漠然とした不安に勝つために(to20代若手ビジネスパーソン)
キーワード:「学ぶ力」「環境設定力」「マインドフルネス」
近年の新卒入社の若者と、バブル時代を経験してきた50代経営陣とは感覚が全く違う。
バブル期を経験した世代は未来に対して比較的ポジティブであり、経済的な成長が自らの幸せとすり替えることができるメンタリティをもっているように感じる。
一方、今の若者世代は、概して未来に対して漠然とした不安しかない。デフレ世代として自分もこの点については当てはまると思うが、そもそも経済的成長に期待していないし、経済的成長が自分の幸せと直結するとも考えていない。とはいえ、経済的成長を求めていないかと言えばそうではなく、何かを得るためというよりは、将来の不安の解消のためにお金が欲しい。ということで、投資とかお金とか、直接的なお金の増やし方には興味を持っていることは、先日新卒3年目社員との対話でわかった。
さて、そうした不安にどう打ち勝つか?本当に投資とかの知識を身につけ、お金を手に入れることでそうした不安が解消されるのだろうか?もっと言えば、それで幸せになるのだろうか?
人の幸せを語ろうとしている時点で、まあかなり僭越であることは自覚しながらも、やはり投資とかでお金を増やして、不安の解消にはなるかもしれないが、幸せに直結するとは思えない。
問いは、不安を解消しながら、どう幸せを手に入れるか?自分も全くこの問いに現在も悩みながら生き続けているという前提で、どうしても、投資の勉強とかにしか目が向かない若者向けに何かメッセージを発信したい。
1つは、どんな対象であれ、「学ぶ力」を付けることではないだろうか。学ぶ対象はそれこそ投資でも何でも良いと思うけど、時代の変化が激しい中、これだけを学んでいれば、これを身につけていけば生きていけるということはない。もう一歩メタな能力としての「学ぶ力」を身につける必要があるように思える。
実際、そうした時代の要請を受けてなのか、また科学的なリサーチが増えてきていることもあってなのかはわからないが、自分が若い頃より、勉強法とか、学び方についての書籍の数が増えているように感じている。
私が小学生の時は、野口さんの「超勉強法」位だったのが、今は「Learn Better」と「Limiteless」とか、Daigoの本とか、とにかく「学び方」についての本やメッセージが増えている。これは極めて良いことだと思うし、時代に合っていると思う。
受験勉強が無意味だという話もあるが、学ぶ内容より学び方を学ぶという点においては、受験勉強も一定の意味があるのは間違いない。
2つ目は、「学ぶ力」と密接に関連するが、何かを学びたいと思える環境に身を置いたり、人的ネットワークを構築する「環境設定力」だと思う。そのための「行動力」が大切と言うべきか。学ぶ力を学ぶにしても、それに向けたモチベーションがないと人は動かない、というか自分は動かない。自分を動かすために、どんな人と会い、どんな環境に身を置くか。それを自ら選択できるのが人間の強みである。欲望のエデュケーションという原研也さんの言葉があるが、まさに人間は自らの欲望を教育していくことが出来るわけで、自分をそうした「学び」に仕向ける選択をとっていくことが出来るのである。
最後に3つ目は、「マインドフルネス」かもしれない。人は過去を考えると後悔し、未来を考えると不安になる。しかし、我々は実際には未来にも過去にも生きていない。今まさにここの「今」に生きているのである。そこにどれだけ集中できるか。今に集中しなければ、未来も変わらないし、「体験の哲学」の思考実験(※)の話を借りれば、生きているとさえ言えない。
※「体験の哲学」の思考実験
今に意識がない究極の状態は、寝ている状態。意識がない、無意識ということ。この薬を飲むと、あなたが死ぬ直前までずっと無意識でいられます、と言われ、誰がそれを好んで飲むだろうか?今に意識がない状態とはそういうことであり、人生を多いに無駄にしている。
不安に駆られているのは若者だけではない。まさに自分もそうである。この3つは何かの役に立ちそうかなと。
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