自治体)が最大の顧客となってしまうわけです。彼らの意見を踏まえつつ意識が大きくなり、私とかが細かな数字の話をきくと「普通の民間が経営するカフェとはうちは違う」「公共性のある取り組みと民間事業とを同じ文脈で語ってもらっては困る」といって顧客設定や競争戦略を放棄してしまいます。

結果、開業すれば利用者はまばら、多くの顧客はまちにあるカフェチェーンに流れて事業が立ち行かなくなるということになったりするわけです。実際に店にいけば、その理由はすぐに分かります。おいしくないコーヒーと、頼んでからいつ出てくるかわからないフードの提供時間、良くわからないイベント企画などに飽き飽きして顧客が離れていくことが多いからです。ひたすらコミュニティが出来ない、コミュニティカフェスペースの赤字を垂れ流すことになっていくことになるものが多くありました。いい店にはいいコミュニティが生まれるけれども、悪い店がコミュニティを謳っても虚しいわけです。

思いとか狙いとかは大切ですが、それが独りよがりとなれば集団浅慮まっしぐら。実際のところは顧客、競合を無視した事業に未来はないというシンプルな話なのです。

地方創生大全でもこのあたり結構指摘しているのだけど、カタチを変えて未だに続くなーと地方政策みてて感じることばかりです。官製コワーキングとか典型的な感じがするものが多いですわ。


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